自分を整えてくれるレイモンド・ウェイル――武田双雲さんと考える、時計選びの本質

2019/8/21 21:00
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書道家、そして芸術家としても活躍の幅を広げる武田さん。その原点ともいえる道具選びは、彼にとって人の心をも左右する大きな要素だ。職人の手で丁寧に作られた道具以上の存在。レイモンド・ウェイルの時計もまた、然り。ここでは本誌編集長との対談で、“良い道具”の本質を探ってみた。

時計で気持ちを盛り上げたり落ち着かせたりする

文字通り肌身離さず身に着ける時計は、意識的に文字盤を覗く瞬間以外にも日常のふとしたときに視野に入る。相棒として常に身近にあるそれは、大げさにいえば自らの分身――。なかでも丁寧に作られたレイモンド・ウェイルの1本は着用者自身を整える“スイッチ”となる。

関口 書道をされるときと、アートを手がけるとき。各々で違う道具を使われていますが、それらを選ぶ際の意識は変わりましたか?

武田 いま思うのが、やはり書の道具は素晴らしいということ。アートにおいては筆を使わないことも増えてきましたが、あらためて筆や硯、墨の奥深さに感動しています。

関口 アート用の画材との違いはどんなところにあるのでしょう?

武田 感覚的なんですが、墨をすったときの滑り、和紙や筆のふわっとした感触。使うたびに職人の心を感じます。ストイックを突き詰めて作られたそれらは、道具の域を超えた、人間の魂が震えるものだと捉えています。

関口 使う人を想って職人の手で丁寧に作られる。機械式時計にも通じますね。スイスの時計職人が立ち上げた独立系ブランド、レイモンド・ウェイルの1本もそうだと思います。

武田 良い書道具と良い時計は近しいかもしれません。講演会などで時計を身に着ける機会が多いのですが、それらを選ぶ際も感覚なんですよ。見て、手にとって、自分の感覚に合うもの。僕にとって結局は作り手の想い、エネルギーこそが心に響くんだと思います。そういうものって、結果として自分自身の心に作するとも思うんです。

関口 身に着けることで、気持ちがポジティブになる?

武田 気持ちを落ち着かせたり、盛り上げたり。特に時計は直接肌に着けて、ことあるごとに目に入る。だからこそ、心をチューニングする役割が他に比べて大きいと思います。時計って、正直にいえば必要不可欠なものではなくなってきている。時間を知るならスマホで事足りる。でも、僕は時計が好き。自分を整えてくれる〝スイッチ〟として大切だからです。

関口 実用的な道具として以上に、時計は精神的な道具なんですね。

武田 現代って、なにかと忙しいじゃないですか。ややもすると、日常に無頓着になりがち。でもそうではなく心を整えて物事に相対することで、もっとポジティブになれるし、幸せになれる。僕はそう信じています。

関口 なるほど。そう考えると我々は普段、無意識のうちに自分のスイッチとなる時計を選んでいるのかも。

 

武田さんとの対話のなかで、良い道具の本質をあらためて考え直した関口編集長。逆に編集長自らの“好き”を語り、感心されるひと幕も。

 

武田 そうだと思いますよ。たとえば関口さんの今日の時計は、どこが気に入っていますか?

関口 僕は時計の醍醐味は機械仕掛けの面白みだと考えているのですが、このオープンダイアルの『フリーランサー』は、ムーブが動く様子を外から視認できます。その繊細な動きを見るたびに、心が落ち着きます。

武田 ほらやっぱり(笑)。心に上向きに作用するのって、良いものと同時に自分が好きなものである場合が多いんですよ。別の言い方をすれば、心の状態が正常に整っていないと、本当の意味ではものを好きになれない。好きなものって、好きになろうと努力して見つかるものじゃない。あくまで自然に、健全な状態にチューニングされた心に生まれる感情だと思うんです。だから自分の〝好き〟を説明するときの表情って、みんな輝いている。レイモンド・ウェイルの時計の良さを語る関口さんも、まさに輝いてました(笑)。

関口 恐れ入ります(笑)。そういう意味では、武田さんが着用されている『マエストロ』も、タイムレスなデザインのなかで、創業者一族が好きな音楽などの芸術性が盛り込まれています。

武田 うわ! 知らなかったけど、それは完璧ですね。地味すぎず派手すぎない絶妙なダイアル、そして作務衣に通じるネイビーの色味。僕の〝好き〟をピンポイントで突くデザインだなとは思っていましたが(笑)。

関口 より、武田さんに相応しい時計になりそうでしょうか?

武田 これで日々チューニングして、明日からもポジティブに進んでいけそうです。

 

レイモンド・ウェイルとは!?

●創業年=1976年 ●創業地=スイス/ジュネーブ
●創業者=レイモンド・ウェイル ●現CEO=エリー・ベルンハイム

創業者であり、時計職人のレイモンド・ウェイルが、自身の名を冠する時計ブランドとして設立しました。初代当主の孫にあたる現代表をはじめ、代を重ねても創業者一族によって運営されている、時計界では数少ない貴重な存在です。シンプルななかに伝統的な技法や意匠を潜ませる、スイスらしい表現を特徴としています。

 

武田さんが着けた一本

マエストロ Ref.2227-STC-00508 16万2000円
時を経ても色褪せない偉大な芸術作品がイメージソースで、ギヨシェを施したオープン文字盤が特徴的。レコード溝を想起させるダイアル外周部など、アート的要素も見どころだ。直径39.5mm。SSケース。5気圧防水。自動巻き

書道家 武田双雲さん

1975年生まれ、熊本県出身。書道、とりわけデザイン書の分野で大成を収め、現在はアートの世界でも活躍。「楽」の文字をさまざまな物質・方法で描くなど、斬新かつポジティブな作風で注目を集める。著書多数

 

関口が着けた一本

フリーランサー Ref.2785-BC5-20001 34万200円
ケースとベルトをブラックで統一した、シックかつスポーティな一本。オープンダイアルからは、信頼性の高い自社製ムーブ「RW1212」が美しく動く様を眺めることができる。SSケース。直径42mm。10気圧防水。自動巻き

ウオッチナビ編集長 関口 優

1984年生まれ、埼玉県出身。2016年1月より現職。毎年バーゼルやジュネーブでの現地取材に赴き、年間500本以上の腕時計を見ている。自身で試すことがモットーで時計を買い続ける日々を送っている

 

問:GMインターナショナル TEL.03-5828-9080
https://raymond-weil.jp/

 

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