たかが針1本、されど針1本。
先ほども触れましたが、クオーツ時計はトルクが弱いため、針を追加するのも大変な苦労が伴います。それが、グランドセイコーのような視認性と美しさにこだわるデザインであれば、GMT針という大型の針の追加には並々ならぬ開発努力があったことでしょう。
実際に、セイコーは、トルクを最大限に生かした長く太い針に合わせるため、より剛性の高い部品で構成するなど、輪列部の見直しを図ったそう。その結果、ご覧の通りのGMT針を備えることができたわけです。
文字盤を回る4本の針には、それぞれの針を取り付ける軸が互いに干渉せずに、独立して回転する「4軸独立ガイド構造」と呼ばれる仕組みが用いられています。これにより、4本の針が単独でなめらかに回転できるようになるとのこと。
24時間表記を持つ固定ベゼルと対応する色分けが施されたインナーリングで、第2時間帯の昼夜判別も直感的に把握できる点も大きな特徴です。
これほどこだわり抜いた設計になっているのは、もちろんグランドセイコーに搭載されるムーブメントだから。日本の最高峰ブランドのために開発された新たなクオーツGMTウオッチは、紛れもなく世界最高峰の実用時計でもありました。