現存する最古のスイス時計ブランド【ブランパン(BLANCPAIN)】の重要なコレクションのひとつ「ヴィルレ」から、新たなモデルが登場した。一挙16リファレンスで展開される新作の詳細を、静岡・修善寺にて行われたローンチイベントの模様とともにWATCHNAVI編集長がレポートする。
伊豆の自然を感じながら新作をチェック

すでにWNSの記事にて既報の通り、今回発表されたのは「ヴィルレ ウルトラスリム」「ヴィルレ コンプリートカレンダー」「ヴィルレ ムーンフェイズ」という、機能の異なる3型がベース。それぞれにケースがステンレススチールと18Kレッドゴールド、文字盤カラーがグレイン仕上げのオパリンとサンレイ仕上げのブラウンゴールドから選択できる。
メディア向けに行われたローンチイベントは、“伊豆の小京都”とも称される自然豊かな修善寺で500年以上もの歴史を持つ温泉旅館の2階にて催された。自然光をたっぷり採り込むガラスの引き戸から外を眺めれば、緑豊かな山と程よい水量で流れ落ちる滝、それを受け入れる池という、日本ならではの旅情を目と耳で楽しむことができる。さらに池の上には能舞台があり、宿泊客は客室にいながら日本の伝統芸能が鑑賞できるという趣向も面白い。

ブランパンもまた、ジュウ渓谷の大自然に囲まれたル・ブラッシュにて時計を製造する創業290年の時計ブランドであり、伝統的な技術をいまに伝える希少な存在。また、ブランパンはあのミシュランガイドをはじめ、厳格な審査を経て加盟した名門ホテルやレストランが加盟しているルレ・エ・シャトーなど、素晴らしい食や宿泊体験を提供する団体ともパートナーシップを結んでいる。ヴィルレの森を想起させる素晴らしいロケーションとホスピタリティに加え、料理でも高く評価されているこの会場は、まさにブランパンの新作を発表する場所としてうってつけと言えるだろう。

絶妙なディテールの変化に舌を巻く
しばらく景色を堪能し、以前訪れたル・ブラッシュのアトリエの記憶を蘇らせた状態でいざ新作を拝見。今回のモデルは、確かに「ヴィルレ」コレクションのデザインコードは保たれているが、いくつかの仕様変更も見て取れた。既存品との大きな違いは針に蓄光材が入っていること。これは純然たるドレスウオッチにしてはかなり珍しいアイデアで、しかもただスケルトンだった部分に蓄光材を入れるのではなく、針の形状自体をやや変更している。アプライドインデックスも、いつもの緩やかな曲線を持つフォントではなく、直線的な書体になっている。12時にあるJBロゴは、創業者であるジャン=ジャック・ブランパンのイニシャル。細かく面取りが施されたスマートな書体のインデックスとも馴染みながら、さりげなくブランドのアイデンティティを強調している。

ムーンフェイズのついたモデルに関しては、そのディスクの製法についても変更がなされ、従来品よりも立体感が増した。艶やかなセラミック製の盤面に嵌まるゴールド製の月はドーム型に成形され、その表面にレリーフを施すことによりアイコニックな月の表情を鏡面で浮かび上がらせることに成功した。

この月齢表示はケースラグの裏面にあるブランパンの特許技術「アンダーラグコレクター」によって調整が可能。なおケースバックはシースルー仕様で、メカニズムの動きが鑑賞できる。搭載ムーブメントは従来品と共通ながら、巻き上げローターの意匠が変更となった。

創業290周年を迎えたブランパンの新展開を予感
それ以外にも細身になったベゼルや操作感を高めるリューズサイズの見直しなど、見るほどに違いが発見できた。とくに感心したのが、「ヴィルレ コンプリートカレンダー」とレディスモデルの「ヴィルレ デイト ムーンフェイズ」においては、従来品と同じムーブメントにして若干ではあるが薄型化を実現していること。スリムさも重要な個性となっている「ヴィルレ」コレクションの新作でケース設計を見直すとなれば、薄さを追求するのは当然かもしれない。とはいえ、同じムーブメントでの薄型化には相当な苦労が伴ったであろうことは想像に難くない。
そもそも「ヴィルレ」というコレクション名は、ブランパンの創業地に由来する。今回のローンチイベントの際、「従来品も継続していく」とは聞いたものの、創業から290周年という節目の年に登場したこれら新作は、ブランドとコレクションの新たな展開を予感させずにはいられなかった。
問い合わせ先:ブランパン ブティック 銀座 TEL.03-6254-7233 https://www.blancpain.com/ja ※価格は記事公開時点の税込価格です。
Text/Daisuke Suito (WATCHNAVI)
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