時間は誰にでも平等。だからこそ1日24時間、その限られた時間をどう使うかが「人生を楽しむ」ための鍵となります。様々な業界で活躍する人物から「時間術」を聞く本連載。第21回は俳優の吉田鋼太郎さんにお話を聞きました。
撮影/高橋敬大 文/赤坂匡介 ヘアメイク/加藤ゆい(frige) スタイリング/尾関寛子
切れたはずの縁が、40を過ぎて再びつながった
――先日、演出家・蜷川幸雄さんの意思を継ぎ、「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の二代目芸術監督に就任された吉田さん。蜷川さんとの出会いについて教えてください。
「私は10代のころから、シェイクスピア作品が好きで、よく観劇していました。17歳のとき、蜷川さん演出の『リア王』を見た感動は、いまも覚えています。21歳のとき、オーディションに合格し、シェイクスピアではありませんが、憧れの蜷川さん演出の舞台に出演できることになりました。ですが、稽古初日に罵倒され過ぎて、私はショックのあまり翌日から稽古に行かなくなりました……(苦笑)。そこで一度は切れたはずの縁が、40歳を過ぎて再びつながり、多くの蜷川作品に出演させていただきました」
――その後、蜷川さんは当時まだ無名だった吉田さんを『タイタス・アンドロニカス』で主役に抜擢。以降、多くの人がその存在を知ることになりました。そんな吉田さんが現在、いちばん好きな時間は何をしているときですか?
「妻と一緒にご飯を食べているときです。とてもリラックスできます。そのせいか、一緒にご飯を食べないと、何かし忘れたような感覚があります。歳を重ねて、ようやく妻を大事にすることの大切さにも気づきました(苦笑)。彼女を失いたくないと、いまは心から思っています」
蜷川さんの意思を継ぎ、 素晴らしい作品を届けたい
――俳優として、演出家として、芸術監督として、これからの吉田さんの夢は何ですか?
「役者を始めた頃から今日までずっと、私はシェイクスピアに魅了され続けています。今回、「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の二代目芸術監督に就任し、シェイクスピア作品を多くの方に届けられることは、ある種、夢が叶ったような気分でもあります。しかしシェイクスピアは誰にでも簡単に扱えるものではありません。その高いハードルを乗り越え、蜷川さんの意思を継ぎ、しっかりと“おもしろいシェイクスピア”をお届けしていきたいです」
今回吉田さんに身に着けてもらったのは、1970年代に登場したジラール・ペルゴの「ロレアート」復刻版となる「ロレアート 38mm」。吉田さんは、やや小ぶりなサイズ感、シックなデザインが気に入った様子で、着用すると「いいですね」と渋い笑みを浮かべていました。
私物のIWCについては「2年前、妻から誕生日プレゼントにもらったものです。それまでは祖父の形見の、オメガの時計をしていたのですが、以来この時計ばかりしています。ずっと大切に使い続けたいですね」と吉田さん。
吉田鋼太郎(よしだ・こうたろう)
俳優
「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の二代目芸術監督に就任。12月15日(金)から開幕する同シリーズの最新作『アテネのタイモン』では演出と主演を務める。
ジラール・ペルゴ (問)ソーウインド ジャパン TEL:03-5211-1791
シャツ/1万9000円、ジレ/2万5000円
パンツ/2万6000円、
ストール/参考価格(JOSEPH HOMMEオンワード樫山03-5476-5811)
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