元祖モダンダイバーズウオッチ【ブランパン フィフティ ファゾムス】の70周年記念モデル第2弾は技アリの回転ベゼルを搭載

現在のダイバーズウオッチのスタンダード、すなわち《ブラックダイアル+回転ベゼル》のスタイルが確立されたのが、1953年誕生の「フィフティ ファゾムス」だといわれている。それから70年の時を経て、ブランパン(BLANCPAIN)】が再び革新的なマスターピースを発表した。アニバーサリーモデルの“第2幕”となる新作「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」は、次の時代の本格的なダイビングに適応する理想の支援ツールである。

3時間計測スケールはリブリーザー・ダイビングに対応するために考案

 

元祖モダンダイバーズ「フィフティ ファゾムス」のデビュー70周年を記念し、ブランパンはこの一年を通してアニバーサリーモデルの発売を複数回予定していると聞く。“第1幕”の「フィフティ ファゾムス 70th アニバーサリー Act 1」は、アメリカ大陸、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)、アジア太平洋エリアのマーケットごと向けの3シリーズ(各70本)が投入され、発表とほぼ同時に完売を記録した。今回、世界中のコレクターの期待に応える“第2幕”が早くも公開されたわけだが、新作「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」は年産本数は僅かなものの限定ではないのが特徴のひとつ。あえてリミテッドモデルとせずにレギュラーモデルという位置付けの理由は、本機が真の意味でのプロフェッショナルダイバー用ツールとして次世代を担う存在だからといえよう。

ゴンベッサ プロジェクトのリーダー、ローラン・バレスタ氏

 

「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」の開発のうえで協力を仰いだのが、ブランパン オーシャン コミットメントを通してサポートを続けている洋生物学者兼水中写真家のローラン・バレスタ氏だ。彼が指揮するゴンベッサ プロジェクト(シーラカンスの研究や保護を目的とする活動)などでは、謎に秘められた生態のゴンベッサや希少な海洋生物を追うため、粛然と長時間にわたって水中に“潜む”必要がある。そこでリブリーザーを使ったテクニカルダイビングを行なうのだ。リブリーザーは、装置から送られる空気を吸って交換される空気を水中には放出せず、呼吸のためのループに戻して再度呼吸用の空気として再利用する特殊な潜水機材。これによって水中に漏れる気泡を低減し、さらに長時間の滞在が可能になる。なお、バレスタ氏はリブリーザー・ダイビングでおよそ24時間も続けて潜った経験を持つようだが、3時間までが通常とのこと(レジャー目的のスキューバダイビングは長くても1時間)。そこで「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」には、3時間を計測するための機能が組み込まれている。

 

 

フィフティ ファゾムスのエッセンスを受け継ぎつつ、人間工学に基づく設計で進化

新たな文字盤、アブソリュートブラックは光を約97%吸収。判読性を追求している

 

では、「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」の細部に迫りたい。まず3・6・9・12を配するブラックダイアルや表面にサファイアクリスタルを使った逆回転防止ベゼル(セラミックインレイ)、ダイビングスケールの菱形マークはお馴染みの仕様。だが、ダイアル上の時刻表示関連はオレンジカラーに合わせ、潜水時に重要な3時間針(3時間をかけてダイアルを一周する針)とダイビングスケールはホワイトで統一。各インデックスはメタルの縁がないモノブロック体になっており立体的で読み取りやすく、6時位置には同色でプロ仕様を意味する「Tech」があしらわれている。3時間針は秒針とほぼ同等の長さで、夜光塗料で加工された先端がベゼルのスケールを確実に指し示す。

ブラックライトで点灯した様子。写真のようにスケールの基点となる菱形を3時間針と合わせることで、最長で3時間までを計測できる

 

要所に夜光処理がなされており、暗闇でブラックライトを当てると写真のように発光する。リブリーザー・ダイビング向けという特別なコンセプトからベゼルのスケールと3時間針がとくに強く光り、ダイビングのための安全装置として機能する。これは仮説だが、時刻表示部の蓄光性能はあえて控えめにし、ダイビング時に不可欠な表示部のみ目立たせる選択を採ったため、このような仕様になったと考えられる。なお、風防もベゼル天面も硬質なサファイアクリスタル製のため、傷が付きにくいうえ極めてクリア。長期使用しても視認性が著しく低下することはない。

ヘリウムガス排出バルブを搭載。ケース側面には、左腕装着時でも見えるブランドロゴを刻印

 

ケースは、時計界では最高ランクのチタンとされているグレード23チタンを使用。サテン仕上げを多用して反射を抑え、プロツールとしての機能美に徹している。ラグは持たず、専用の湾曲したラバーストラップがケースから“生えている”ような構造になっており、直径は47mmで厚さは14.81mmと大型ではあるものの、腕に載せた際のストレスは大きくない。むしろ、多くの人がこのサイズながらの軽快さに驚くことだろう。防水スペックはフィフティ ファゾムス オートマティックと同じ30気圧防水で、3時側面にねじ込み式のビッグリューズを、10時側面に手動開閉式のヘリウムガス排出バルブを備え、飽和潜水に対応している。

ブランパン自社製造のキャリバー13P8を搭載。シースルーバックから眺めることが可能だ

 

搭載ムーブメントは、自慢のマニュファクチュールキャリバー「1315」をベースに3時間針を追加するなど手を加えた「13P8」。こちらもゼンマイをフルに巻き上げた状態ならば120時間駆動するロングパワーリザーブを有し、耐磁性や耐久性が高められているためダイバーズに適したスペックとなっている。また、飽和潜水対応モデルながらケースバックがシースルーな点もユニークである。気密性を高めるために通常はメタルの裏蓋となる例が多いが、本機は特殊な形状のねじ込み溝を採用するなど、サファイアクリスタルバックを実現している。これを通し、ゴンベッサ プロジェクトのロゴを刻印するゴールド製ローター、美しいコート・ド・ジュネーブ装飾、精緻なメカニズムを鑑賞できる。こうした卓越した技術者の手の込んだディテールも味わえる本機からは、伝統あるフィフティ ファゾムスが掲げる実用的なラグジュアリーダイバーズとしての矜持が感じられる。

 

「フィフティ ファゾムス 70th アニバーサリー Act 1」に続く「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」も、傑作ダイバーズのアニバーサリーイヤーに相応しい逸品といえる。果たして“第3幕”はどのようなモデルなのか!? 次回作に向け、時計好きはブランパンから目が離せそうにもない。

 

「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」 Ref.5019-12B30-64A 387万2000円(税込)

スペック:自動巻き(自社製Cal.13P8)、毎時2万8800振動、120時間パワーリザーブ。グレード23チタンケース(シースルーバック)、一体型ラバーストラップ(ダイビング用エクステンションラバー付き)、球面サファイアクリスタル風防、サファイアクリスタルベゼル(ブラックセラミックインレイ)。直径47mm、厚さ14.81mm。2023年ブティック先行発売予定

 

問い合わせ先:ブランパン ブティック銀座 TEL.03-6254-7233 https://www.blancpain.com/ja ※価格はすべて記事公開時点の税込価格です。

Text:山口祐也/Yuya Yamaguchi(WATCHNAVI)

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