高級時計における独立系マニュファクチュールブランドの名門、【ユリス・ナルダン（ULYSSE NARDIN）】がフリークのニューコレクションを発表した。独自のメカニズムを小型＆薄型のケースに収める「フリーク X」より、美しいエナメルアワーディスクを採用した「フリーク X ゴールド エナメル」が登場。価格は766万7000円（税込み）、限定生産モデルで120本のリリースとなっている。
独創的な表現方法で時刻を示す「フリーク X」
文字盤も針も持たない「フリーク X」は、既存の時計の概念を根底から覆す「フリーク」のオリジナリティを受け継ぐ小型＆薄型モデルだ。時刻は独自の回転ディスク上のポインターが示し、ムーブメントそのものが1時間で1回転する斬新なメカニズムで時刻を表す。その構造は、中央のブリッジが分針の役割を担い、ホイールのひとつが時針となる。「フライング・カルーセル」と名付けられたこのユニークな機構は、ムーブメントを支えるアッパーブリッジを排除することで、まるでムーブメントが宙に浮いているかのような視覚効果を生み出す。その姿から、ユリス・ナルダンが卓越した技術とアイデアを持ち合わせていることが理解できる。
ブルーのエナメルで彩られた美しい回転ディスク
「フリーク X ゴールド エナメル」の見どころのひとつが、緻密なサンレイパターンのギヨシェ・フランケが施された回転ディスクの美しさ。幾層にも重ねることで、深く鮮やかなブルーを実現したエナメルは、コレクションの象徴ともいえるフライング・カルーセルの回転軌道を際立たせ、神秘的な世界観を創出。ユリス・ナルダンが長年にわたり継承するエナメル装飾は、工業的な大量生産では決して再現できない、極めて繊細な手作業と熟練の技を要する。時計製造におけるメティエ・ダール（芸術的な技法）のひとつに数えられ、同ブランドのエナメル専門アトリエであるドンツェ・カドランを含めてもごく限られたアトリエだけが、その真髄を習得している。
そして本機のエナメル回転ディスクも技術的なチャレンジの末に、完成した逸品といえる。通常は文字盤として独立している部分がムーブメントと一体化されており、複数のネジで固定された機能的かつ可動性の機械部品として機能するためだ。この構造的な複雑さがエナメル加工を一層困難にし、類稀な精度や専門的な知見が不可欠だった。なおこの回転ディスクは、職人が丸一日をかけて一枚一枚を丹念に製作しているという。これを経て、この世に同じものは二つと存在しない、まさに唯一無二の芸術品といえる域に達するものとなった。
ブルーPVD加工が施されたチタンケースとローズゴールドパーツの融合
耐久性と軽さを兼ね備えた43mmのチタン製ケースにはブルーPVD加工が施されており、ベゼルにも同様の仕上げがなされている。これにローズゴールドのサイドパーツを組み合わせることで、気品あるコントラストが生まれ、時計全体の優雅な雰囲気を一層際立たせている。さらに細部に目を凝らせば、ローズゴールドカラーのミニッツブリッジ、スーパールミノバ®が施されたインデックスなど、徹底したこだわりが見てとれる。ストラップには、ローズゴールドカラーのステッチ入りのアリゲーターレザーを採用。チタン＆ローズゴールド製のフォールディングバックルが備えられており、装着性とデザイン性を巧みに両立している。
この端麗で創造性豊かなニューモデルには、ユリス・ナルダン自社製造の自動巻きムーブメント、キャリバーUN-230が搭載されている。ヒゲゼンマイのほか、アンクルとガンギ車で構成される脱進機、テンプ（軽さと慣性を両立）についても、同ブランドが設立した専門研究所であるシガテックで完全自社製造したシリコン製を利用。精度を司る重要なパーツを、シリコン製でこれほど内製化できるているブランドは極めて少なく、ユリス・ナルダンの突出したイノベーション力がうかがえる。なお、煌びやかなローズゴールド製ローターを備えるムーブメントは、ケースバックのオープンサファイア越しに鑑賞可能。ハイエンドな「フリーク」に比べて小型＆薄型であることで、実用面でも優れたコレクターズアイテムとして多くの支持を得ることだろう。
ユリス・ナルダン「フリーク X ゴールド エナメル」
Ref.2305-270LE-3AE-BLUE/1A 766万7000円／自動巻き（自社製Cal.UN-230）、毎時2万1600振動、約72時間パワーリザーブ。チタンケース（シースルーバック）、アリゲーターストラップ。直径43mm。50m防水。世界限定120本。
問い合わせ先：ソーウインド ジャパン TEL.03-5211-1791 https://www.ulysse-nardin.com/ja-jp ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text／三宅裕丈
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