【G-SHOCK】待望の初代フロッグマンを対象としたレストアサービスがスタート カシオのG-SHOCK愛に溢れたサービスだった
【G-SHOCK】の初代フロッグマンのレストアサービスを行うと聞き、東京都武蔵村山市にあるカシオテクノ東日本リペアセンターへ向かった。会議室に通されて何枚もの名刺交換を済ませた後、品質企画室の難波和哉さんから、今回のレストアサービスの概要について説明していただいた。
フロッグマンが選ばれた経緯とレストアサービス概要
今回のレストア対象に、初代フロッグマンが選ばれたのは、過去に行ったレストアサービスのアンケートに基づくとのこと。「他のモデルもレストアしてほしい」との要望がある中で、最も意見が多かったのが、初代フロッグマン「DW-6300」であった。さらに、2023年が「DW-6300」発売30周年の記念年ということも大きな要因となっている。
対象となるモデルは「DW-6300」の5色で、価格は2万4200円(税込)。主に、ベゼルとバンド、バネ棒、電池を新品に交換してくれるのだという。1つ注意点として、どの色のモデルで依頼した場合でも、返却時には「DW-6300-1A」の黒を基調としたカラーのベゼルとバンドに交換となるため、この点を理解した上で申し込む必要がある。
また、フロッグマンといえば200m潜水用防水が特徴だが、今回はDW-6300のモジュールまでは用意できなかったため、万が一水が入ってしまうと交換ができなくなることを考慮し、水没による防水検査ではなく外部から空気の圧力を掛ける気密検査に変更された。よって、レストア後も実際にダイビングなどで使用するような200m潜水用防水は保証されていないことに注意したい。ちなみにモジュールが故障して使えなくなった場合でもレストアを受け付けているというのも、思い出の愛機を手元に残しておきたい人に嬉しい対応といえる。「せめて、外装だけでも蘇らせたい!」という人も申し込むことが可能だ。
毎回製造方法を変えて最良を目指す
G-SHOCKレストアサービスは、これまでに2回行われてきたが、今後の保守サービスを見据えた技術開発の観点から、毎回違った製造方法に挑戦してきた。前回の簡易金型だと複雑な形状のフロッグマンのベゼルを再現することは難しかったため、3回目のレストアサービスとなる今回は、製造方法を量産と同じ鋼材金型で射出成形とし、リバースエンジニアリングという開発手法を採用した。「DW-6300」のパーツを3Dスキャンしたデータと図面から起こした3Dデータの2つを照合してズレを確認することで、今まで以上に再現度の高いデザインを実現。さらに、細部にも拘っており、ベゼルに記されている“START“と“LIGHT“の文字は、現存している部品からイラストを起こして、細部を修正しながら3Dデータ化することで、特徴的なフォントを完成させている。難波さんは、今回の仕上がりについて、高いレベルの再現度を実現できたと自信をみせていた。
細やかな気遣いを感じさせるレストア作業
次に、場所を移動してレストア作業を見せてもらった。撮影の都合上、実際にレストア作業を行う場所とは異なる明るい作業場で行われた。はじめに、東日本リペアセンターのセンター長である松崎友紀さんからレストアサービスの説明があり、その後、多田稔さんにレストア作業を実演していただいた。
まずは、専用の工具を使ってケースとバンド、スクリューバックなど各パーツを外していく。中のモジュールやプッシュボタンも取り外して分解作業は完了。その後、スプレーで埃やゴミを落としてから、組み立て作業に入る。組み立て作業では、ケースバックのゴムパッキンやバネ棒を作業員が新品に交換してくれる。(各プッシュボタンのパッキンは動作不具合を確認した場合のみ交換)。小さいプッシュボタン1つ1つにグリスを塗ることで、防水性と耐摩耗性を高めるひと工夫も。さらに、長年の使用によりプッシュボタンが曲がっている場合は、手作業でまっすぐな状態に戻してくれるそうだ。レストア前の検査を除き、分解から組み立てだけでも1時間ほど掛けて丁寧に作業が行われる。今回作業を担当していただいた多田稔さんは、普段からお客様からお預かりした時計に傷を付けないように、慎重に作業することを意識しているそうで、時計に真摯に向き合う姿勢が伝わってきた。
G-SHOCKレストアサービスのラインナップ拡大に期待
G-SHOCKのレストアサービスは、今回で3回目。過去に募集をかけた際に、古くなったモデルを直して長く使いたいと考えているユーザーの多さに驚いたという。「DW-5000C」や「DW-5600C」などを対象とした前回の1万560円(税込)よりも、フロッグマン「DW-6300」のレストアサービス料金は、2万4200円(税込)と料金自体は上がっている。しかし、特徴的なアシンメトリーデザインを復元させるために、新しい製造手法を採用することで、これまで以上に再現度を高め、よりオリジナルのデザインに近いレストアを実現していた。
多くの人に愛されているG-SHOCKなのだから、やはりレストア対象のラインナップ拡大を望む声も増えていくに違いない。品質企画室の難波さんは「可能であれば対象モデルを増やしていきたい」とコメントしており、期待が膨らむ。回を重ねるごとに製造方法を変化させ、理想を追求するG-SHOCKレストアサービスは、G-SHOCKユーザーへの感謝とリスペクトが込められているように感じた。今回も期間限定のため、申し込み期間をしっかりと確認しておきたい。
【G-SHOCKレストアサービス】
受付期間:2023年8月29日(火)~11月30日(木)※1
対象モデル:DW-6300-1A・DW-6300-1C・DW-6300-9・DW-6300B-8・DW-6300B-2
料金:2万4200円(税込)
サービス内容:ベゼル・バンド※2・電池交換・防水検査※3
URL:https://casio.link/3QQeweY
※1申込者多数の場合、早期に終了する場合があります
※2交換用のベゼルやバンドは「DW-6300-1A」の黒を基調としたカラーとなります
※3防水検査は、空気圧による検査となり、200m潜水用防水機能を保証するものではありません
問い合わせ先:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.0120-088-925 https://www.casio.com/jp/watches/gshock/
Text/平野翔太(WN編集部)