希少性のあまり、実物を目にすることも叶わない革新のタイムピースが時計界には存在します。夜の東京で5本の名作の表情を写しました。【A.ランゲ&ゾーネ ツァイトヴェルク編】
構成/ウオッチナビ編集部 文/小暮昌弘、水藤大輔(時計)
撮影/シバサキフミト スタイリング/石川英治(TRS)
常識をはるかに超えたところに
アバンギャルドの精神を知る
日本の伝統芸能である歌舞伎の由来は、「傾く(かぶく)」という動詞にあります。
「傾く」には、並外れている、常軌を逸しているといった意味があり、奇抜な服や髪型の人を当時は「かぶき者」と呼んでいました。踊りのルーツとなったのは出雲の阿国が踊った「かぶき踊り」と言われていますが、「かぶき者」の扮装を真似て行う踊りは斬新なもので、着物を着た首元には十字架まで下げています。当時としてはすべてがアバンギャルド=常識を超えたものだったことは、想像に難くありません。
「ツァイトヴェルク」を初めて見たときに感じたのは、従来の腕時計の系譜には含まれない、アバンギャルド=革新の精神。2009年に発表された「ツァイトヴェルク」は、時および分を瞬転式数字ディスクで表示する初の機械式腕時計です。6時位置に配された秒針が1周回るごとに1の位表示用ディスクは瞬時に進み、デジタル表示で時刻を刻示していきます。
あくまでクラシカルな佇まいでありながら、このように独創的な機構で〝傾いた〞この1本に、時計好きは魅せられるのでしょう。そこには、ドイツ時計界の叡智といわれ、超複雑機構の時計で評価を不動のものとしたブランドの矜持を感じることができます。
問:A.ランゲ&ゾーネ TEL.03-4461-8080
https://www.alange-soehne.com/ja
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