個体ごとによって経年変化の状態が異なるヴィンテージ時計は、世界に二つとして同じモデルは存在しません。なかでも誕生年が自分と同じモデルであれば、特別感は倍増。今回は個性的なデザインが揃うR30世代のバースデー・ヴィンテージを紹介します。
機械式腕時計の淘汰により
ハズレのない良作が多数
1970年代はクオーツ式時計の台頭により、スイス時計ブランドの多くが淘汰されました。しかしその分、この時代に製造された機械式モデルは“手抜き”のない良作が多数存在します。ペラトン自動巻き機構の完成形Cal.8541Bを備えたIWCのヨットクラブなどはその最たる例といえるでしょう。一方で個性的なデザインが流行った時代でもあり、薄型時計やゴールドを使ったラグジュアリー系モデルが多く見受けられるのも特徴です。
実用機能と優美なデザインを
兼備した高級スポーツモデル
1976年製
IWC
ヨットクラブ
参考相場23万8000円
流麗な曲線を描くSSケースに、シンプルな三針デイトの意匠が気品あふれるスポーツウオッチ。高効率で巻き上げを行うペラトン機構を備えたCal.8541Bは、当時としては先進の日付早送り&ハック機構を備えています。
ケースからラグにかけて描く滑らかなラインは、1970年代に流行したデザイン。これが時計全体に優雅な雰囲気を与えています。
立体感にあふれるアプライド・インデックス。面と面とのエッジ感が際立つ高品質な作り込みは、細部までこだわるIWCならではといえます。
1978年製
ロレックス
オイスターデイト
参考相場22万8000円
現行ラインには存在しない手巻き式オイスターモデルの最終型。小振りな34㎜径ケースに、毎時1万8000振動の名機Cal.1210を搭載しています。シルバーからクリームに経年変化した文字盤がヴィンテージ感たっぷり。
1984年製
ロレックス
GMTマスターⅠ
参考相場79万8000円
同時に2か国の現在時刻を読み取れるGMTマスターⅠの第三世代。人気の高い赤×青の回転ベゼルは、経年変化による絶妙な退色具合に。早送り機構付きのCal.3135を搭載し、インデックスは後期型のフチあり仕様です。
1977年製
IWC
ホワイトローマンダイアル
参考相場17万8000円
シンプルな意匠を主流としていたIWCにおいて、ブラックローマ数字インデックスを採用した希少なドレスウオッチ。搭載するCal.854は、高効率でゼンマイを巻き上げるペラトン自動巻き機構を備えています。ケース径34㎜。
1982年製
チュードル
アドバイザー
参考相場21万8000円
内部機構に組み込んだスチール製ハンマーが振動して時を知らせてくれるアラームウオッチ。2時位置のリューズと赤針で設定した時刻になると、「ジジジ!」と無骨な金属音が豪快に鳴り響きます。ケース径39.5㎜。
本家ロレックスで存在しない
SSの〝青サブ〞
1984年製
チュードル
サブマリーナー
参考相場49万8000円
美しい海を想起させる爽やかなブルー文字盤&回転ベゼルで、高い人気を博すサブマリーナー。防水性に優れる頑強なオイスターケースに、安定した品質を誇るETA社製Cal.2824-2を搭載しています。ケース径39.5㎜。
70年代らしい
個性的なデザインが秀逸
1979年製
セイコー
5スポーツ
参考相場4万8000円
鮮やかなブルーチェッカーフラッグをあしらった両方向回転ベゼルとミニッツサークルが、抜群の存在感を主張するダイバーズウオッチ。高効率でゼンマイを巻き上げるマジックレバー機構を装備しており、リューズは4時位置にオフセットしています。
1980年代中期製造
チュチマ
ミリタリークロノグラフ
参考相場25万8000円
NATO軍が正式採用した屈強 なクロノグラフ。1980年代に は最先端であった24時間積算計を備えるレマニア社製 Cal.5100を搭載。東西ドイツ統一以前の個体のため、ケース裏には「TUTIMA W-GER MANY」の刻印を施してあります。
1970年代後半製造
ホイヤー
レガッタ
参考相場32万8000円
ブラックPVD加工のSSケースが精悍な雰囲気を漂わすレガッタモデル。2時位置のボタンで計時を開始すると、1分ごとに窓の色が1つ変化。青→オレンジ→黒と変わるため、ヨットレースに大切な15分を瞬時に確認できます。
R30世代の時計は現行品に通じる名作はもちろん、個性的なデザインのモデルがたくさんあります。モノによってはコンディションのよいモデルも多くありますので、ぜひアンティークショップに足を運んで、時計との出会いを楽しんでみてはいかがしょうか。
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