既報の通り、4月24日(木)に日本初となるジラール・ペルゴ ブティックが大阪・心斎橋にグランドオープンした。これに先駆け、21日に行われたプレスプレビューの模様をお届けする。
御堂筋と長堀通の交差点からすぐの好立地に誕生!
腕時計を取材を重ねた筆者にとって、長堀通と御堂筋の交差点を中心としたエリアにはこれまでにも幾度となく訪れてきた場所。ジラール・ペルゴ ブティック 大阪もこのエリアに完成した。地下鉄心斎橋駅の南15階段を出てすぐの場所にあり、公共交通機関を乗り継いでも訪れやすく、地上に出ればすぐにロレアート スケルトンの外看板が目に入る。
店内に入ってすぐ目に飛び込むのは、バーカウンタースペース。その卓上には、半楕円形のガラスケースがあり、夢にまで見たラ・エスメラルダ トゥールビヨン「シークレット」エタニティエディションと早くも対面!
この時計は後でじっくり拝見させていただくことにし、引き続きブティックを回遊。カウンターの奥では壁面いっぱいに広がるデジタルサイネージで、ブランドの世界観を伝えるムービーが流れていた。もう一方の壁面に目を向けると1975年からの「ロレアート」のアーカイブピースを陳列。これら歴史的名作を目にできるだけでも、すでに訪れた価値は十分にある。
店内の奥に進むと「ヴィンテージ1966」や「ブリッジ」などのコレクションがあり、そのまま導かれるように2階へと続く階段を上がる。と、その途中、ふと見上げた先に世界地図が見える。スイス時計産業の中心地であるル・ロックルと日本の横浜とが線で結ばれており、これがブランドの創業者一族であるフランソワ・ペルゴがスイス時計を広めるためにたどった足跡だと理解した。こうした歴史的な繋がりを知ることができるのも、ブティックならではの特徴といえるだろう。
その地図を背にして時計を吟味できるデスクのショーケースには、現在の主力アイテムであるロレアートシリーズが並ぶ。菊池店長に聞いたところ、ブティックには常時30本ほどを展示しているそうだ。「店頭にあるもの以外にもご用意はありますので、お探しの時計があればお気軽にお声がけください」とのこと。
この2階の長堀通りに面した場所にはソファセットを設置。より時間をかけてジラール・ペルゴの時計を吟味できる環境が整っている。こうした設えは、ブティックの運営企業である株式会社オオミヤの店作りとも共通するところ。しっかり時間をかけて腕時計を選んでほしいという思いは、ジラール・ペルゴ ブティック 大阪にも息づいていた。「1階はブランドの最新情報を発信し、ご相談ごとなどをお伺いするための場所と位置付けています。時計選びにはじっくり時間をかけていただきたいので、2階をくつろげる空間にしたかったのです」(株式会社オオミヤ代表取締役社長・出水孝典氏)
読者の中には、ジラール・ペルゴジャパンが運営ではないのかと疑問を持った人もいるかもしれないが、日本の時計市場では時計店とブランドによってブティックを運営することは珍しいことではない。だが、ことジラール・ペルゴについては確たる信念がある。「ジラール・ペルゴには直営ブティックはなく、シンガポールならアワーグラス、スイスならブヘラのように世界各地にあるブティックも現地の有名時計店によって運営されています。ブランドはよりよい時計を作ることに専念し、時計の販売はその道のプロフェッショナルにお任せする。それがジラール・ペルゴのポリシーとなっています」(ジラール・ペルゴ ジャパン代表取締役社長・安田幸充氏)
安田氏によれば、店頭に販売できるアイテムが30本も並ぶのはブティックだからこそ可能なのだという。「ジラール・ペルゴの生産本数は年間で1万5000本程度です。おかげさまでロレアートが主力コレクションとなって以降、マスブランドというイメージをお持ちになった方もおられるのですが、実際は時間をかけて1本の時計を作り上げる伝統的なマニュファクチュールであり続けています」
その事実は、入店直後に発見したラ・エスメラルダ トゥールビヨン「シークレット」エタニティエディションを見ても理解できるはずだ。この時計のルーツは1889年のパリ万博にてコンスタン・ジラールが発表し、金賞を受賞した時計界のマスターピース。その意匠を受け継ぐ特別モデルは世界限定18本のみの製造となっている。ブランドのシンボルにもなっているゴールドブリッジは1本の仕上げに18時間を要するほか、さらにギヨシェやエナメル、彫金などとった伝統的な装飾技法を凝縮。この時計を1本作り上げるまでに一体どれほどの時間がかかるかは、想像に難くない。



今回のブティックオープンに際しては、スイス本社からもブランディング ディレクターのマーク・ミシェル=アマドリー氏が来日しており、話しを聞くことができた。
「今年の2月に入社したばかりですが、時計のビジネスには約30年ほど携わっています。私はジラール・ペルゴについて情熱があり初めて購入した時計も『WW.TC』でしたから、今後の仕事をとても楽しみにしています。今回、日本でブティックをオープンできたことは、ブランドにとって重要な出来事です。加えて、2025年はロレアートの誕生50周年という節目でもあります。まだ多くはお伝えできませんが、これからメディアの皆様には興味深いニュースをお届けできると思いますので、ぜひご期待ください」
今回のブティック内覧会は思わぬ情報まで聞くことができ、とても実りの多い取材となった。日本のフラッグシップブティックの完成を経て、これからどのようなニュースが今後ジラール・ペルゴから届くのか。続報に期待したい。
Text/Daisuke Suito (WATCHNAVI)
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