「ブライトリング」伝説の2大メゾンを束ねる「HOUSE OF BRANDS」構想を発表

11月19日ドバイにて、【ブライトリング(BREITLING)】のCEOジョージ・カーン氏が時計業界における新たな戦略的枠組み「House of Brands(ハウス・オブ・ブランズ)」を発表した。世界的な注目を集めるドバイ ウォッチ ウィークの舞台で、ブライトリングは自社に加わる2つの歴史的名門メゾン、「ユニバーサル・ジュネーブ」「ギャレ」を正式に披露し、2026年の本格再始動へと向けた第一歩を示した。

ドバイ ウォッチ ウィークで示された新時代の時計戦略

ハウス・オブ・ブランズは、それぞれが独自の伝統、文化的文脈、そして時計史への貢献を保持しながら、ひとつの長期ビジョンのもとに統合するという構想である。手に取りやすい価格帯からウルトラ・ラグジュアリーに至るまで、現代の高級時計の全レンジを網羅するポートフォリオを構築し、変化する顧客の嗜好に柔軟に応える体制づくりを目指している。CEOカーン氏は壇上で「我々の狙いは、厳選されたブランドが連帯しながらも、それぞれが独自の声で語ることのできる俊敏な体制を築くことにある」と語った。世界的プレビューを経て今回の発表の地にドバイを選んだのは、中東をはじめとする国際市場が持つ将来の重要性を見据えての判断である。

↑ブライトリングCEOジョージ・カーン氏

今回再始動が明らかにされたユニバーサル・ジュネーブとギャレはいずれも、クロノグラフ史を語るうえで欠かせない名門である。クォーツショック後の長い休眠期間を経て復活を果たす両ブランドは、ハウス・オブ・ブランズに独自の歴史的価値と創造性をもたらす存在となる。

「ギャレ」は2026年秋より、エントリー・ラグジュアリーを担うブランドとして再始動する。飛行史最初期を支えた計時器や、複数のタイムゾーンを追跡できる世界初のクロノグラフ「フライング オフィサー」など、偉業の数々で知られるメゾンである。その実直でタフな設計思想は、ブライトリングが製造を担い、ブティックおよび厳選パートナーを通じて新世代へと届けられる予定である。

「ユニバーサル・ジュネーブ」は、最も上位のウルトラ・ラグジュアリーセグメントを担う独立メゾンとして展開する。「時計の仕立職人」の異名を持つ同ブランドは、ジェンタが手がけたポールルーターや評価の高いクロノグラフ・コンパックスなど、歴史的名作を通じてスイスデザインの礎を築いてきた。再始動後は熟練職人と連携し、芸術的なアプローチで時計づくりを再構築していく構えである。

そして中心に立つブライトリングは、140年以上の歴史と現代的ラグジュアリーを併せ持つ独立メーカーとして、両ブランドをつなぐ軸となる。自社製ムーブメントを有し、モダンレトロという明確なデザイン言語を貫く同社は、ハウス・オブ・ブランズ全体の核となる存在である。

 

カーン氏は総括として、「我々は歴史的メゾンが持つ価値を保護しつつ再び息を吹き込み、彼らが築いた“革新の伝統”を未来へとつなぐ」と語った。ギャレとユニバーサル・ジュネーブの本格的な再始動を前に、ブライトリングはドバイ ウォッチ ウィークに約400平方メートルの専用パビリオンを設置。招待客はこの空間で、3ブランドによる新たな時計の未来であるハウス・オブ・ブランズをひと足先に体験することができた。

ハウス・オブ・ブランズ発表は、単なるブランド統合ではなく、時計産業の未来に向けた構造的な再定義である。3つのメゾンがそれぞれの物語を保ちつつも、共通してクラフツマンシップと現代性を追求するこの取り組みは、高級時計の新たな潮流を生み出す起点となるに違いない。

 

問い合わせ先:ブライトリング・ジャパン TEL.0120-105-707 https://www.breitling.com/jp-ja/

Text/平野翔太

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