時計のプロが語る私的ベストウオッチ――時計ジャーナリスト・柴田 充さんが選んだ5本
最新時計をつねにチェックしている評論家やジャーナリストに、2019年に発表された時計で印象的なものを5モデル選び出してもらった。時計のプロである彼ら意見は、購入を後押しする良きアドバイスとなるに違いない。今回は、ライフスタイルグッズやファッションにも詳しい柴田 充さんのベストウオッチを紹介。
<私的ベストウオッチNo.1>オメガ「スピードマスター アポロ11号 50周年記念 リミテッド エディション」
ついに手巻き式もマスター クロノメーターに
「1969年に宇宙飛行士に贈呈された金無垢モデルRef.BA145.022に着想を得て、世界1014本限定発売。手巻き式マスター クロノメーター ムーブメントの搭載で、50年先も輝きを損ないません」
「時計のベクトルは手巻き式の発想や充足感に向かいそうな気配がします」
ベスト5の選出基準は?
「手巻き。タイムレスというモダニティ」
2019年の時計界を総括すると
「素材、設計、生産などあらゆる技術革新がさらに時計を進化させています。想像もしなかった斬新な機構やスタイルが登場し、まさに百花繚乱。とはいえ半世紀前、人類初の月面着陸の偉業がむしろ人々を地球の平和や環境保護の意識に目覚めさせたように、時計のベクトルも逆に向かいそうな気配。宇宙よりも深そうなネットの闇が広がる一方、反作用としてクローズアップされるのは手巻き式であり、求められるのはその発想や充足感ではないでしょうか。そんな期待を込めて」
<私的ベストウオッチNo.2>グランドセイコー「SBGK005」
収差のないドーム風防とブルーダイアルの仕上げが好相性
「2019年登場の最新手巻きキャリバーを搭載。収差のないドーム風防と文字盤の仕上げのマッチングの美しさを評価したい」※世界限定1500本につき、メーカー在庫終了
<私的ベストウオッチNo.3>モリッツ・グロスマン「コーナーストーン」
贅沢な専用設計の角型キャリバー
「初の角型モデルにして、もちろんブームメントは専用設計。なんとも贅沢な中身に、グラン・フーエナメル文字盤とブラウンバイオレット針の美しさが際立ちます」
<私的ベストウオッチNo.4>パテック フィリップ「クロノグラフ」
現代的なサイズに進化した2カウンタークロノグラフ
「伝統を受け継ぐ名作クロノグラフが、よりモダンに一新されました。プッシュボタンが丸型となり、その上面にはギヨシェ装飾が施されます。現代のラグジュアリースポーツを象徴する存在と言えるでしょう」
<私的ベストウオッチNo.5>ハミルトン「カーキ パイロット パイオニア メカ」
古き良き軍用時計デザインと手巻きムーブメントを堪能
「1973年に英国空軍のために製造されたヴィンテージのミリタリーウオッチを復刻。そのレトロ感に、小振りサイズが絶妙です。手巻きにこだわった点もマニアックなハミルトンのやる気を感じさせます」