ローマとブルガリの融合が生み出す永遠のデザインーイタリア一流ブランド・ブルガリの時計製造の在り方を見る【前編】

ブルガリというブランドは腕時計のみならず、すべてのプロダクトをローマの街からインスパイアされデザインしています。そこで今回は、同社フラッグシップ・オクトシリーズのルーツを求めてローマへ。他に類を見ない美しきオクトのデザインコードが明らかとなりました。

ローマの街が生み出したブルガリのプロダクト

ブルガリのイタリア本社は、ローマでも風光明媚なテヴェレ川のほとりに位置します。近くにはサンタンジェロ城やパンテオンといった名所があり、ブルガリは日々この街からインスピレーションを得てデザインに反映させます。このスタイルは非常に長い間、同社の哲学として続いているもので、自社とローマの街との歴史的な繋がりを解き明かそうという試みも行われているのです。

↑バチカン市国の本部であるパラッツォ・デ・ラ・ローベル。天井には八角形のモチーフが

ただし、ブルガリは単にモニュメントのコピーをすることはしません。1つのディテールからインスパイアされてクリエーションに落としていくことが、彼らのルールなのです。たとえば1991年、パオロ・ブルガリ氏がニューヨークで購入した宝石を、サンタンジェロ城を囲む五角形の城壁から想起してジュエリーに仕立てたという話もあります。遺跡が当時のままの姿で保存される、さながら博物館のようなローマの街が、構造美にあふれるブルガリ的デザインを生みだすのに必要なのです。

↑サン・ステファノ教会のような、2つの異なる形を融合した建築はイタリア特有のデザイン。円は天を、四角は地上を表し、オクタゴンはその融合を意味する

「オクト」もまたそうやって生まれたプロダクト。2世紀に建造されたサン・ステファノ教会のように、オクタゴンと円を用いたデザインながら建築的なフォルムを誇るこの時計は、古代ローマからインスパイアされながら非常にモダンです。歴史あるものを今日にあっても魅力的な製品に解釈できることがブルガリの真骨頂。数百年以上前から動態保存されたローマの街を、1つずつモダナイズしたのがブルガリなのです。

ローマによって創造された美しいデザインと最先端の技術を組み合わせることで、他社には真似のできない唯一無二の名作を生み出しているブルガリ。後編では、ブルガリ本店の内部をブランドの歴史と共にご紹介します。