何がどうなってるの!? 思わず三度見するユリス・ナルダンの新作ウオッチ「エグゼクティブ トゥールビヨン スケルトン“フリーホイール”」

高級腕時計界で主流になりつつあるシリコン脱進機のパイオニア、ユリス・ナルダンが持ち前の技術力を存分に発揮した新作を公開しました。その名も「エグゼクティブ トゥールビヨン スケルトン“フリーホイール”」。この時計、驚くべき場所が“フリー ホイール”になっています。見るほどに謎が深まる驚異の複雑時計。その全貌をチェックしました。

 

完全に独立したように見えるのは、まさかの「脱進機」

腕時計の複雑機構の代名詞【トゥールビヨン】は、それを自社開発できるだけでトップクラスの技術力を持ったメーカーであると言えます。この機構は、髪の毛ほどのサイズであるひげゼンマイなどが重力によって偏ったり歪んだりすることを防ぐ「精度安定化」のためのもの。機械式時計の心臓部である脱進機をキャリッジと呼ばれるカゴ型パーツ内に組み込んでキャリッジごと回転させるという繊細な仕組みゆえ、数ある時計機構の中でも別格として扱われているのです。

現在製造されている多くのトゥールビヨンウオッチは、1周60秒で回転するキャリッジをブリッジと呼ばれる棒や板のパーツで支える構造が採用されています。ブリッジを使わず、キャリッジがむき出しになったものは「フライングトゥールビヨン」といい、より高度なテクニックが必要となる代わりに、精緻を極めた装置の動きを存分に楽しめるようになるのです。

この度ユリス・ナルダンが発表したのは、そのフライングトゥールビヨンをも超える“フリー ホイール”式のトゥールビヨンでした。1月に行われたジュネーブ国際高級時計展(=SIHH)では明かされなかった新作ですが、11月には日本での発売も予定されているとのこと。

時計のメカニズムがわかるようでわからない文字盤

この時計は、いま流行しているオープンワークやスケルトンウオッチとは一線を画す、歯車をむき出しにしたデザインが特徴。リューズを使って香箱を回してゼンマイを巻き上げる動きや、時刻合わせを行う動き、遊星歯車が回転する様子などが詳細に確認できる一方、6時位置のトゥールビヨンと4時位置にある最長7日間のパワーリザーブ表示は文字盤に浮遊するかのように独立しています。

こうした構造をよりよく魅せるため、風防には開発に数か月を要したというボックスドーム型のサファイアクリスタルがはめ込まれています。ケースサイドからでも搭載する自社製の新型キャリバーUN-176の作りを詳細に鑑賞できるわけですね。といっても、独自のユリスアンカー脱進機を備えたトゥールビヨン機構の動力伝達の経路は謎のまま……。

ちなみに、この時計にはスケルトンウオッチに必ず見られるパーツが見当たりません。どのパーツかというと、「人工ルビー」です。ユリス・ナルダンでは、あの特徴的な赤い「人工ルビー」に代わり、低摩擦性シリシウムを採用しているとのこと。シリシウムへのこだわりは、さすがパイオニア。

ユリス・ナルダン「エグゼクティブ トゥールビヨン スケルトン“フリーホイール”」1202万400円/Ref.1766-176
ユリス・ナルダン「エグゼクティブ トゥールビヨン スケルトン“フリーホイール”」1238万7600円/Ref.1760-176

この直径44mmの手巻き時計には2種類のケースがあり、ローズゴールドのモデルはダークストーンカラーの文字盤、ホワイトゴールドのモデルはハニカムグリッドの入ったブラックの文字盤を採用。どちらも、むき出しにされたムーブメントの構成パーツまで丁寧に仕上げられています。

ストラップは、マットなアリゲーターの“カーボンレザー”製。しなやかな着け心地とシルクのような肌触りが特徴となっています。

この時計は、限定ではないものの、初回販売数は僅少とのこと。もし運良く巡り会うことができたら、ユリス・ナルダンの最先端テクノロジーを先取りしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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