ムーブメントに透ける「サントス」の美学――時計ジャーナリスト柴田 充が語るカルティエ

ヘリテージを残しつつモダナイズされたデザイン。カルティエ「サントス ドゥ カルティエ」の崇高な美意識について、時計ジャーナリスト・柴田 充さんに解説いただきました。

 

唯一無二のオリジナリティを体現

サントス ドゥ カルティエ スケルトン LM Ref. WHSA0008 707万4000円
1904年に誕生したサントス ドゥ カルティエは2018年、その洗練にいっそうの磨きをかけた。最新のスケルトンモデルに自社製キャリバー9619MCを搭載。地板の役割りを兼ねるインデックスには、ヘアライン加工が施されている点にも進化が見られる。交換用レザーストラップが付属。18KPGケース。10気圧防水。手巻き

“すべては美しさのために”ジュエラーであるカルティエのこの矜持は、時計作りにおいても貫かれます。ですが、その美しさとは、けっして美観だけを意味するものではありません。それは、比肩することのない唯一無二のオリジナリティと同義であるということです。

角型時計に込められた情熱も、それに他なりません。時計史において主流だった丸型に対し、この旧来の規範を打ち破り、男性が着けるべき腕時計として角型を提示しました。そこにはスペースの制約や風防の耐久性、ケースの気密性といった多くのハードルがあったにも関わらずです。こうして完成したメンズウオッチは、だからこそ新世代の象徴になり得たのです。

伝統は現代に受け継がれ、さらに進化を遂げる。その創造性はムーブメントへと向けられ、「サントス ドゥ カルティエ」のフェイスをキャンバスとしたのです。

細部まで磨き上げられ、調和した輪列が覗き、ローマ数字インデックスを象ったオープンワークを大胆にブリッジへ施す。削ぎ落とした様式美へと昇華したスケルトンムーブメントは特許を取得し、シグネチャーになりました。

これまで文字盤に隠されていたムーブメントに光を当て、新たな美を見い出します。時計が見えない時の概念を可視化するものだとするなら、これは注がれた叡知の可視化です。そこに変わらぬ矜持が伝わる。我々が見るのは、その凛々しき美しさなのです。

 

柴田 充
メンズ誌を中心に活躍する時計ジャーナリスト、ライター。スイスの展示会には毎年取材に訪れている。その一方で、カバーするフィールドは広く、ファッションの他、映画や音楽、クルマなどにも精通する趣味人。

 

問:カルティエ カスタマー サービスセンター TEL.0120-301-757
https://www.cartier.jp/

 

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