ドイツの高級時計ブランド【グラスヒュッテ・オリジナル(GLASHÜTTE ORIGINAL)】から、ブランド設立180周年を記念した新作「パノルナ・トゥールビヨン」が発表された。価格は1716万円(税込)。世界限定50本の希少なタイムピースとなっている。
ローズカラー文字盤でグラスヒュッテの大地を表現
【グラスヒュッテ・オリジナル】は、時計製造180周年となる2025年に、グラスヒュッテの街で唯一となるダイアルマニュファクトリーをオープンした。これを受けて特別に製作された新しい「パノルナ・トゥールビヨン」は、精巧なガルバニック加工が施されたローズカラーの文字盤を採用。このカラーには物語があり、グラスヒュッテは鉱物資源に恵まれた街で、土壌に含まれる高濃度の鉄分が酸化して大地が赤みがかっていることから、文字盤がローズカラーに仕上げられた。
光の加減や見る角度によって濃淡が変化するこの文字盤は、まさにグラスヒュッテの街に広がる生き生きとした風景を想起させる。これを引き立てるように針、プリント加工の文字、インデックス、パノラマデイトとムーンフェイズの背景にはブルーカラーを配色。黄金比に基づく左右非対称の文字盤配置が同コレクションの魅力だが、新たな表現によってクラシックな要素にモダンな解釈が加えられ、タイムレスな美しさを備える逸品となった。
ブランドを象徴する3つの複雑機構を搭載

本モデルはフライング・トゥールビヨン、パノラマデイト、ムーンフェイズの3つの複雑機構を搭載している。最大の見どころは1920年に同社の時計職人アルフレッド・ヘルヴィグが考案したフライング・トゥールビヨンで、時刻表示の下にレイアウト。ケージの先端に取り付けられたスモールセコンドは、1分間に1回転する。ローターおよび脱進機を構成する全部品がシルバーの色調に統一されているため、繊細で軽やかな構造を引き立てる。そして、ブランドのシグネチャーとなるパノラマデイトは4時位置。同じ平面に2枚の同心状のディスクを取り付けることで、2桁表示の中央部に分離バーを設けることなく大きなカレンダー表示を実現している。その上部にはムーンフェイズディスプレイが配されている。ダークブルーの背景にシルバーの星を散りばめ、美しく夢幻的な夜空を再現した。これらは、新しく設立された自社のダイアルマニュファクトリーで作られている。
デザインだけでなくムーブメントにおいても、伝統と革新の融合が感じられる。搭載している最大60時間パワーリザーブを誇る「キャリバー93-03」には、日常生活の範囲で磁場の影響を受けないシリコン製ヒゲゼンマイを採用。地板とスケルトン形状のローターはグラスヒュッテストライプ仕上げ、受け板はペルラージュ加工、トゥールビヨンケージはエッジに面取りを施したティンポリッシング仕上げとなっている。これら多彩な仕上げが手作業で施された美しい同ムーブメントは、サファイアクリスタルバックを通して眺めることが可能だ。
マニュファクトリーで手作業によって作られた文字盤だからなのか、ただ美しいだけでなく、グラスヒュッテの生命の息吹さえ感じられる。よく覇気がないと言われる筆者だが、この時計を身に着ければ力がみなぎるかもしれない。
グラスヒュッテ・オリジナル「パノルナ・トゥールビヨン」 Ref.1-93-03-01-03-61(レザーストラップ)、 Ref.1-93-03-01-03-64(シンセティックストラップ) 各1716万円/自動巻き(自社製Cal.93-03)、毎時2万1600振動、60時間パワーリザーブ。プラチナケース(シースルーバック)、レザーストラップまたはシンセティックストラップ。 直径40mm、厚さ12.7mm。5気圧防水。世界限定50本。
問い合わせ先:グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座/スウォッチ グループ ジャパン TEL.03-6254-7266 https://www.glashuette-original.com/ja/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/Ren Kanagawa