腕時計の発展を牽引する現代の優れたクロノグラフを、時計専門誌・ウオッチナビが厳選して紹介する連載2回目は、時計の本場であるスイスとモノづくり大国ドイツの最高峰ブランドとして、パテック フィリップとA.ランゲ&ゾーネから象徴的なクロノグラフを選出。さらにユニークピースで人気を博す、新生RJからは未来的なデザインのクロノグラフを選んだ。
手巻きクロノグラフの金字塔を完全自社開発ムーブメントで凌駕
クロノグラフ史上の金字塔と呼ばれた先代Cal.CH 27-70は、ヌーヴェル・レマニアのエボーシュを使っていた。パテック フィリップが後継機を完全自社開発するからには、それを凌駕して当然。そんな世界の時計愛好家の期待に応え、5年の歳月をかけて完成させた新キャリバーは完璧な仕上がりだった。同社技術陣の誇りと伝統は、この新作にも受け継がれている。
時計の美学を変革した調和の取れた文字盤とムーブメントの凝縮感
センターから下げたインダイアルとアウトサイズデイトを正三角形に配し、かつてない調和を生み出した記念碑的フライバック・クロノグラフ。ムーブメントの部品も下部が過密になり、そこに凄まじい凝縮感が生まれた。この圧倒的な美しさで世界を最初に驚愕させたのは1999年のこと。以後、時計界のベンチマークとなり、パワーリザーブ表示を備えた現行モデルとなっても、評価は揺るぎない。
新生RJ第1弾は四方にラバー製バンパーを装備した将来の定番
アポロ11号やタイタニック号のパーツなど独創的な素材とコンセプトで現代アートのような価値を生み出してきたロマン・ジェロームが、2018年から「RJ」へと改名し再始動。ウブロの要職を務めたマルコ・テデスキ新CEOの打ち出した新たな定番がアローマリンだった。船舶をモチーフにした柔らかなフォルムに、ブランド名まで変えた熱い思いと強烈な個性が宿っている。