腕時計の発展を牽引する現代の優れたクロノグラフを、ウオッチナビが厳選して紹介する新連載。人気カテゴリーのクロノグラフは、ブランドが威信をかけて開発するだけあって、機構はもちろんのことデザインや素材、コンセプトにもこだわりが施されている。初回は、躍進が続くウブロのハイエンドな2019年新作について解説する。
レイヤー構造と自社製UNICOで“見せる時代”を切り拓く
オーデマ ピゲ、オメガ、ブランパンなどを経て、2004年にウブロCEOに就任したジャン-クロード・ビバー氏は、1年も経たずにビッグ・バンを発表し、世界的な注目を集めた。異なる素材やアイデアの融合を意味する“アート・オブ・フュージョン”というコンセプトを掲げ、2013年には自社製キャリバーUNICOをビッグ・バンに搭載。クロノグラフを制御するコラムホイールを通常の裏蓋側ではなくスケルトン文字盤側に配し、装着したままメカニズムが楽しめる“見せる”仕掛けが評判を呼んだ。
マーケティング戦略も見事だった。特にサッカーとフェラーリのパートナーシップは、世界にウブロの名を知らしめ、また数々の魅力的なコラボレーションモデルを生み出した。その勢いは止まらず、今年はクラシック・フュージョンに初めてUNICOを搭載。それが「クラシック・フュージョン フェラーリ GT 3Dカーボン」である。外装デザインはイタリア・マラネッロのフェラーリデザインセンターが手がけ、フェラーリのGTカーが持つ流麗なラインを再現した特別なクロノグラフだ。
ウブロとフェラーリは2011年からタッグを組み、毎年ダブルネームのコレクションを展開している。新作はウブロがエンジン、すなわちムーブメントを開発し、ボディはフェラーリが担当。頂上同士の2社の“フュージョン”によって、類まれな新型クロノグラフは誕生した。“エンジン”は自社製キャリバーHUB1242をベースに再開発が行われ、同じくインハウスでキャリバーHUB1280を完成させた。従来よりも約1.3mm薄型化しており、新たに4つの特許を取得したという。また表面模様が特徴的な“ボディ”は、レーシングマシンに多用される3Dカーボンファイバー製。こちらもユニークで、実に先進的といえる。
ここ15年来、新生ウブロは時計界に多大なる影響を与え、トレンドをも生んできた。カリスマ的リーダーらによる未来を見据えた鮮やかな手腕によって、“ラグジュアリー×スポーツ”を牽引する存在へと成長し、型にはまらない人がセレクトする代名詞となっている。
問:LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ TEL.03-5635-7055
https://www.hublot.com/ja/
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