飽くなきエレガンスの探求が創り上げた極薄ウォッチの軌跡
PIAGET(ピアジェ)」は、ジュラ山脈の村ラ・コート・オ・フェで1874年に創業した。当初より「つねに必要以上に良いものをつくる」をモットーに高精度のムーブメントと部品の制作を手掛け、ピアジェ家2代目のティモテの代には自社名を冠したタイムピースを手掛けるようになった。その後、3代目のジェラルドとヴァランタン・ピアジェの頃には創業の地に、より大きなマニュファクチュールを新設。ウォッチメイキングのさらなる高みを目指すようになっていく。なかでもヴァランタンが情熱を注いだのは、「デザイン」だった。
腕時計のデザインは、ムーブメントの設計によって大きく左右される。厚く堅牢に作れば、そのぶんケースの厚みも増して印象は無骨に。反対に、ムーブメントが小さく薄ければ、装着感を損なうことなく厚い文字盤を取り付けることができる。そこでピアジェが見出したのが“薄型の探究”。1957年のバーゼルフェアで発表した、厚さわずか2㎜の手巻キャリバー9Pで存在感を示すと、独創マイクロローターで当時の世界最薄記録を樹立した自動巻キャリバー12Pを1960年に披露。薄型メンズウォッチの代表的なメゾンとしての地位を確立した。
この薄型開発の伝統はいまも進化を続けている。2014年に発表された手巻キャリバー900Pは、ケースの一部を地板にするという驚きの発想で作られた厚さ3.65mmの薄型時計。これに自動巻機構を追加したキャリバー910Pでも厚さ4.30mmを達成している。白眉は2020年に市販化を実現した「アルティプラノ アルティメート コンセプト」で、ムーブメント一体型の構造を極限まで薄くし、時計の寸法で厚さ2mmという異次元のサイズに留めたのである。
研鑽を積んできた極薄の追求が到達した「究極の薄さ」。その孤高の技術力によって作られたタイムピースは、薄いほどに存在感を増すのである。
薄いほどに存在感を増す驚異のドレスウォッチ
ALTIPLANO
極薄ウォッチのシンボルとしてその名を知られる「アルティプラノ」のシンプル2針モデル。厚さがわずか2.1㎜のなかに約43時間パワーリザーブのスペックを秘める、自社製の手巻キャリバー430Pを搭載。ケース厚も6.4㎜にまで抑えている。繊細なバトン型の針と呼応するようにデザインされたインデックスや、幅狭ベゼル、シャープに伸びるラグ形状により時代を超越したエレガンスを体現している。
PIAGET POLO
ピアジェ流のスポーティー・エレガンスの代表作に限定製造で加わった、グリーンダイヤルタイプ。ラウンドケースに組み合わさるクッション型の文字盤に施された水平方向のギヨシェ模様が、絶妙な文字盤色をさらに表情豊かにする。夜光処理された針やインデックスには、ゴールドの縁取りを採用。裏からはメゾンの紋章が彫り込まれたローターを筆頭に、美麗なキャリバー1110Pが鑑賞できる。
黄金時代から生まれたピアジェ・スタイル
ピアジェが1940年代から作っていた著名なアーカイブピースのひとつに、「コインウォッチ」がある。コインのなかに時計を納めたその腕時計に注目したのは、画家のサルバドール・ダリだった。
1966年、ダリ金貨の蓋を開けると文字盤が出現するコラボレーションウォッチは、厚さ2mmのキャリバー9Pなくしては完成し得なかった傑作だ。以降、手巻き・自動巻きとクオーツのそれぞれで極薄ムーブメントの自社製造を継続。女性の腕を飾るに相応しいタイムピースで、“ピアジェ・スタイル”を確立した。いまのポセションやライムライト ガラといったコレクションにも、華やかなりし60年代から続くマニュファクチュールの伝統が息づいている。
文字盤創作でも魅せる技芸
貴石文字盤の名手としても知られるピアジェ。アヴェンチュリン文字盤は、深いブルーのなかに無数の星が輝く、夜空のような見映えが特徴だ。
POSSESSION
右/スイスのトップジュエラーでもあるピアジェらしい宝飾仕様の女性用ウォッチ。固定ベゼルと回転リングの双方とインデックスにダイヤセッティングを施し、29㎜径の小ぶりなケースに強い煌めきを与えた。左/ポセションの特徴は、リューズレスのピュアなラウンド型と、スムースに回転するリング。チェリーピンク文字盤と調和したダークピンクストラップは、簡単に着脱可能なインターチェンジャブル式だ。
LIMELIGHT GALA
1970年代に発表したオリジナルモデルに着想を得ながらアート、デザイン、ジュエリーの要素を集約させたコレクションの限定品。ゴールドストーンとも呼ばれるアベンチュリンガラスを文字盤に使い、幻想世界を作り上げた。
「PIAGET(ピアジェ )」について創業年:1874年 |
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