時計のコンシェルジュに聞いた、その時計を買ったワケ vol.1 ――ジャガー・ルクルト編

時計の魅力を伝道する販売スタッフたちは、数多くの高級時計と接する中で「コレぞ!」という逸品に惚れ、実際に購入している。時計のプロが選んだ時計なのだから、当然のごとく“ハズレ”などない。しかし、彼らがなぜその時計を選択したのかについては、なかなか知ることはできない。そこで大阪、京都、和歌山、鹿児島に出店している時計専門店oomiyaに取材し、各店舗のスタッフがどんな時計を着用しているのか、購入に至ったエピソードなどについて聞いてみた。

<oomiya 心斎橋店>前田裕貴さん

「レベルソは腕時計のルーツを語ることができる数少ないモデル」

西日本随一の繁華街として知られる大阪・心斎橋。高級メゾンのブティックやデパートが建ち並ぶこの地に、oomiyaが出店を果たしたのが2010年。大阪メトロ「心斎橋駅」から徒歩約3分の現住所に移転・拡大リニューアルオープンしたのが2016年末のことだった。このoomiya 心斎橋店に勤務する前田さんが所有しているのが、名門ジャガー・ルクルトの定番モデルである。「歴史、格式、技術のいずれも備えているのがジャガー・ルクルトです。とくにレベルソは腕時計が誕生した初期(1931年)に開発されたモデルで、まさに腕時計の歴史そのもの。語りどころが多く、お客様との会話も弾みます。時計に詳しくない方とお話しする際は、ケースを反転させる機能を見せると、すごく興味を持っていただけますね(笑)」

「このレベルソは歴史に惹かれたことに加え、ミニマムなサイズやデザインにも共感しました。シャツの袖口に収まりやすいながらも、ひと目でレベルソとわかる四角いフォルム。緻密なギョシェのシルバーダイアルに、シンプルなアラビア数字とブルースチール針で、すっきりと美しく、さらに読み取りやすいのです」

購入後、楽しみになったという使い方も教えてくれた。「ストラップとケースの接続部にバネ棒が使われていない特殊な構造で交換が容易ですし、バックルも簡単に取り外せます。ですから仕事中はこのブラックのアリーゲーターを、プライベートではよりカジュアルなネイビー色のものを使用しています」

時計に興味を持ったきっかけ、oomiyaへの入社、そしてツウ好みのレベルソの選択には父の存在があったという。「父が時計好きで、幼い頃から本格的な時計に憧れていました。だから就職活動のとき、真っ先に時計関係を検討しましたね。縁あってoomiyaに入社でき、時計に対する気持ちはいっそう深まっています」

時計愛やレベルソ愛の強い前田さんが、次に購入を検討しているのはどんな時計か?「レベルソがドレス系の時計なので、その対極にあるダイバーズが気になります。やはり語りたくなるような歴史もポイントなので、パネライが第一候補。好きなネイビーカラーのルミノールが新発売されたので検討中です」

パネライ「ルミノール GMT」Ref.PAM01033 106万7000円/自動巻き(自社製Cal.P.9011)。毎時2万8800振動。72時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)。アリゲーターストラップ。直径44mm。30気圧防水

 

シンプルかつクラシックなデザインは、ルミノールもレベルソも共通といったところ。しかし時計の楽しみはそれだけではないとも話す。「近年、ダイバーズも多様化して新しい機構やデザインが次々に登場しています。たとえばレッセンスという文字盤内にオイルを充填したユニークなブランドがあり、ここからもダイバーズがリリースされています。TYPE 5は防水スペックこそそこそこなものの、文字盤が膨張して見えてしまう水中においても、オイルが使われていることでくっきりとした視認性を保てます」

「センターが分、サブダイアルは時とスモールセコンド、赤・青・黄緑・黄色のゲージがパワーリザーブ表示です。リューズはなく、針合わせはケースバックの調整回転盤で行います。潜水時間を計る回転ベゼルも備えており、個性的なデザインと新しいテクノロジーを同時に楽しめる一本となっています」

レッセンス「TYPE 5」Ref.TYPE 5 BB 378万4000円/自動巻き(ROCS5モジュール)。チタンケース(DLC加工)。レザーストラップ。直径46mm。10気圧防水

 

心斎橋周辺には高級時計を扱う店舗は数多い。その中でもoomiya 心斎橋店が評価されている理由が、ジャガー・ルクルトやパネライといった定番から、レッセンスのような趣味性のあるタイムピースも取り揃えているため。加えて、時計に強いこだわりを持つ前田さんのような“時計のコンシェルジュ”が勤務しているからである。

【連載】時計のコンシェルジュに聞いた、その時計を買ったワケ

vol.3 ――ブライトリング編(https://watchnavi.getnavi.jp/interview/38145)

vol.4 ――IWC編(https://watchnavi.getnavi.jp/interview/38233)

<取材・撮影協力>

oomiya 心斎橋店
TEL:06-6251-0077
住所:大阪府大阪市中央区南船場4-7-6
営業:11:00~20:00
定休日:水曜

※取り扱いブランドは、オフィシャルサイト(https://www.jw-oomiya.co.jp/)に掲載。