革新的なモデル・オクトシリーズをはじめ、多くのプロダクトのデザインルーツはローマの街にあったブルガリ(前編はこちら)。後編では王室や多くの名優が訪れたブルガリ本店を取材します。
歴史の変革と価値を宿すブルガリ本店
スペイン広場から至近のコンドッティ通りに居を構えるブルガリ本店は、創業者であるソティリオ氏の時代で既に多くのツーリストが訪れる店でした。この頃は、イタリアが共和国となったばかりでローマは比較的新しい都市。2代目のジョルジョ・ブルガリの時代には、アメリカやイギリス、ロシアといった国から観光客を呼び、ブルガリもそういった人々に広まったのです。
![↑本店のエントランス。大理石の床には大きく「8 宿しているポイントスター」が。四方の壁面には、長年にわたり 蜜月関係にあった王室の王冠があしらわれている](https://watchnavi.getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/08/859a0c9f916815057e7378a4514ac103.jpg)
ブルガリはまた、ヨーロッパ諸国の王室との関係も密でした。この当時既に一流ジュエラーとして世界に知られ、また自身も世界へ発信していきます。現在もエントランスにあしらわれている「8ポイントスター」は、当時の有力者・キッジ家やマルッセリ家のエンブレムの星がヒントとなったもので〝全世界どこへも向いている〞という意味を示しています。このエンブレムはバロック建築に多く用いられてるのも特徴で、ローマの至る所で見ることができます。
![↑本店2階の"ドムス”。VIPだけが立ち入ることのできる優美な空間](https://watchnavi.getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/08/4f32a2582dd0e10b4c5cc7bb73449edd.jpg)
本店には数々の名優たちが通った痕も残っています。かのエリザベス・テイラーが時の恋人リチャード・バートンと逢瀬を重ねた部屋は今も保存されており、流行の絶頂にあったチネチッタで活躍した女優たちを心広く受け入れていた空気も肌で感じることができるのです。
![↑ドムスには、多くのアーカイブを貯蔵。ブランド初期のジュエリーにアール・デコを取り入れたもの(左)や、特徴的なカボションカットを施した色石を用いたもの(右)などからは、デザインの変革が伺える](https://watchnavi.getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/08/0143826a9dc06761c3d46b019e21174c.jpg)
本店の外観をよく見ると、建物が2つだった頃の名残が見られます。ロゴの上部、RとIを境目に、左のレンガ調がキッジ家、右が当時のブルガリ本店だったもの。建築物から見ても、ブルガリがローマに根ざした“重み”が感じられることでしょう。
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