<取材協力>
ボール ウォッチ(BALL WATCH)
機械式時計には水、衝撃、磁気といった複数のウィークポイントがあり、古くからこれらに対処する機能が生み出されてきた。【ボール ウォッチ(BALL WATCH)】も然りで、1891年の創業以来、“あらゆる過酷な環境のもとで正確な時を告げる”を哲学に時代に合わせた時計を製造してきたのだ。その最新作が、ブランド内人気ランキングでNo.1に輝くダイバーズクロノグラフをベースとした日本限定仕様「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」である。その実力と魅力を、ここにレポートする。
わずか50ピースの希少性。オーバースペックも高く評価されている
まずは、「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」の特徴について掘り下げる。ボール ウォッチのフラッグシップシリーズとなる「エンジニア ハイドロカーボン」の中でも最高峰に位置付けられる「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5」をベースとし、屈強なダイバーズのスペックとストップウオッチ機能(クロノグラフ)を同時に備える限定モデルとなっている。プロダクトのコンセプトは、アメリカ海軍の潜水実験隊「NEDU(US Navy Experimental Diving Unit)」による着用を想定したもの。NEDUとは、飽和潜水や減圧潜水といった最先端のテクニカルダイビングにおいて、不可欠な安全基準を確立した部隊で、まさに世界最高峰の潜水技術を有する。この視点で開発されたため、本機は飽和潜水に対応している。飽和潜水の一連のプロセス下では、装備品のひとつである時計のケース内部にヘリウムガスが入り込んでしまうため、これを減圧時に合わせて自動で排出するバルブを搭載している。しかもこの装置をリューズにビルトインさせた、世界初の特許機構となっている点も注目に値する。
↑リューズにビルトイン型のヘリウム・エスケープ・バルブを搭載。この世界初の機構で飽和潜水に対応する。また、リューズガードとリューズ本体の高さを揃え、その上にプロテクション・プレートを覆う「セーフティロック・クラウンシステム」も備える。いずれもボール ウォッチオリジナルの特許技術だ。ブレスレットを強力に固定するロックピンも採用。
その外観からもタフさが伝わってくる「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」だが、飽和潜水対応のほかにも600m防水、4800A/mの耐磁性、7500Gsの衝撃耐性(高さ1.5mから自由落下にて木の床に落とした時に受ける衝撃と同等の衝撃テストをクリア)、セーフティロック・クラウンシステムなど、プロ潜水士による使用にも十分耐えるスペックを装備している。直径42mmのケースは、高硬度かつ耐腐食性に優れ、金属アレルギーを引き起こしにくいグレード5チタンとし、ラグにはダブルのロックピンを用いてブレスレットの固定力を高めている。そのブレスレットはグレード2チタンとステンレススチールのコマを組み合わせたコンビネーション仕様で、高い剛性と程よい重量バランスを両立。表面にサテン、側面とエッジにポリッシュの仕上げを施し、立体的で美しい造形を作り出している。これらのように、オーバースペックと表現できるほどの機能とリアルなユーザビリティを備えていることも、本機の魅力となっている。(機能の詳細紹介は、コチラの記事でも紹介→https://watchnavi.getnavi.jp/topics/138035)
↑「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」の文字盤にクローズアップ。独特なパターンが生まれるマザー オブ パールは引き込まれるようなブルーで、深海を彷彿とさせる。天然ならではの上質感が洗練された印象を与え、人工的な装飾では再現できない個性を放つ。
エレガントなマザー オブ パール文字盤の特別感。海との親和性を強調
ハイスペック仕立ての「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」は、その高性能のイメージに反し、煌めくマザー オブ パールの文字盤を採用していることも特筆すべきポイントである。ダイバーズといえば、一般的には光の反射を抑えるマットな表面の文字盤が採用されるものだが、“日本限定モデル”という観点からマザー オブ パールを使用している。マザー オブ パール文字盤はボール ウォッチでもこれまでに使ってきたが、「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5」では初の採用となる。従来でいうと、そのエレガントな雰囲気からレディスウオッチやドレスウオッチにセットされている傾向が強かったものの、近年ではあらゆるブランドがスポーツウオッチやダイバーズにもマザー オブ パール文字盤を取り入れたコレクションを積極的に展開している。とりわけ自然由来の価値あるマテリアルであることから、リミテッドモデルでの採用例が散見される。
↑ブラックセラミックベゼル(左)とブルーセラミックベゼル(右)の2型がラインナップ。マザー オブ パール文字盤の雰囲気は個々で異なる。写真は傷防止のフィルム付き。
そんなマザー オブ パール文字盤は、真珠を作る母貝(白蝶貝やアコヤ貝など)から製造される。天然素材のため、表層の模様や輝きがひとつ一つ異なることが特徴だ。母貝の真珠層を薄く削り出し、文字盤のベース(真鍮製など)の表面に取り付けられた構造となっている。その見た目は光の角度によって色調が変化し、エナメルや陶器、PVDコーティングのような光沢を持つ。カラーやスライスの厚さなどによっても色の深みが異なるが、「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」に使われているそれはネイビーに近い深いブルーの色合いで、角度によって虹色に変色して見えることから様々な表情を楽しむことができる。
なお「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」には、逆回転防止ベゼルのカラーがブラックまたはブルーの2型がラインナップされている。そのベゼルトップはセラミック製で、分針を合わせて使用する60分間のダイビングスケールが配されている。セラミックは傷に強く、褪色耐性を有しており、風防のサファイアクリスタルと同様に長期使用に向いている。さらにこのベゼルには蓄光型のルミノバ夜光が塗布されており、マザー オブ パール文字盤のバーインデックスと時分針には計21個の自発光マイクロ・ガスライトを装備。両夜光システムによって暗闇においても優れた視認性をキープする。深いブルーに浮かび上がるこれらは、深海の静寂の中で輝く生命のように腕元で神秘的な存在感を放つのだ。
物価高騰や為替変動が影響し、時計の高額化が顕著な現在もユーザーフレンドリーでコストパフォーマンスに優れる機械式時計を輩出しているブランドがいくつか存在する。ボール ウォッチもこれに数えられるスイスメイドのブランドであることが、十分に理解いただけたことだろう。予算70万円、唯一無二のデザイン、本物志向のダイバーズ、機械式クロノグラフ、スイスCOSC認定クロノメーターを取得した高精度、ハイエンドなスペック。これら全てを満たす「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」は、コレクターだけではなく初めて手にする本格時計としても提案できる安心感がある。さらに幻想的なマザー オブ パール文字盤と50本だけという特別感が、購入の後押しとなるに違いない。
〈WATCHNAVIはココにも注目! バックルの作りの秀逸さ〉ボール ウォッチのフラッグシップである「エンジニア ハイドロカーボン」シリーズには、他ブランドでは見られないほどの耐久性とテンション強度を誇り、さらにユーザーに快適さをもたらす機能を持つバックルが採用されている(一部モデルを除く)。それを表すのが上の写真だ。着脱しやすい両開きタイプで、構造は複雑だが鋳造ではなく鍛造製法を用いている。驚くことに両側にあるピンも鍛造で成型されており、裏側から嵌め込んだ設計ではないため極めて強度が高い。さらに両開きバックルではめずらしく、その両端にエクステンションパーツ(約1コマぶん)を備えている。本来はダイビングスーツの上から着けやすくするための機能だが、汗ばむ夏季は腕へのホールドを緩めたくなるためこの装備が役立つはずだ。これもボール ウォッチのユーザビリティの高さを証明している。 |
ボール ウォッチ「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」 Ref. DC3226A-S8CJ-BE 69万3000円/自動巻き(Cal. RR1402-C)、毎時2万8800振動、約48時間パワーリザーブ。グレード5チタン製ケース、グレード2チタン製&ステンレススティール製テーパー・ブレスレット、サファイアガラス(反射防止処理済み)。直径42mm、厚さ17.3mm。600m防水。日本限定50本。アメリカ・ペリカンプロダクツ社製の特別仕様パッケージ付属。
ボール ウォッチ「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパン リミテッド」 Ref. DC3226A-S9CJ-BE 69万3000円/自動巻き(Cal. RR1402-C)、毎時2万8800振動、約48時間パワーリザーブ。グレード5チタン製ケース、グレード2チタン製&ステンレススティール製テーパー・ブレスレット、サファイアガラス(反射防止処理済み)。直径42mm、厚さ17.3mm。600m防水。日本限定50本。アメリカ・ペリカンプロダクツ社製の特別仕様パッケージ付属。
問い合わせ先:ボール ウォッチ・ジャパン TEL.03-3221-7807
ボール ウォッチ公式サイト:https://www.ballwatch.co.jp/
ボール ウォッチ日本公式オンラインブティック:https://www.ballwatch.co.jp/
※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/山口祐也(WN編集部) Photo/高橋敬大(TRS)、鈴木謙介
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