文字盤に描かれた滝に何を想う…千住 博氏×ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏対談

流れ続ける「滝」と「時間」

千住氏:私が描く「滝」は風景画ではないので、特定のモチーフはありません。なので、今回のコラボレーションで描いた作品にあえて名前をつけるなら、「ブルガリの滝」と言えるでしょう。といっても、制作中はブルガリのことを考えたり、時計のことを考えたりはしませんでした。特定のイメージに寄ると作品がいびつな仕上がりになってしまう。だから、制作中は無心になるよう心がけているんです。

ボナマッサ氏:博の作品は非常にスケールが大きいのですが、それを腕時計で表現するというのが非常にユニークな試みだと思ったんです。しかも世界最薄記録を持つ「オクト フィニッシモ オートマティック」で。
たとえば料理でも、意外な組み合わせの食材がいざ調理してみると驚くほど美味しい、ということがありますよね。今回のコラボレーションは、まさにそのように仕上がっていて非常に嬉しく思っています。

「オクト フィニッシモ オートマティック 千住博」185万7600円/Ref.SAP103051 2018年6月発売
自動巻き(Cal.フィニッシモBVL 138)/チタンケース&ブレスレット/直径40mm、厚さ5.15mm/30m防水/世界限定30本
「オクト フィニッシモ オートマティック 千住博」174万9600円/Ref.SAP103050 2018年8月発売
自動巻き(Cal.フィニッシモBVL 138)/ステンレススチールケース&ブレスレット/直径40mm、厚さ5.15mm/30m防水/世界限定30本
「オクト フィニッシモ オートマティック 千住博」556万2000円/Ref.SAP103053 2018年10月発売
自動巻き(Cal.フィニッシモBVL 138)/18Kピンクゴールドケース&ブレスレット/直径40mm、厚さ5.15mm/30m防水/世界限定6本

千住氏:何年にもわたって彼とやりとりするなかで、大体100パターンぐらいは提案したんじゃないでしょうか。その中で一貫してキーワードになっていたのが「五感に訴えかける時計を作りたい」ということ。それを感じられるものが、最終的に文字盤に採用した作品になります。
私は地球が地球たり得るためには、3つの重要な要素があると考えています。それは「水」と「重力」と「温度」。これが一体になっているものこそ、まさに「滝」なのです。また、滝は一瞬たりとも同じ状態に留まることがありません。絶えず流れるのは時間も同じですよね。だから、私は滝と時計というのは、非常に相性の良いものだと考えていました。逆に、なぜそうしたテーマの時計がないのか不思議に思っていたぐらい。
今回の「オクト」は、身に着けて時間を読むだけでなく、文字盤に描かれた「滝」から水の流れや音、匂いなどまで想像を巡らして楽しんでもらえたらと思います。

千住 博氏。スケールの大きな滝の絵で世界的に著名な画家。水が滝つぼにぶつかる滝のほとりを中心にした絵を多く描いている。千住氏が画家としてしばしば用いるのは、特別に作られた楮紙の上に天然素材をもとにした顔料をのせていく伝統的な日本画の技法。こうした作品は照明を抑えた畳の部屋で鑑賞するものという通常のルールに反し、千住氏は自然光のもとで作品を鑑賞してもらうことを好む。長野県に同氏の名前を冠した美術館がある
ブルガリ ウォッチ デザイン センター シニア・ディレクターのファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏。カーデザイナーを経て、ブルガリのデザイン部門に参画。ブルガリのフラッグシップモデルであるオクトなど、ブルガリのウオッチコレクションのデザインを刷新してきた実績を持つ。
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