スイスの高級時計ブランド【オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)】が、1920年代のアーカイブモデルを再定義した新作「ネオ フレーム ジャンピングアワー」を発表した。価格は979万円。併せて、ル・ブラッシュに伝統と革新を統合する新製造拠点「アルク(Arc)」が公開された。
アール・デコの香りを漂わせるゴドロン装飾
「ネオ フレーム ジャンピングアワー」は、ブランドが誇る膨大なアーカイブの中でも異彩を放つ1929年発表のタイムピース「プレモデル 1271」からインスピレーションを得て開発されたモデルだ。本機は華やかなアール・デコ末期に誕生したオリジナルの造形美を単に復刻するのではなく、現代の技術とアイデアによって再定義することに成功。デザインの核となるのは、1930年代のアメリカで一世を風靡したストリームライン・モデル(流線型様式)である。当時の列車や船のフォルムを模したこのスタイルは、スピード感と未来への憧憬を象徴するものであった。本機の18Kピンクゴールド製ケースもその哲学を色濃く反映しており、サイドに施されたゴドロン装飾がシャープなラグへと収束していく意匠が、疾走感あふれるダイナミックな外観を演出している。
本機の顔立ちを決定づけるのは、ブラックPVD加工を施したサファイアクリスタルによる深く静謐なツートーンの対比だ。漆黒の闇を思わせるダイアル上には、時と分を示す二つの表示窓(アパーチャー)が、ゴールドフレームに縁取られて鎮座。黒地に白の数字が浮かび上がるその意匠は、計器としての高い視認性を確保しつつ、アール・デコ特有のグラフィカルな美学を強調する。さらに6時位置には、ピンクゴールドカラーで「Audemars Piguet」のロゴが静かな存在感を放ちながらデザインされる。また、オリジナルモデルにはメタルダイアルが採用されていたが、本機では12時と6時位置からメタルフレームを排除し、クリスタルのエッジをそのまま露出。これを実現するため、サファイアクリスタルをダイアルプレートに直接接着した上でケースにネジ留めするという独自の密閉技術を開発している。
オーデマ ピゲ初のジャンピングアワームーブメント
「ネオ フレーム ジャンピングアワー」の内部には、オーデマ ピゲ初の自動巻きジャンピングアワームーブメント「キャリバー 7122」を搭載。シースルー仕様のケースバックからゴールド製のオープンワーク・ローターや、ケースのゴドロン装飾と呼応する細部の仕上げを鑑賞可能だ。さらに、オーデマ ピゲのデザインチームが独自に開発したテキスタイル調のモチーフを施したカーフレザーストラップが、ピンクゴールドの温かみとサファイアの硬質なコントラストとも見事に調和。本機は、このように外装からムーブメント、ブレスレットに至るまでブランドの美意識が貫かれた至高のタイムピースに仕上げられている。
オーデマ ピゲ「ネオ フレーム ジャンピングアワー」 Ref.15245OR.OO.A206VE.01 979万円/自動巻き(Cal.7122) 毎時2万8800振動、52時間パワーリザーブ。18Kピンクゴールド製ケース(シースルーバック)、カーフレザーストラップ。直径34mm、厚さ8.8mm。20m防水。
全長321メートルにわたる製造拠点「アルク」
また、オーデマ ピゲは、本拠地ル・ブラッシュに新施設「アルク」が完成したことを発表した。全長321メートルにわたるガラス張りのこの建物は、ジュウ渓谷の曲線美と共鳴し、内部には最先端技術と伝統の職人技が共生する理想的な空間が広がる。従来分散していた製造、IT、物流の各部門を一つに統合しており、最高峰の複雑時計製作に向け、職人たちがシームレスに連携できる環境が構築されているのだ。設備面では、透過率を自動調節する電気調光ガラスを全面に採用し、繊細な作業に従事する職人へ天候に左右されない最適な自然光を供給する。また、スイスの省エネ基準「Minergie-ECO®」認証を取得するなど、環境負荷の低減も徹底。屋上の緑化により地域の生態系保全にも寄与する。1875年の創業から家族経営を守り抜くメゾンが築いたこの新聖地から、次代の傑作が誕生することに期待したい。
問い合わせ先:オーデマ ピゲ ジャパン TEL.03-6830-0000 https://www.audemarspiguet.com/ja ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/三宅裕丈
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