創業から190年以上を数えるスイスの名門ブランド【ロンジン(LONGINES)】は、その長い歴史において数々の傑作時計を生み出してきた。全く新しい魅力的なコレクションも揃えているが、アーカイブピースをモダナイズし、過去と現在を繋ぐ復刻時計も得意としている。そんなロンジンの新作「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」もまた、レガシーを称えつつ、モダンな要素を取り入れた要注目モデルとなっている。
傑作「コンクエスト」70周年のアニバーサリーに相応しい逸品
古くから時計産業が栄えたスイスにおいても、1832年創業のロンジンは古参の部類に入る。そのようなことからサンティミエのロンジン本社にはミュージアムが併設されており、アーカイブピースが膨大に展示されている。ニューモデルの開発に着手する際は、これらがデザイナーたちの“助け”になっていると聞いたことがある。おそらく「コンクエスト」の誕生70周年の節目に製作された「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」も、革新的な機構や独創的な意匠で人気を博した歴代の「コンクエスト」が一助となったことだろう。
↑サテンとポリッシュの交互仕上げがなされた小ぶりなケースや人間工学に基づく設計のラグにより、エレガントな外装を構成。ボックス型の風防がヴィンテージテイスト満点だ
「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」の最大の特徴はその名の通り、ズバリ文字盤中央にパワーリザーブ表示を備えていること。針やゲージで示すのではなく、回転する2枚のディスクによって表されるユニークな仕組みを採用しているのだ。どのように駆動するのかというと、インジケーターの役割を担うバトンシルエットが描かれた中央のディスクが巻き戻し(ゼンマイの解放)に合わせて時計回りに回転し、その外側にあるディスクの目盛りを指してパワーリザーブ残量を知らせる。一方でこの外側ディスクは巻き上げ(ローターの回転によるゼンマイの自動巻き上げとリューズを使った手動巻き上げ)に連動しており、こちらも時計回りに回転する。工夫が凝らされたこの両ディスクによって駆動残量が簡明に認識できる上、時計ファンを楽しませるギミックでもあるし、さらに72時間というロングパワーリザーブも特筆すべき点と言える。
↑シースルーバックより、搭載するロンジンのエクスクルーシブムーブメントのキャリバーL896.5を鑑賞できる。シリコン製ヒゲゼンマイを備えており、ISO764ベンチマーク規格を大きく上回る耐磁性を獲得している
ロンジンといえば、回転ディスク式の表示をいち早く導入したブランドとしても知られている。古くには1920年代後半に開発した航空産業向けのアワーアングル ウォッチがあり、人類史上初めて単葉単発単座のプロペラ機で大西洋単独無着陸飛行(ニューヨーク〜パリ間)を成し遂げたチャールズ・リンドバーグらに利用された。この時計には航空ナビゲーションとして機能する回転式の小文字盤や回転ベゼルが備えられており、当時の飛行士たちを大いにサポートした。まさに回転ディスク機構のリーディングカンパニーでもあったロンジンが、新たな専用キャリバーL896.5でその技術を進化させた形で具現化。「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」はこのムーブメントを搭載している。
↑立体的で美しいファセット加工のアプライドアワーマーカーをセット。12時位置のメタル縁を設けたカレンダー表示が印象的なデザインだ。個性的なスカイクレーパー形の時針と分針に、スーパールミノバ蓄光を塗布
伝統あるロンジンが培ってきた技術を結集し、実用性とエレガンスを両立した回転ディスク式パワーリザーブインジケーターを備える「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」。ゼンマイで駆動する機械式時計の醍醐味を実感でき、アイコニックなデザインを纏う本機は、シャンパン、アンスラサイト、ブラックのカラー違いで3つのバリエーションをラインナップ。現実的なプライスでもあるため、時計コレクターもこれから時計を趣味にしようと考えている人も魅力を感じることだろう。
ロンジン「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」 Ref.L1.648.4.78.2 59万5100円/自動巻き(ロンジン専用Cal.L896.5)、毎時2万5200振動、約72時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)、ボックス型サファイアクリスタル風防(両面多層反射防止コーティング)、アリゲーターレザーストラップ。直径38mm、厚さ12.30mm。5気圧防水。
問い合わせ先:ロンジン/スウォッチ グループ ジャパン TEL.03-6254-7350 https://www.longines.com/jp/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。
Text/山口祐也(WATCHNAVI)
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