スイスのカジュアルウオッチブランド【スウォッチ(SWATCH)】が、時計選びとカスタマイズの常識を覆す待望のサービスを日本で開始した。プロンプト(指示文)を入力するだけで、AIが世界に一本だけの時計デザインを約2分で生成する「AI-DADA」である。公式オンラインストア(swatch.com)にてスタートしたこの新サービスをさっそく体験してみたため、ここでレポートする。

時計選びの常識を覆す! スウォッチのDNAを学習した「アーティスティック・インテリジェンス」が導き出す
↓「AI-DADA」でデザイン作成時の模様
スウォッチの「AI-DADA」は、ユーザーがテキストプロンプトを入力するだけで、AIが独自の腕時計デザインを生成する画期的なツールだ。利用するにはスウォッチ公式サイトにてマイアカウントを登録するのみで、デザインされた腕時計を注文すると、通常3〜5営業日で指定の場所へ発送される仕組みとなっている。

本サービスは、ユニークな制約が設けられているのも特徴だ。そのひとつがデザインの試行回数が1日3回までと定められている点。これはユーザーが深く考えすぎず、直感的に創造してもらいたい、というスウォッチの明確な意図があるとのこと。さらに、生成されたデザインは毎日深夜0時になると自動的に消去されるため、例えば深夜に作成した魅力的なデザインを翌日まで持ち越して検討することはできない。こちらについても、偶然性や即時性を体験させるスウォッチらしいルールとなっている。

「スウォッチ」ブランドの哲学とヘリテージ
1983年に創業したスウォッチは、「ポジティブ・プロボケーション(前向きな挑発)」をブランドコンセプトの根幹に据えている。これは単に奇抜であることではなく、ユーモアを伴った上で、裏にある趣旨やメッセージを通じて人々に問いかける姿勢を意味している。そして同時に「ジョイ・オブ・ライフ」を体現し、カラフルで楽しいデザインのコレクションを展開している。
今回の「AI-DADA」を含むスウォッチのミッションとは、「Challenging the status quo(現状への挑戦)」と「Everyone is unique(誰もがユニークである)」を体現するサービス。常に新しいことに楽しみながら挑戦するマインドセットを基本に据えた取り組みを行っているのだ。
テキストプロンプトのみで想像を超えるデザインが完成

↑タブレットの画面表示は、イベント時のサンプル。
では、ここから「AI-DADA」の実体験のレポートへ移る。
必須となるスウォッチのアカウントを作り、スウォッチ公式サイト内にある「AI-DADA」専用ページへ移動。ここでプロンプトのテキスト入力を行う。
「300文字以内であなたのデザインについて教えてください!」という、自身が理想とする時計について打ち込むのだが、いきなり問われると「アレもコレも」と迷ってしまうため、事前にイメージしておくことも大切だろう。今回筆者は、スウォッチと同じグループに属するブランドにヒントを得て、
「プランパンのヴィルレのような美しいドレスウオッチが欲しいです。スウォッチがイメージするドレスウォッチを形にしてください」
と、タイプしてみた。そして「デザインを生成」ボタンをタップ。すると、「AI-DADA」は約2分ほど思考を巡らせ、作り出したのがコチラ(↓)だ。

↑タブレットの画面表示は、イベント時のサンプル。
新しいヴィルレコレクションのテーマである「ゴールデンアワー」(日の出または日没の直前に現れる、太陽の光で周辺が燃えるような黄金色に染まる瞬間)に触発されたのか、あるいはプランパンの故郷であるフランスとの国境に近いヴィルレ村の風景に着想を得たのか。そこまでの理由は探れないものの、ライトブラウンを基調としつつ、植物のようなパターンがあしらわれたユニークなデザインのスウォッチが出来上がった。
その後、スウォッチ固有のスケルトン文字盤から見えるムーブメントのカラー(シルバー、ブラック、ゴールド)とインデックスの有無を選択。たったこれだけで、世界に唯一無二のオリジナルウオッチが完成となる。ちなみにこのほかに2案、デザイン生成してみたが、最も気に入ったのがこのドレスウオッチ風デザインであったため、実際にオーダーしてみた。
そして数日後、「AI-DADA」で作ったオリジナル・スウォッチが手元に届いた。それがコチラ(↓)。

タブレット上で見た生成AIによるデザインが、そのまま製品として完成したことに正直驚いた。ケースはスウォッチらしいクリアなプラスチック製で、中のクオーツキャリバーが見える。ややアンバーな落ち着きのあるストラップカラーに、あえてゴールドカラー仕上げのメカとインデックスとしたことが正解で、全体的に洗練されたルックスとなった。

今回の「AI-DADA」体験を通し、わずか300文字のプロンプトで唯一無二の腕時計が作れるという、これまでになかった時計の未来像が感じられた。自由な表現かつ究極のパーソナライゼーションを実現させるこのシステムは、スウォッチのアーカイブや過去の広告などの膨大なデータを、独自のAIデザインツール「AI-DADA」に学習させたことで可能になったとのこと。しかも数分でデザインし、そのまま注文まで完結できる設計も楽しい。

このエンターテインメント性に富んだサービスが、3月2日から遂に日本でもローンチされた。価格も2万7900円(税込)という、自分用としてもプレゼント向けにも納得のしやすいプライスで、非常に満足感の高いサービスといえるだろう。
自分が思い描いたイメージ通りのデザインを、スウォッチが完全に作ってくれるとは限らない。しかしそこにこそ面白みがあり、発見がある。「AI-DADA」のようなAIを使ったサービスは、今後必ず増えていくだろう。そのパイオニアとして、さらに自由度を高めたサービスとして成長していくことを期待せずにはいられない。

↑出来上がったスウォッチはNEW GENTコレクションがベース。直径41mmのプラスチック製ケースで、3気圧防水をカバー。
アート、スポーツ、音楽…様々なシーンを飾る「スウォッチ」ならではの個性
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問い合わせ先:スウォッチ コール TEL.0570-004-007 https://www.swatch.com/ja-jp/
Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部)