ランゲ中興の祖に捧げるオマージュ【2018新作レビュー/A.ランゲ&ゾーネ】

驚愕のラトラパンテ3連装

今年のSIHHでA.ランゲ&ゾーネが発表した最も複雑なモデルが「トリプルスプリット」。独自機構の「ダブルスプリット」をさらに磨き上げ、最長12時間のスプリット計測を可能としたモデルです。

「トリプルスプリット」13万9000ユーロ(参考予価/ドイツ国内VAT含む)/Ref.424.038

超複雑機構のひとつに数えられるラトラパンテは、2本重ねとされた積算針の一方を一時的に停止させ、スプリットタイムの計測を行う機構。スプリット計測の終了後は、ラトラパンテ針が通常の積算針に追いつき、連続計測を行えることに最大の特徴があります。これを一般的に「スプリットセコンド」と呼ぶのは、積算秒針にしかラトラパントを備えないため。このため一般的なスプリットタイムの計測は、60秒以内に限定されてしまいます。
A.ランゲ&ゾーネが画期的だったのは、同じ機構を分積算針にも載せて、最大30分までのスプリット計測を可能としたこと。これが「ダブルスプリット」で、2004年に発表されています。さらに「トリプルスプリット」には、ラトラパンテ式の時積算針が備えられています。

 

ロングパワーリザーブ機をベースに機構を再構築

新しいトリプルスプリットは、ダブルスプリットをベースにラトラパンテ式の時積算針を追加したものと考えがちですが、これは少し違うようです。なぜならダブルスプリットは、通常時のパワーリザーブが約33時間しかないため、最大12時間のスプリット計測を行うには、ゼンマイの持続時間がギリギリになってしまうためです。
このため新しいトリプルスプリットは、ロングパワーリザーブ仕様のダトグラフ系ムーブメントをベースに、新たにラトラパンテ機構を再構築しています。秒と分のラトラパンテ機構はダブルスプリットと同様のため、プレシジョン・ジャンピング・ラトラパンテ・ミニッツカウンター(瞬転式の分表示+スプリット機構)やフライバック機構もそのまま受け継いでいます。
またラトラパンテ針の停止時に負荷を切り離す、ランゲ独自のアイソレーターホイールも健在です。

 

A.ランゲ&ゾーネ初の時積算計付きクロノグラフ

トリプルスプリットの時積算針は、通常のクロノグラフと同様に、香箱から直接動力を得ています。この機構がクラッチを持たず、基本的にブレーキレバーしか備えないのは、精度に与える影響が少ないからとされています。このためトリプルスプリットでも、この部分にはアイソレーターを設けていません。

注目すべきは、このモデルがA.ランゲ&ゾーネ初の“長時間計測クロノグラフ”であることでしょう。
意外かもしれませんが、これまで同社のクロノグラフは、時積算計を備えていませんでした。トリプルスプリットは雲の上の存在ですが、このモデルで試みられた技術は必ず他のモデルにもフィードバックされていきます。
ということは、時積算計付きのランゲ製クロノグラフが登場する可能性もゼロではなさそうです。

 

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