長年にわたって「買う、買わない」ではなく、「良いか、悪いか」で腕時計を見続けてきた時計界の大ベテランたち。そんな目利きでも憧れるモデルが存在します。いずれも予算に余裕がある人がターゲットにしており、希少なために店頭ではなかなか出会えない至高の逸品です。賢人の声に耳を傾けつつ、その世界観を想像してみてください。
時計ジャーナリスト・並木浩一さんが選んだ1本
並木浩一さんのコメント:「『タイプXXⅡ』は、絶対のブレゲである。超高速の20振動/秒が1周30秒のセンタークロノ秒針を走らせる奇観だけでも、死ぬまで誇れる。登場からもう10年経とうとするのに、目移りさせるフライバック・クロノグラフは、出てきていないではないか。先に生まれた同じブレゲの『XXⅠ』『XX』すら、弟分に見える。
実際に買う前にも、ブレゲ14爆撃機を絵柄にした旧20フラン切手や、ブレゲ19の日仏間大飛行(1924年)の新聞記事など、パイロットウオッチの正統を語るアイテムで気分が上がる。手に入れるビフォアもアフターも、一生研究して飽きないタイムピースなのだ」
ライター/エディターで、ミュージシャンでもある、まつあみ靖さんが選んだ1本
まつあみ靖さんのコメント:「ジュネーブ・バーゼル取材も3回を数え、そろそろ時計記者としての覚悟を示す1本を、と思っていた2001年秋、アンティコルムNYオークションでノーチラスRef.3800/1Aを落札。ジェラルド・ジェンタへのリスペクトに加え、ロックなニオイのラグジュアリーウオッチなど皆無に等しかった時代に、ジャミロクワイのジェイ・ケイが着けているという情報も背中を押した。
当時この時計への注目度は低く、予想価格でスンナリ落ちたのは幸運だった。後年、パテックのティエリー・スターン社長取材の際、“成人記念に父からノーチラスを贈られた”と聞き、正しい選択だったと再確認」
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