LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループが主催する高級時計のイベント、「LVMH ウォッチ ウィーク」が先日開催され、LVMHグループに所属する計9つのブランドが集ってニューモデルを発表した。世界中から注目を集めるこれらの新作を、ブランドごとに紹介する。本記事では、【ブルガリ(BVLGARI)】の躍進の立役者であるジャン-クリストフ・ババンCEOに、「LVMH ウォッチ ウィーク」の意義や、新開発の自社製小型ムーブメントについて尋ねた模様をお送りする。
〈ブルガリ グループCEO〉ジャン-クリストフ・ババン氏にインタビュー
↑ブルガリ グループを牽引するジャン-クリストフ・ババンCEOは、着座する前列の左から2人目。その左隣が、ダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタの両ブランドも兼任するルイ・ヴィトン ウォッチ部門ディレクターのジャン・アルノー氏。
LVMH ウォッチ ウィークの魅力。そのひとつが最新のイノベーションを体感できること
[以下、ジャン-クリストフ・ババンCEOのコメント]
LVMH ウォッチ ウィークは特別な場で、最新のウォッチメイキングのイノベーションを発表することができる、ブルガリにとっても重要なイベントです。今年は、「キャリバーBVS100 レディ ソロテンポ」の導入により、ウォッチメイキングの卓越性の限界を押し広げることにフォーカスしました。技術的な熟練と美的な洗練の双方を反映した、新しい超小型の機械式ムーブメントといえます。
↑スイスのブルガリ マニュファクチュールにて設計から製造まで行う「BVS100 レディ ソロテンポ」。
「BVS100 レディ ソロテンポ」の開発は、最初の構想から完成まで3年を要しました。スイスのル・サンティエにあるブルガリ ウォッチの工房にてムーブメント開発、ケース構造、技術革新のそれぞれのスペシャリストが協力し合い、生み出せたものです。まさしくウォッチメイキングに対するブルガリの飽くなき追求を体現したもので、サイズ、薄さ、堅牢性、高性能のそれぞれを実現しています。他のブルガリのウォッチコレクションへの統合についてはもちろん、さらなる応用を模索しています。ブルガリのムーブメントは何よりもまずウォッチメイキングのアイデンティティ強化のために開発されていますが、創造性を高めてイノベーションの限界を拡げられるコラボレーションに対しても、ブルガリはつねに前向きでいます。「BVS100 レディ ソロテンポ」が、LVMHグループ内の他のメゾンでも利用できるようになるでしょう。このことはグループの強み、そして専門知識の共有を示しているのです。
LVMHグループ内の各ブランドは、それぞれ独自の創造的かつ技術的なビジョンを持って事業を展開していますが、ハイエンドの機械式時計が好まれるというトレンドは顕著になってきており、機械式ムーブメントの芸術性、エンジニアリング、長期的な価値を見据えたコレクターや愛好家の認識が高まっていることを反映しています。その中においてブルガリは、複数の分野で世界最薄記録を樹立した「オクト フィニッシモ」を通じて、10年以上にわたり機械式ムーブメント競争の最前線に立ってきました。また、同時にクオーツムーブメントも引き続きブルガリの主要プロダクツの一端を担っています。
↑「BVS100 レディ ソロテンポ」は、LVMHグループに所属するメゾンのレディスモデルの核として期待がかかる。
LVMH ウォッチ ウィークとWatches & Wondersの違いを尋ねられることが度々あります。その主な違いは、範囲と位置付けにあると言えるでしょう。時計業界最大のイベントであるWatches & Wondersは、あらゆるグループから様々なブランドが集まりますが、LVMH ウォッチ ウィークはLVMHグループのメゾンだけの占有的ショーケースです。イベントにはそれぞれ異なる目的がありますが、ブルガリは引き続き両方のイベントに注力し、イノベーションを適切なタイミングで適切なオーディエンスに届けていきます。
ブルガリは新しい小型キャリバーで機械式時計の未来を切り拓く
ブルガリは「セルペンティ」の新作2種を発表したが、どちらにも搭載する新マニュファクチュールキャリバーにも関心が寄せられている。「BVS100 レディ ソロテンポ」と名付けられた直径19mm、厚さ3.90mm、重さ5gという小型自社ムーブメントには、驚くことに約50時間の駆動時間が備えられている。開発期間は3年とのことだが、2020年のトゥールビヨン、2022年のピコリッシモを含め、これまで培ってきたブルガリウォッチメイキングの伝統と技術が生んだ傑作であり、他のモデルへの転用も可能なため機械式の新時代を築く存在となりそうだ。
↑(左から)最も小さなトゥールビヨンのひとつ「BVL150」、今回発表された「BVS100 レディ ソロテンポ」、極小の手巻き式「ピコリッシモ BVL100」。いずれもブルガリが自社で開発から組み立てまで行っている。
蛇がモチーフの小さな傑作時計がアップデート –「セルペンティ トゥボガス」
宇宙の周期的リズムと永遠の再生を象徴する蛇が題材の女性向けモデルに、約50時間パワーリザーブを備え、ローターに7枚の蛇のウロコにヒントを得たオリジナルのパターンを施す新開発の「キャリバーBVS100 レディ ソロテンポ」を採用。蛇の頭を想起させるヘッドに、放射状ギヨシェとサンレイ加工を施したホワイトオパーリン文字盤を配する。
スペック:自動巻き(自社製Cal.BVS100 レディ ソロテンポ)、約50時間パワーリザーブ。18Kピンクゴールドケース&ブレスレット。直径35mm。3気圧防水。
素材違いで7バリエーションを揃える –「セルペンティ セドゥットーリ」
蛇の頭を模ったダイヤモンド入りのケースに「キャリバーBVS100 レディ ソロテンポ」を搭載。ブレスレットにも蛇のアイデアが活かされており、ウロコ状のコマから構成されたデザインだ。カボションカットのピンクルベライトをあしらったリューズがデザインのアクセントになっている。
スペック:自動巻き(自社製Cal.BVS100 レディ ソロテンポ)、約50時間パワーリザーブ。18Kイエローゴールドケース。直径34mm。3気圧防水。
ゴールド素材はイエローの他に、ピンクがラインナップ。扱いやすいステンレススチールはブラックまたはホワイトの文字盤があり、18Kピンクゴールドとのコンビネーションも。さらにはパヴェダイアルのプレステージ仕様として、18Kピンクゴールドモデルと18Kホワイトゴールドモデルを用意している。
問い合わせ先:ブルガリ・ジャパン TEL.0120-030-142 https://www.bulgari.com/ja-jp/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。
◎本記事は『ウオッチナビ 2025 Spring Vol.97』より抜粋・編集しています。
Text/WATCHNAVI編集部
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