1975年、ジラール・ペルゴの完全自社デザイン・開発・製造によって誕生した名作「ロレアート」が誕生から50周年を迎えた。この大きな節目を飾るモデルが出るのかどうかは、今年の時計関係者の大きな関心ごとだった。そして新型ムーブメントの先行発表を経て、ついに待望のアニバーサリーモデルがベールを脱いだ。10月7日に発表、同日発売となる「ロレアート フィフティ」と名付けられた200本限定生産の超希少タイムピースの特徴について、詳しくみていこう。
誕生からすでに唯一無二の存在だった「ロレアート」
1966年からジラール・ペルゴが単独でクオーツムーブメントを開発していたのは、時計界ではよく知られた話である。そして、その5年後に完成したキャリバーGP350の振動数3万2768Hzが、いまでも時計産業の国際基準になっていることも周知の事実。そうした革新的なクオーツムーブメント開発を象徴するモデルとして、1975年にロレアートは誕生した。なお、その2年後には、スイス公式クロノメーター検定協会(以下、COSC)に登録されたクオーツ関連の特許の実に83%をジラール・ペルゴが占めていたという記録も残されている。
そのような自社開発クオーツムーブメントを搭載した初代ロレアートは、ケースとブレスレットが一体型になったようなフォルムが大きな特徴。さらにトノーシェイプのケースに円形の台座の上に八角形のベゼルを持たせるなど、社内デザイナーによりオリジナリティあふれるデザインに仕上げられた。なお、初代ロレアートというフレーズからゴールドとシルバーのコンビモデルを想像した人は、なかなかの時計ツウだろう。そして、ほぼそのイメージのままのデザインによって最新作「ロレアート フィフティ」は作られた。

「過去と未来、伝統と革新、分別と大胆さを組み合わせる」ブランドの宣言
記念すべき限定モデルは、39mm、厚さ9.8mmの新サイズに、スティールと3Nイエローゴールドのコンビネーションを採用。初代モデルを彷彿とさせるバイカラーデザインはそのままに、ケースエッジの面取りのポリッシュを際立たせ、八角形ベゼルにもサテンとポリッシュの見事な仕上げ分けを施している。濃いサンレイグレーのダイアルにはクル・ド・パリ装飾を施し、外装の3Nイエローゴールドと色調を揃えたインデックスと針が時計の持つエレガントさを盛り上げる。

オリジナルモデルに忠実なバイカラーのコンビブレスレットは装着感への配慮からHコマのピッチを短く設計したほか、最長4mmまでの微調整が可能なハーフリンク調整機能を備えたバックルなど、より手首へのフィット感を向上。ゴールド輝く中ゴマのみ若干のボリューム感を持たせることで、光の反射がもたらす表情の変化をより豊かなものにしている。

「ロレアート フィフティ」の見どころは、このモデルが初お披露目となる新型キャリバーGP4800にもある。長年の開発期間を経て完成した本機は、シリコン製エスケープメントと可変慣性テンプを採用。長寿命とエネルギー効率を重視したハイスペックだけでなく、10種類以上におよぶ仕上げにより現代ジラール・ペルゴの品格にふさわしい美観も兼ね備える。これらが、いまやエンブレムとなったスリー・ブリッジにインスパイアされた構造のもとに組み上げられ、正確な時を刻む姿はシースルーバック越しに鑑賞できる。

世界中で争奪戦必至の限定200本というレアピースゆえ、この時計は目にするだけでも貴重な体験といえるだろう。一方で、新型キャリバーGP4800は今後も製造が続くものと予想される。プレスリリースによれば、「ロレアート フィフティ」は「過去と未来、伝統と革新、分別と大胆さを組み合わせる」ブランドの宣言というべきモデルだという。これをもって新たなステージへと突入したジラール・ペルゴの今後にも大いに期待したい。

問い合わせ先:ソーウインド ジャパン ジラール・ペルゴ TEL.03-5211-1791 https://www.girard-perregaux.com ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/Daisuke Suito(WATCHNAVI)
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