【インタビュー】スリムな「オシアナス マンタ」新作OCW-S7000はクロノグラフ回帰で正統進化

カシオ計算機より6月9日より発売となった薄型電波ソーラークロノグラフ「オシアナス マンタ OCW-S7000」は、クロノグラフを主体としたデザインが特徴だ。これまでのワールドタイム推しや、伝統工芸技術との融合とは異なるアプローチの新作を出した経緯を、企画担当者の佐藤さんに聞いた。

Text/Daisuke Suito (WATCHNAVI) Photo/Keiichi Wagatsuma (ONE PUBLISHING)

「“渾身”のオシアナス マンタができました」

オシアナス新作「OCW-S7000」左からRef.OCW-S7000-1AJF/19万8000円、OCW-S7000B-2AJF/23万6500円、OCW-S7000A-2AJF/21万4500円 電波ソーラー。縦47.5×横42.8×厚9.5mm。チタンケース&ブレス。10気圧防水

–新作のOCW-S7000は、既存のOCW-S5000と同じ9.5mm厚となっていますが、この2つの最大の違いはなんでしょうか?

「どちらも搭載しているモジュール自体は同じですが、新作はクロノグラフを全面に打ち出したデザインとなっています。私たちは定期的に時計のトレンドやマーケットの動向をリサーチしており、最近の結果から“現代の腕時計には所有する楽しさや喜びが必要だ”という答えを導き出したのです。それが従来の“多機能”であることの利便性より、腕時計の人気機能である“クロノグラフ”らしさに重点を置いたデザインをS7000に与えた理由です。先ほどモジュールは同じとお伝えしましたが実はプログラムを変更していて、デフォルト設定をクロノグラフモードにしています」

 

–確かに“クロノグラフ”は、その機能を使うかどうかを問わずWATCHNAVIの読者にも人気があります。

「2時側のボタンを押すとST(※STOP WATCH=ストップウオッチ)モードになる『ダイレクトスタート』機能を採用し、そのまま同じボタンを押すとスタートとストップ、再スタート。ストップ中に4時側のボタンを押せば計測がリセットできます。また、ベゼルにもタキメータースケール(※)をサファイアガラスのリングに記すことで、スポーティな機能にオシアナス マンタらしいエレガントな表情を融合させました」

※タキメータースケール:1km移動するのにかかった時間(1分未満)を計測した際にクロノグラフ秒針が示した数値で時速がわかる目盛りのこと

面取りを施したボタン形状も特徴の一つ。滑らかな操作感にもこだわったという

–これまでの機能追求からブルーの表現、日本の工芸技術との相乗効果を経て、オシアナス マンタの「スポーティ、エレガンス」に原点回帰した印象を受けます。

「オシアナス マンタには、“流麗なフォルム”“スリムかつ立体感のある細部”“アイコニックなメタルバンド”という3つの要素が欠かせません。最新作ではS5000のように薄さを追求したわけではないのですが、結果的に9.5mmの厚さに収まったのはよかったですね。ケースは裏側も削っているのでラグの部分などはかなり薄くなっているのですが、中ゴマを鏡面に仕上げた矢羽根型ブレスレットの存在感は保持しています。時計全体を正面から見るとケース両側の伸びやかな鏡面仕上げのラインが際立ち、立体感があるように見えますよね。試行錯誤を経てこの形に辿り着いたとき、担当デザイナーから“渾身のマンタができた”と言われました」

オシアナス商品企画の佐藤貴康さん

–お話を聞けば聞くほどS7000が、“海を優雅に泳ぐマンタ”の姿のように見えてきました。3色から選べるのもいいですね。

「オシアナスに対して『海』や『ブルー』というパブリックイメージをお持ちの方が多いので、そこから逸脱しないようにしています。とくにS7000は使いやすさを追求したモデルなので、定番色となるブラックダイアルは必須でした。これに、リゾート感を意識したライトブルーグラデーションと、深海から水面を見上げたようなダークブルーグラデーションのカラーを加えることにしたのです。高機能電波ソーラーウオッチは、20万円以内が普及価格帯。ここにリフレッシュしたオシアナス マンタを投入することで、改めて市場全体の定番機としての地位確立を目指します」

サファイアベゼルにスパイラルカットを施した限定品も登場

–今後、オシアナス マンタはS7000に置き換わっていくのでしょうか?

「S7000がオシアナスマンタを代表するモデルとなっていきます。ただ、S6000も限定モデルとしては引き続き展開していく予定で、今季の限定品に関しては削り出しのサファイアベゼルを特徴とするS6000から限定品を出しました。最新作では、従来と同じ24面のファセットを持つベゼルに新開発となるスパイラルカットを施しました。そのために新しい工作機械を導入したという、かなり特別な一本です」

オシアナス マンタ「OCW-S6000SW」Ref.OCW-S6000SW-2AJR 36万3000円 電波ソーラー。チタンケース&ブレスレット。縦47.1×42.5×9.2mm。10気圧防水。世界限定350本

–ダイヤモンドに次ぐ硬さを誇るサファイアをこのように削るのはかなり大変そうですね。

「円形の切削機械を斜めに当てることでうねるような表面を作り出しています。これにブルーのグラデーション蒸着を加えて波の渦をベゼルで表現したのです。この立体造形は実際に触れていただくとよりよくわかるのですが、いかんせん世界限定350本と数が少ないので、あまり大々的にプロモーションもできないのが悩みでもあります。せっかく新しい技術を確立したのにもったいないと自分でも思いますね(笑)」

 

取材後記

2023年はG-SHOCK誕生40周年でカシオが出す新作ウオッチもG-SHOCK一色かと思いきや、オシアナスから次世代定番が出てくるとは驚いた。それもクロノグラフを主体にしたデザインということで、“スポーティ、エレガンス”という原点に立ち返った一本である。ただ、よくよく考えれば来年に誕生20周年を迎えるブランドだけに、フラッグシップシリーズであるオシアナス マンタの新作から徐々に次世代化していくことは自然な流れだろう。実用性を追求するフェーズを終え、ライフスタイルに「青」の彩りを加えるタイムピースへ。OCW-S7000は、次なるオシアナスの在り方を象徴するタイムピースと言えそうだ。

問い合わせ先:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.0120-088-925
https://www.casio.com/jp/watches/oceanus/ ※価格はすべて記事公開時点の税込価格です。

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