これからの腕時計は文字盤にこだわる! 「ひと手間ダイアル」最前線【後編】

ここ2〜3年で、ビッグブランドを中心に文字盤のグレードが飛躍的に進化しています。目の肥えたユーザーを満足させるため、色表現や仕上げ、設計にこだわって作られた注目の時計を紹介します。前編はコチラ

 

色と素材の可能性はもはや無限大

仕上げだけでなく、色や素材でも文字盤の高品質化は顕著にみられます。パネライは新たな茶系ダイアルによるヴィンテージスタイルを構築し、ウブロはベルルッティとのコラボでレザー文字盤を作り上げました。

昨今、文字盤表現に力を入れているブランドといえば、H.モーザーやラドーも欠かせません。両者とも挑戦的な試みで時計デザインの可能性を広げています。

 

このように様々な色表現や素材使いが可能になったことで、伝統技法や最新技術をフル活用し、文字盤というキャンバスに壮大なテーマを描き出すブランドが増えているのです。

 

ベルルッティレザーを文字盤とストラップに採用

↑ウブロ「クラシック・フュージョン ベルルッティ スクリット」335万8800円/Ref.511.OX.0500.VR.BER16

シューメーカーのベルルッティとコラボして作り上げた世界限定250本の話題作。シンプルなクラシック・フュージョンの文字盤とストラップにセットされたベルルッティのヴェネチアレザーが、格別の存在感を放っています。本機には、レザーの手入れ用品が入った専用ボックスが付属します。

 

【SPEC】

ムーブメント:自動巻き (Cal.HUB1100)、毎時2万8800振動、約42時間パワーリザーブ

素材:18Kキングゴールドケース(シースルーバック)、スクリットレザー+ラバーストラップ

サイズ:直径45mm、厚さ10.95mm

防水性:5気圧

 

退色した文字盤の風合いを絶妙カラーで再現

↑パネライ「ラジオミール 1940 3デイズ アッチャイオ-47mm」123万1200円/Ref.PAM00662

1954年にわずか30〜40本のみ製造された「エジツィアーノ ピッコロ」に着想を得た一本。同社では珍しいSSモデルでのブラウンダイアルは、蛍光素材によって退色した風合いで特有のヴィンテージ感を演出しています。ケースは直径47mmのラジオミール 1940を採用し、風防はドーム型のプレキシガラスです。

 

【SPEC】

ムーブメント:手巻き (Cal.P.3000)、毎時2万1600振動、72時間パワーリザーブ

素材:SSケース(シースルーバック)、カーフストラップ

サイズ:直径47mm

防水性:10気圧

 

文字盤の色だけで製品哲学を表現

↑H.モーザー「エンデバー センターセコンド コンセプト ファンキーブルー」313万2000円/Ref.1343-0209

H.モーザーが得意とするフュメ(煙)ダイアルの美しさだけで、自社の「シンプル・イズ・ベスト」の本質に迫った意欲作。交換可能なモーザー脱進機ほか、独自技術を満載したCal.HMC343を搭載するなど、ロゴがなくてもすぐにH.モーザーとわかります。

 

【SPEC】

ムーブメント:手巻き (Cal.HMC.343)、毎時1万8000振動、約168時間パワーリザーブ

素材:18Kホワイトゴールドケース(シースルーバック)、クーズーストラップ

サイズ:直径40.8mm、厚さ10.9mm

防水性:3気圧

 

極薄MOPで幻想世界を構築

↑ラドー「トゥルー オープンハート」24万3000円/Ref.734.0101.3.090

0.2mmにまで薄くカットしたマザー・オブ・パールを文字盤に採用し、ムーブメントを幻想的に演出。ケースとブレスはマットブラックのハイテクセラミックス製となっています。世界限定500本。

 

【SPEC】

ムーブメント:自動巻き (Cal.ETA C07.631)、毎時2万8800振動、80時間パワーリザーブ

素材:ハイテクセラミックスケース(シースルーバック)&ブレスレット

サイズ:縦47.3×横40.1mm(厚さ10.4mm)

防水性:100m

 

当たり前ですが、文字盤は時計を使ううえで最もよく目にするパーツです。ここの品質が高まっていくことは、ユーザーにとって歓迎すべき傾向でしょう。願わくば、今後はラドーのようなミドルレンジの価格帯のモデルから増えていって欲しいものです。