落としても壊れない —— 。【G-SHOCK】は他を圧倒するこのタフネスという価値で、国民的腕時計となって久しい。しかし、その輝かしさの反面、常に問われてきたことが、スーツを着用するビジネスシーンにおいては選ばれにくいという点だ。ストリートやアウトドアシーンで絶大な支持を集めるが、耐衝撃性を追求するがゆえの無骨なフォルムや、カジュアルなイメージが定着していることがその要因といえる。

しかし近年、その状況は変わりつつある。上質なメタル素材を駆使したG-SHOCKが次々に登場し、着実にビジネス需要を獲得しているのだ。そして今回、G-STEELの最新作となる「GST-B1000D」の登場により、G-SHOCKに対するイメージはさらに異なる領域へと発展するだろう。そんな期待のモデルの魅力や開発秘話を、企画担当であるカシオ計算機の湯浅さんに尋ねた。
あらゆるシーンで活躍してくれるワンランク上のG-SHOCK
── G-STEELというと、そのビッグサイズからアメリカ市場を牽引した力強いモデルという印象が筆者にはあった。しかしながらトレンドは移ろい、現在はダウンサイジングやシームレスなデザインといった万能性が求められている。新作「GST-B1000」はその転換点を具現化したようなコレクションとして企画された。

↑カシオ計算機 時計事業部 商品企画部 第一企画室・湯浅智博さん/2019年、カシオ計算機に入社。国内営業で経験を積んだ後、中国エリアのマーケティング戦略に携わる。現在はG‑SHOCKの企画を担当。
──「GST-B1000」の第一印象は、G-STEELっぽくないという驚きだった。かなりスッキリとしたデザインである。
(湯浅さん)「まさにそこが狙いです。今回のG-STEELは、新たなターゲット層に向けて、新しいG-SHOCK像を作り上げることが開発のきっかけでした。そのコンセプトは、タイムレス(流行に左右されない)、オールラウンド(万能)、そしてアブソリュート G-SHOCK(絶対的にG-SHOCK)という3つの軸。過度な装飾をあえて削ぎ落とし、現代のミニマルな表現に再構築しました」

── ここまで“削ぎ落とす”には、根気も勇気も必要だったはず。具体的にどのあたりにこだわったのか?
「たとえば、ほとんどのG-SHOCKはベゼル上にロゴや機能表示の刻印があり、サイドにはゴツゴツとしたボタンガードを備えています。GST-B1000では、これまで存在していたものを無くしてしまうため、社内でも賛否両論があり、G-SHOCKらしさはどこに残るんだ? といった議論が紛糾したのも事実です」
── そのエピソードだけでもファンとしては心躍るような期待感と、ハラハラとする緊張感が入り混じった感情となる。湯浅さんら開発陣は、カシオ社内の説得をするのにきっと骨を折ったことだろう。その甲斐あって、目新しさ、サイズ、そして軽さには感動を覚えた。これまでのG-STEELとは別物という印象である。
「ベゼルの直径が38.75mmで、これはG-SHOCKの中でも小さい部類に入ります。さらに重さは、これまでのGST-B100が約185gだったのに対して、マイナス67gもの軽量化に成功しました。しかしGST-B1000の真の魅力は、数値では計り知れない細部にあると考えています。時計全体のスリム化に加え、ブレスレットの設計も根本から見直しました。テーパードさせて手首へのストレスを低減させたり、可動域を調整して腕に程良くフィットする構造となっています。実際に試着していただき、その装着のしやすさを体感いただきたいです」

── メタルパーツはいずれも丁寧な仕上げがなされている。ベゼルとケースの磨き分け、表面のシャープなサテン加工からも質感の高さが伝わってくる。こうしたコスト面と美観の折り合いも大変だったのでは?
「その通りで、本来ならば別体にして仕上げ分けを行うパーツを、設計段階から細かに調整して一体成型でも磨きが美しく入る形状を追求しました。ブレスレットのコマも、今回は型材をカットして作る手法(いわゆる金太郎飴のような製法)を採用し、エッジを立たせてルックスの良さを追求しました」

── ブレスレットのコマ同士の隙間(クリアランス)もかなり詰めている。
「気づいていただき、ありがとうございます(笑)。G-SHOCKは耐衝撃基準が厳しく、落下時にコマ同士が干渉しないように“遊び”を持たせるのが常識でした。GST-B1000もその基準をクリアしつつ、極限までガタつきを抑えて、いわゆるラグジュアリースポーツウオッチに通じる美しさと機能性を持たせています」

── デザインについても腕時計らしいシンプルなスタイル。その一方で、ところどころにG-SHOCK独自のエッセンスが感じられる。
「もちろん、G-SHOCKを支持して下さる方々の期待を裏切らないディテールを散りばめています。例を挙げると、文字盤表面のテクスチャはG-SHOCKのファーストモデルに着想を得て、レンガパターンのデザインとなっています。また、GST-B1000D-1AJFに使っている差し色(赤・黄・青)についても、ファーストモデルの表記カラーをサンプリングしました」

── 設計もデザインも、こだわりが貫かれている。そして機能面もシンプルで、Bluetoothとソーラーに絞ったのも戦略のようだ。
「本機もグローバルで展開されるモデルのため、スマホさえあれば、どこでも、誰でも、時刻修正ができるBluetoothを標準装備としています。これまで腕時計を着用する習慣がなかった若い世代から、大きい分厚いというマイナスイメージでG-SHOCKを敬遠されてきた層にまで、“これなら仕事も遊びも着けていきたい”と思ってもらえる新しいG-SHOCKを目指したのが、今回のG-STEELです。洗練されたデザイン、妥協のないクオリティ、そして手に取りやすいプライス。あらゆる点でご満足いただけるワンランク上のG-SHOCKとして、より多くの方々の日常に寄り添い、長く愛されるG-SHOCKとなることを願っています」

【取材後記】
G-SHOCKらしさ、とは何か。その問いに対し、足し算ではなく“引き算”の上に生まれたのがG-STEELの新作「GST-B1000D」だと思える。ベゼル径を38.75mmという適度な大きさに留め、ケースの厚みを11.6mmとしたことでシャツの袖口に引っ掛かりにくい実用的なサイズを実現。もちろん週末のアウトドアにも十分耐えるスペックを確保している。現代のライフスタイルに寄り添う、大人のためのミニマル&タフネスなG-SHOCKの誕生を、心待ちにしていた人も多いはず。湯浅さんが語るように、時計店で「GST-B1000D」を手に取り、そのポテンシャルの高さを実感していただきたい。

G-SHOCK「G-STEEL GST-B1000D-1AJF」 6万6000円
引き算の美学を追求したG-STEELのニューモデルは、デジタル液晶を排した洗練のフルアナログデザインで登場。無垢のステンレススチールケースは精緻な磨き分けによって立体的な造形美を放ち、スーツの袖口にもスマートに収まる。耐衝撃性や20気圧防水というタフネスはそのままに、タフソーラーやBluetooth連携による自動時刻修正など、現代のビジネスシーンに不可欠な実用性も網羅。まさに「ワンランク上のG-SHOCK」を体現する大人のための一本。
クオーツ。ステンレススチール+カーボンケース、ステンレススチールブレスレット。直径44.2mm、厚さ11.6mm。質量118g。20気圧防水。
GST-B1000シリーズ/スペック一覧
●耐衝撃構造(ショックレジスト)
●カーボンコアガード構造
●タフソーラー(ソーラー充電システム)
●モバイルリンク機能(Bluetooth通信)
●デュアルタイム(ホームタイムとの時刻入替機能付き)
●ストップウオッチ
●タイマー
●時刻アラーム
●LEDライト(スーパーイルミネーター、残照機能付き)
●ネオブライト
●フルオートカレンダー
●日付・曜日表示
●パワーセービング機能
●バッテリー充電警告機能
問い合わせ先:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.0120-088925 https://gshock.casio.com/jp/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。
Text/山口祐也 Photo/鈴木謙介



