時計は高級なものからカジュアルなものまで幅広く存在し、一本を選び出すのは迷いやすい。そんなときの良きアドバイザーとなるのが、評論家やジャーナリストたちである。今回、2019年に発表された時計で気に入った5モデルをジャーナリスト・篠田哲生さんに選んでもらった。時計の魅力を掘り下げる解説は、購入の後押しとなるに違いない。
限定ではないが、購入するつもりなら早めに
「2019年にふさわしいアニバーサリーモデル。1969年に誕生したオリジナルA384の一つひとつの部品をデジタル化して忠実に再現しています。リミテッドとは発表されていないけれど、希少なモデルといえます」
【時計ジャーナリスト・篠田哲生さん】
「時計の質が高まり、デザインも創造性も極まったいま、次に大切なのは?」
ベスト5の選出基準は?
「強くオリジナリティが出ていること」
2019年の時計界を総括すると
「以前のように、SIHHやBASELで新作を一気に発表しなくなったからか、個々の時計の印象が薄くなったような気がする……。単純に“欲しい!”と思わせるモデルが減っているのかもしれないが。復刻、素材変更、カラーリング変更といった手堅い手法は健在だが、これはある程度想定内。時計の質は高まり、デザインも、創造性も極まりました。となると、あとは何ができるのか? 時計単体ではなく、文化や歴史、哲学を楽しむ提案が大切になるのではないでしょうか」
ムーブメント設計までこだわる姿勢を評価
「復刻モデルは数あれど、ムーブメント設計までこだわる姿勢が評価できます。初期ナビタイマーのムーブメントが手巻き式であったため、新たに手巻きキャリバー B09を自社開発して搭載しています」
シーンを選ばないスタイリッシュデザイン
「オンオフを問わず使いやすい洗練されたデザインが魅力です。ブラック、ブルー、シルバー、スケルトンとダイアルのバリエーションも豊富で、個人的にはブラック推し」
モダンダイバーズを生んだブランパンの歴史を物語る
「1960年代にドイツ海軍へフィフティ ファゾムスを供給していた仲介企業のバラクーダによる一般モデルが復活。ミリタリー×ダイバーズ、しかも名門ブランパンというのもいい」
懐かしさを感じさせる赤いデジタルディスプレイ
「1970年代後半に一世を風靡した、レトロフューチャー的デザインのコンピュートロンが復活。昨今のレトロ系のファッションによく似合います。アクセサリー的に楽しむのに最適な時計です」