ユリス・ナルダンは、1846年の創業以来、各国の国際博覧会などで数々の賞を獲得してきた名門。2014年にケリング グループへと加わり、2017年からはSIHH(ジュネーブサロン)での新作発表を行うという決断を下した要注目ブランドの「今」を、CEOへのインタビューを交えて探っていきます。
旗艦モデルは「マリーン クロノメーター」
ユリス・ナルダンといえば、腕時計以前に開発していた航海用のデッキクロック「マリンクロノメーター」があまりにも有名。その技術力の優秀さは遠く海を越えて日本にも伝わり、日露戦争時代に使われた戦艦「三笠」にも備えられるほどでした。
この伝統を最も色濃く受け継ぐコレクションが、現代の「マリーン クロノメーター」。CEOのパトリック・ホフマン氏も「新生ユリス・ナルダンには欠かせない」と認める製品です。
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新体制に伴ってコレクションも再編
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「これまでは、溢れ出るイマジネーションのままに製品を開発していたため、コレクションが複雑化していました。これを、新体制になったのを機に一度整理することにしたのです。再編の主役は、『マリーン クロノメーター マニュファクチュール』。このモデルは、かつてのデッキクロックの意匠を保ちながら、ムーブメントは最新の自社製Cal.UN-118を搭載しています」(ホフマン氏)
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ユリス・ナルダンは伝統を重んじるだけではなく、新たな技術も積極的に導入しています。近年のエポックメイキングな開発では、2001年にシリシウム素材を時計に初めて使ったことが挙げられるでしょう。
現在、多くの時計ブランドが採用するシリシウムをいち早く使用した事実だけでも、ユリス・ナルダンの先見の明がわかります。
「マリーン クロノメーター マニュファクチュールは、見た目はマリンクロノメーターの伝統を継承していますが、内部のメカニズムは極めて先進的。まさにユリス・ナルダンの歴史そのものを体現した時計といえます。2016年に発表した『グランド デッキ マリーン トゥールビヨン』のようなコンプリケーションを含め、これからもマリーン クロノメーターのコレクションには注力していきますよ」(ホフマン氏)
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