時計界最大の祭典である「ウオッチズ&ワンダーズ」を中心に、各ブランドの2025年新作について取材した。そこから見えてきたのは、「進化する定番」という時計の潮流。ウオッチナビ取材陣が推す、ベスト バイ ウオッチについて紹介する。
“進化する定番”が各社の個性を映し出す
2025年上半期のニューモデルからまず浮かび上がるのは、長年愛される定番モデルが素材・機構・ビジュアルで大胆に刷新を果たしつつ、アイデンティティを堅持する「進化する定番時計」だ。その手法はブランドごとに異なるが、たとえばパネライは医療グレードのステンレスを用い、防水性能を高めた新しいルミノール マリーナを世に送り出した。
歴史的な意匠はそのままに防水性向上とシースルーバックの復活で魅力度アップ
パネライ「ルミノール マリーナ」 Ref.PAM03312 132万円
レバーロック式リューズプロテクターやサンドイッチダイアルなど、ルミノールの歴史的な意匠を守りつつ、各所をすみずみまでアップデート。お馴染みの44mmクッションケースは厚さが12%、重量が15%縮小し、ステンレススチール素材には耐腐食性や強度に優れたAISI316LVM-1.4441スチールを採用。防水性はシリーズ最高の50気圧防水に達している。大きな魅力のひとつ、“サンドイッチダイアル”もスーパールミノバX2の採用で明るさ&視認性が向上した。自動巻き。
問い合わせ先:オフィチーネ パネライ TEL.0120-18-7110 https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
素材を削ぎ落して実現した世界最軽量の機械式ダイバーズ
ユリス・ナルダン「ダイバー エアー」 Ref.3743-170-2A/0A 600万6000円
チタンとカーボンのモジュール構造とした44mmケースによる、わずか52gの超軽量ダイバーズ。新しい自社製自動巻き「キャリバーUN-374」は90時間駆動を維持しつつ、素材を削ぎ落とし、ケース内は体積比8割が“空気”。それでも5000Gの強烈な衝撃に耐える。スケルトンダイアルとダイバーズの新たな可能性を切り拓いたモデルだ。軽量化のため、香箱も削り、上部プレートのないフライング構造になっているが、“ここまでやる”のがユリス・ナルダン流といえる。手巻き。
問い合わせ先:ソーウインド ジャパン TEL.03-5211-1791 https://www.ulysse-nardin.com/jp_jp/
“オール イン ワン”のリューズで永久カレンダーを直感的に操作
オーデマ ピゲ「ロイヤル オークパーペチュアルカレンダー」 Ref.26674ST.OO.1320ST.01 価格要問い合わせ
創業者が手掛けた懐中時計から続くオーデマ ピゲの永久カレンダー技術を劇的に革新したのが、新開発の「キャリバー7138」だ。永久カレンダーは一度止まると通常はコレクターで各表示を修正するが、「キャリバー7138」はリューズだけで直感的に修正できる。さらに52週や曜日と日付は起点を12時位置に配し、日付の針が常に数字の幅に合わせた中央を指す特許技術により視認性も向上。煩雑な永久カレンダー表示の修正作業を“簡単”にするために、複雑な機構を新開発したことに驚かされる。自動巻き。
問い合わせ先:オーデマ ピゲ ジャパン TEL.03-6830-0000 https://www.audemarspiguet.com/ja
ウオッチズ&ワンダーズとは?
「WATCHES & WONDERS GENEVA」は、毎年春にスイスのジュネーブで開催される世界最大の新作時計ショー。2025年は過去最大となる名門60ブランドが参加。来客者5万5000人、取材者1600人、リテーラー6000人が集結した。
◎本記事は『ウオッチナビ 2025 Summer Vol.98』より抜粋・編集しています。価格は記事公開時点の税込価格です。
Text/WATCHNAVI編集部