知っていそうで意外に知らない腕時計の手入れとマナー【第4回】

腕時計の購入から活用法、手入れ、保管まで、中〜上級者だけが知っている裏技テクやノウハウを6回に分けてご紹介していきます。覚えておくと購入から日常ケア、収納・保管まで悩む心配はありません。第4回は、短期間・長期間での腕時計の保管方法についてです。

時計を長期間保管ケアするならケアは必須!

時計を長期間保管する際に最も気を付けたいのは、ケースやブレス、革ベルトに残った汚れや水気をしっかり落としてから収納ケースに収めるという点。

もし、汚れや水気が残っていればサビやカビが発生したり、黴菌が繁殖して異臭や肌荒れのトラブルを招くことも…。

乾いたクロスで汚れと水気を拭き取ったら、日陰の風通しの良い場所で少なくとも半日以上は乾燥。コマ間やボタンの根元など水気の残りやすい場所も、綿棒などで丁寧に拭っておきましょう。また、保管ケースには各種あるが、乾燥剤付きのタイプを選ぶとさらに安心です。

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長期間使わないクオーツ時計は電池を抜く

クオーツ時計を長期間保管する際には、電池の寿命切れに気をつけましょう。クオーツ電池は電池切れしたまま放置しておくと、内部でガスが発生して膨張。内圧が高まることで内部の電解液が染み出る「液漏れ」を起こす危険性があるのです。

もし、この液漏れが発生すればダメージは深刻。ムーブに液が浸透すれば分解洗浄が必要になるし、最悪の場合は機械部品や文字盤が腐食することも。やむを得ず長期保管する際は、メーカーや修理会社などに依頼して、事前に電池を取りはずしておくと安全です。

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機械式モデルは3か月以上も放置しない

時計内部の金属部品には、噛み合った際に摩擦を軽減するための機械油が塗られています。この機械油は長期間、そのまま放置すると凝固して劣化する可能性もあるので、数か月も時計をそのままにしておくのは危険な行為。3か月に一度程度はゼンマイを一杯まで巻き、動かすことを厳守しましょう。

ゼンマイをフルに巻き上げておけば、時刻表示機構やカレンダー機構など大部分の部品が動き、油も適度に循環。クロノグラフやGMT、回転ベゼルなど、特殊機構を備えたモデルはそれらもしっかりと駆動させておくことも忘れないようにしましょう。

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海で使った腕時計は必ず手入れする

時計を海で使うと、海水に含まれる微生物や雑菌などが細部に入り込んでしまうもの。それらはクロスで拭いただけでは除去できないので、特別なケアが必要です。

ケアの方法は、①ボウルにぬるま湯を溜め、時計を1〜2分間浸す。②汚れが浮いてきたら、全体を手で優しく洗う。③ブレスのコマなど手でケアしにくい箇所はブラシで汚れを落とす。④ボウルに水を入れ、汚れや塩分を洗い流す。⑤風通しの良い場所で乾燥。というのが正しい手順。ケアを実施せずに放置するとたちまちサビや異臭などのトラブルを招きます。

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時計は会社の引き出しやロッカーに収納しないで

時計をロッカーや引き出しなどに収納する際には、「中に何が入っているか?」を必ず確認しましょう。もし、シンナーや接着剤、化粧品類など揮発性の薬品類が入っているなら、時計の収納は厳禁。それら薬品類の揮発成分で空間内が満たされ、ケースや文字盤に使用される貴金属や天然素材(マザー・オブ・パールなど)と化学反応を起こす危険性もあります。

化学反応を起こしてしまったら素材の変色や退色を招くし、化学反応で素材自体が変質してしまうのでもはや修復は不可能。ケースや文字盤ごと交換が必要となるので注意しましょう。

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第5回は、時計店での試着マナーについて触れていきます。

取材・撮影協力/共栄産業

【URL】
共栄産業 http://www.kyoeico.com/

 

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