個性派ムーブメントを搭載した「ロジェ・デュブイ」と「チャペック」の最新モデルが登場

ロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)】と【チャペック(CZAPEK)】は、どちらも複雑機構のムーブメントを搭載し、ブランドの技術力を存分に見せつける最新モデルを発表した。ロジェ・デュブイの「オマージュ ラ プラシード」は、RD1472キャリバーを採用し、過去と現代のコンポーネントを融合させた独創的な構造でムーブメントの美しさを強調している。一方、チャペックの「タイム・ジャンパー」は、自社開発のキャリバー10.1を搭載し、ジャンピングアワーと外周ディスクで時を示す新しい表示方法を実現した。どちらもムーブメント自体が見せ場となる、コレクター心をくすぐるタイムピースである。

世界限定28本の新たなオマージュ

 

【ロジェ・デュブイ】が創業者の精神を現代に蘇らせる特別な新作「オマージュ ラ プラシード」を発表した。本作は、氏のキャリアに影響を与えた時計職人たちへ敬意を捧げた「オマージュ」コレクションの系譜に連なるモデルであり、さらに今回は創業者ロジェ・デュブイ氏本人へと向けたトリビュートとして位置づけられている。世界限定28本という希少性に加え、初代へのオマージュとして復元コンポーネントを用い、ジュネーブ・シールを取得した一本である。

1996年に誕生した「オマージュ」シリーズは、氏が人生とキャリアを支えた恩師や友人の時計職人へ捧げた特別なコレクションであった。今回の新作では、マニュファクチュールがその原点に立ち返り、メゾンの創立30周年に際してロジェ・デュブイ氏自身へ焦点を当てた新たなアプローチを採用した。氏が愛した複雑機構であるバイレトログラードディスプレイと、彼が重んじていた修復という精神を組み合わせ、初代ピースのパーツと現代の技術を融合して再解釈した点が最大の特徴である。「ラ プラシード」という名称は、氏のボーイスカウト時代の愛称「Placide」に由来し、彼の穏やかで人間味あふれる人柄を象徴している。

過去と現在をつなぐキャリバー「RD1472」

「オマージュ ラ プラシード」には、RD14とRD72を組み合わせたキャリバー1472が搭載されている。オリジナルのコンポーネントと復元パーツを同じムーブメントに組み込み、過去と現代の技術を共存させている点が非常にユニークである。

18Kピンクゴールド製ローターを採用したムーブメントは307個の部品で構成され、ホイール面取り、コート・ド・ジュネーブ、ペルラージュなど15種にも及ぶ伝統装飾が施される。ジュネーブ・シールの現行基準は時計全体への厳しい要求を課すが、本作はその基準を満たすべく特別にセッティングされており、メゾンのサヴォワフェールが存分に発揮されている。

多層ダイアルが描く独創性

本作のダイアルは五層構造で構成され、ロジェ・デュブイらしい複雑美を体現している。まず目を引くのが氏が愛したバイレトログラード表示であり、半円形スケールを針が優雅に移動し、リセット時には瞬時にゼロへと戻る。フランジ部のサーキュラーブラッシュ仕上げやマザーオブパールを使った表示部、レマン湖に由来する「レマンブルー」を塗布した地板、さらにブルーアベンチュリンを基調としたムーンフェイズなど、素材・色彩・装飾の多層的な組み合わせが圧倒的な深みを生み出す。

ケースは18Kピンクゴールド製、サイズは38mm。インターチェンジャブル仕様のブルーレザーストラップを合わせ、バックルにはオリジナルエンブレムが刻まれる。創立30周年にふさわしい特別仕様であり、同時発表されたエクスカリバー モノバランシエ バイレトログラード カレンダーとともに、メゾンのヘリテージを新解釈する存在となっている。

初代オーナーへの特別な招待

今回の発表に合わせ、初代オマージュモデルのオーナーを対象に、世界各地のロジェ・デュブイブティックにて特別な体験を提供する。初代モデル向けにデザインされたオマージュストラップが無料で用意され、長年メゾンを支持してきた愛好家への敬意が示される。

ロジェ・デュブイ「オマージュ ラ プラシード」 Ref.DBHO0612 自動巻き(Cal.RD1472)。18Kピンクゴールドケース(シースルーバック)、レザーストラップ、サファイアクリスタル風防。直径38mm。世界限定28本。

 

問い合わせ先:ロジェ・デュブイ TEL:03-4461-8040 https://www.rogerdubuis.com/jp-ja

 

ブランド再生10周年を象徴するキャリバー10.1搭載モデル

 

【チャペック】は、ブランド再生10周年、そして初代フランソワ・チャペックが工房を開いて180周年という節目の年に、新作「TIME JUMPER(タイム・ジャンパー)」を発表した。19世紀の懐中時計に着想を得たコンセプトと、次の10年を見据える自社開発キャリバー10の融合によって生まれた、同社の歩みを象徴する1本である。

チャペックは2015年のブランド再興以来、「頭は空想に、足は地に」という哲学のもと、伝統技術と革新的アプローチを融合してきた。「タイム・ジャンパー」は、その10年間の積み重ねを象徴する“10 FOR 10”のテーマのもと誕生したモデルであり、周年記念の象徴であると同時に、次なる10年の指針を示す存在でもある。本作は24時間ジャンピングアワーを採用し、10の位と1の位を2枚のサファイアディスクで表示。さらに外周リングに分ディスクを組み合わせることで、時の読み取り方そのものを刷新している。

詩的なメカニズムとしての「タイム・ジャンパー」

「タイム・ジャンパー」の象徴となるのが、Metalem社製の3Dギヨシェを施したハーフハンター・カバーである。中心に吸い込まれるような立体的パターンの中にバブル型ルーペを備え、開閉するたびにキャリバー10.1の躍動を覗き込むことができる。伝統と遊び心を併せ持つ、チャペック流の“詩的メカニズム”の具現化である。

統合設計による次世代の基盤となる新キャリバー10

新たに開発されたキャリバー10は、チャペックの今後の複雑機構を支える統合設計によるプラットフォームムーブメントである。従来のモジュール式とは異なり、各機構を最初からムーブメントに組み込むことで、性能・デザインの両面で自由度が高い構成を実現した。

初号機10.1では、リサイクル950プラチナ製センターローターを採用し、巻き上げ効率と視覚的美しさの両立を追求している。また、直径36mmのケースにも搭載できる柔軟性を備え、今後の派生モデルに広がる基盤としての役割を担う。

空飛ぶ円盤のような有機的フォルム

「タイム・ジャンパー」の外装デザインは、デザインパートナー・ABコンセプトによる有機的造形で構成されている。ラグからリューズまで流れるようにつながるフォルムは、“空飛ぶ円盤”を思わせる未来的な印象を与える。

カバーのギヨシェ彫りはMetalem社がチャペック専用に開発した新パターンで、深い中心に光が吸い込まれるような視覚効果を生む。ケースにはサンドブラスト、サーキュラーブラッシュなど伝統的な仕上げが組み合わされ、光と影が美しい立体感を描き出す。ステンレススチールモデルは100本限定、3Nイエローゴールドモデルは30本限定となる。どちらも6時位置のプッシュボタンでハーフハンター・カバーを開閉できる独自構造を採用し、機能性と遊び心を両立する。

チャペック「タイム・ジャンパー」 1115万円(予価)/自動巻き(Cal.10.1)、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約60時間。ステンレススチール+ホワイトゴールドケース(シースルーバック)、レザーストラップ、サファイアクリスタル風防(反射防止)。直径40.5mm、厚さ10.5mm。3気圧防水。世界限定100本。

 

問い合わせ先:ノーブルスタイリング TEL.03-6277-1604 https://www.czapek.com/ 価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。

Text/平野翔太(WN編集部)

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