腕時計には、性能や品質を保証するための認証・規格や、それを検査するための第三者機関があります。その中でも世界的に最も有名なのが、時計の精度を保証する「クロノメーター」。これを知らないと、時計のスペックは語れません。
国際標準化機構の定めたマニュアルに沿って検査を実施
国際標準化機構が規定したISO3159の基準に沿って、公的機関が時計の精度を検査。合格したモデルに与えられる“高精度”であることの認証が「クロノメーター」と言います。
試験を行う公的機関は各国に存在ありますが、最も著名で、最も数が多いのが、1973年に設立されたスイス・クロノメーター協会(COSC)によって行われる認証です。
検査は、腕に着用した状態やケースに入れた状態など実際の使用環境を想定したものとなります。具体的には、12時下・右・左、文字盤上・下の5つの姿勢差と、3つの温度差で15日間、精度を測定(下の[1]参照)。日差(24時間あたりの誤差)、姿勢や温度差によって生じる誤差など7項目を測定し、日差平均が−4 〜+6 秒以内など、基準内かどうかがチェックされます(下の[2]参照)。
この検査をパスする腕時計は、スイス製腕時計全体のうちわずか3〜4%ほどと、かなりの難関。合格するには精密な設計&製造技術や、ミクロン単位の組み立て&調整技術が不可欠とされています。
ちなみに、COSCにはジュネーブ、ル・ロックル、ビエンヌの3か所に検査機関があり、そのいずれかでテストが実施されます。
スイス以外の検定機関としては、ドイツ・グラスヒュッテ天文台の検定所が行なう「WEMPE」や、フランス政府工業省管轄の時計・宝飾研究所が行なう「CETEHOR」も有名です。
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