時間は誰にでも平等。だからこそ1日24時間、その限られた時間をどう使うかが「人生を楽しむ」ための鍵となります。様々な業界で活躍する人物から「時間術」を聞く本連載。第18回は食欲コンサルタント、日本初のアスリートフードマイスター、さらにトライアスロンの選手としても輝かしい実績を持つ、村山彩さんにお話を聞きました。
撮影/高橋敬大 文/赤坂匡介
ラジオ局勤務を経て、映像製作会社に転職。しかし30歳のときに身体を壊してしまい、それを機に健康管理に目覚め、野菜ソムリエとアスリートフードマイスターの資格を取得。同時にトライアスロンをスタートした村山さん。
競技を始めたのは遅かったものの、3年目の2012年には「館山わかしおトライアスロン」で総合優勝。2013年には、食欲コンサルタントとして、初の著書を上梓。現在は出産を経て、子育て中心のライフスタイルをおくる村山さんに、日々どんな時間の使い方をしているのか聞いてみると、そこには「食べることは生きること」という村山流の哲学がありました。
――村山さんは30歳を節目に、がらりと生活スタイルを変えました。出産を経験したことで、さらに変化があったのではないでしょうか?
はい。私は30歳のとき、身体を壊したことで、健康管理に興味を持つようになり、「食」と「運動」の重要性を感じるようになりました。
“食欲コンサルタント”と名乗っているのは、「食と運動の大切さを伝えたい」という思いからです。
最近は育児を通じて、いかに子どもの食欲が素直なのかを知ります。まず、いやなものは食べないですから(苦笑)。でも、そこには必ず理由があるんです。だから何が問題なのかを考えて、改善していく。日々その繰り返しです。そんな毎日を通して、あらためて食の重要性を痛感しています。やっぱり「食べること」は「生きること」ですから。
――そんな村山さんが好きな時間は?
朝の時間が好きです。朝食を作って、家事をして、子育て中心の日々ですが、とても充実しています。その中で、周囲に協力してもらいながら、可能な範囲で外の仕事はお受けし、家ではレシピ開発や本づくりをしています。以前より、時間の使い方は上手くなったかもしれません。
――料理といえば、「冷蔵庫を整理する仕事」もされるそうですね。
はい。300例の冷蔵庫の中身を見せてもらい、徹底的に分析したことで、私は「やせる冷蔵庫」のスタイルを見つけ、それを本にまとめたんです。その延長で現在も、お宅にお伺いして、冷蔵庫を整理する仕事をしています。先日は姉の住むフランスでも数軒、整理してきました。
冷蔵庫の中身を常に把握できている方は、とても少ないと思います。しかし、それをわかっていないと、余計なものを買ってしまい、食べすぎてしまったり、無駄な出費を生むことにもなります。
ですが冷蔵庫というのは、主婦にとって聖域なんです。旦那さんにも触られたくない場所でもあります。だからこそ、第三者が介入しないと片付けられない。そうした背景もあって、冷蔵庫を整理すると、すごく感謝されますし、やりがいを感じます。
旦那さんがくれたブルガリの時計は、大切な1本
――今日お持ちいただいたのは、ブルガリの腕時計とガーミンのスマートウォッチですね。
ブルガリの時計は、5年ほど前に誕生日プレゼントに夫からもらったものです。シンプルなデザインで、使いやすく、とても気に入っています。講演などでスピーチをする機会もあるのですが、そうした場面では必ずこの時計を着けています。思い入れもありますし、とても大切にしています。
ガーミンのスマートウォッチは、トライアスロンの練習用に購入したものです。スポーツウォッチらしく、着け心地がいいので、気に入っています。
私はトライアスロンをしていたことで、体内時計が鍛えられたようで、あまり時間を確認することがないんです。感覚的に何にどれくらい時間がかかるかも把握していますし。ですから時計を見る目的は、「自分の体内時計を調整するため」という感覚に近いです。
――今後の目標は何ですか?
「食と運動」をキーワードに、気軽にできて、継続できるものを提案していきたいです。簡単に続けられて、気付いたら健康だったとか、気付いたら痩せていたというのが理想です。
最近は、かわいいお皿を使い、楽しく食べて、心も体も整えるレシピを考案しました。それが最新の著書『豆皿しあわせレシピ』(大和出版)です。
食は自分を作るものです。食べたものでしか自分はできません。私は心も含めて、食が作っていると考えています。だから食にこだわることは、自分を大切にすることです。すべての人が健やかに生きるために、ぜひ“食”を大事にしてほしいなと思います。それだけできっと、日々は豊かになると私は考えています。
村山彩(むらやま・あや)
食欲コンサルタント/アスリートフードマイスター/トライアスリート
1978年生まれ。ラジオ局勤務を経て、映像製作会社でプロデューサーとして数々の作品を手がける。体を壊したことを機に健康管理に目覚め、野菜ソムリエとアスリートフードマイスターの資格を取得し、運動をスタート。現在は、食欲コンサルタントとしての指導や冷蔵庫指導のほか、メディア出演、講演会、アスリートへの食事指導および運動指導など、幅広い活動を行っている。またアスリートとして、2012年「館山トライアスロン」総合優勝、「2014IRONMAN70.3台湾」で年代別で優勝。2013年には、初の著書『あなたは半年前に食べたものでできている』(サンマーク出版)が9万部を突破。近著に『豆皿しあわせレシピ』(大和出版)がある。
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