2018年6月に、リシュモン グループより新ブランドの設立が発表されました。その名も「BAUME(ボーム)」。そう、時計好きにはおなじみ「ボーム&メルシエ」と歴史を共有するブランドなのです。リシュモン グループといえば、カルティエを筆頭とする世界三大ラグジュアリーグループのひとつですが、果たして新ブランドの魅力はどこにあるのか。現在はオンラインのみで販売されているため、「一度はリアルな雰囲気を見たい」という方に代わって実機に触れながら検証しました。
文/水藤大輔
モダンデザインに込められた1830年からの歴史
ボームの腕時計をひと目見て気づくのは、非常にシンプルにまとめられた文字盤デザインと、12時位置に備えられたリューズ。これらの意匠は、かつてボーム&メルシエが製造していたポケットウオッチに由来しているそうです。
ラグは、リューズをかわすようにように長く設計されています。上下に可動するので手首のホールド感はしっかり目。これなら腕の細い人でも違和感なく着けられるでしょう。
ちなみにケースサイズは直径41mmと直径35mmのふたつがあり、厚さは最も厚いレトログラードタイプでも9.6mmとなっています。これぐらいのサイズなら、シャツの袖口にひっかかる心配もなさそうです。
再生可能な素材を使った技ありストラップに注目
さて、全体を一通りチェックしたところで、次はボームの売りのカスタマイズ性を見ていきます。
まずこのカスタムウオッチには、2種類のサイズに共通するスモールセコンド仕様のほか、35mmにはムーンフェイズ表示、41mmにはレトログラード運針表示を備えた文字盤がセレクトできます。
文字盤のカラーは白、黒、青と2種類のグレーの5色あり、ケースはシルバー、ゴールド、ブラックの3色を用意。さらに、針の色も白、シルバー、ゴールド、ブラックの4色から選ぶことができ、かなり自由度が高いことがわかります。
ストラップの素材はリネン(1色)、コルク(3色)、コットン(4色)、アルカンターラ(1色)の4種類から選べます。こうした「再生可能な素材」を使うというのは、ボームというブランドのコンセプトでもあります。
ビル・ゲイツ氏が来日した際に話題になったSDGsのように、世界中の数多くの企業が「持続可能な世界」の実現に向けて動いている昨今。このグローバルトレンドを、ボームも体現しているわけですね。
筆者は「コルクなんて耐久性は大丈夫なの?」と思いましたが、しっかり圧縮成形されているような印象を受けました。独特の風合いも良い感じです。
ボームのカスタムウオッチは、ケースバックに名入れなどの刻印も無料でオーダーできます。フォントが2種類から選べ、画面上では実際に刻印を入れたケースバックの雰囲気も見られるので、しっかり思い描いた形のものができそう。
色々と時計の仕様が選べるうえにパーソナライズまでできたら、もうそれは確実に“世界に一つだけ”の腕時計。
価格の秘密はオランダにあり。
ボームは、ボーム&メルシエの兄弟ブランドとして歴史を共有しているので、デザインはジュネーブで行われています。一方で、製造を行うのはオランダとなっています。何かと高いスイスではなく、他国で製造することでコストを抑えているわけですね。さらにオンラインでの受注販売にすることで、余剰在庫を大量に抱えることもないという。
高級時計とは異なる仕組みを構築したジュネーブ・デザイン、オランダ・メイドのボーム ウオッチは、オランダから出荷されます。すでに日本への発送実績もあるとのこと。いまのところドル建てで購入でき、価格は$550〜。日本円に換算したら6万円台前半ですね。
世にカスタムウオッチは数あれど、高級時計の本場スイスでも指折りの名門の流儀にならった腕時計というのは、いまのところ「ボーム」のみ。その特別感だけでも、購入する動機としては十分だと思います。
自分にはもちろん、大切な人へのプレゼントとしても喜ばれそうなこの腕時計の納期は12日間ほど。海外のオーダーメイドと考えればかなり早く、11月半ばのいまからならクリスマスには余裕で間に合いますね。
2018年時点でのウェブオーダーは日本語未対応ですが、翌年早々には日本語版も完成するとのこと。本当はもう少し先に予定していたところを、先に購入した方々が多くいたので早めたのだそう。注文サイトが日本語&円表示に対応したら、日本でも人気が出そうな腕時計。要注目です!
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