藍色に染まった日本とスイスの深い絆を証明する腕時計【ジラール・ペルゴ ロレアート 藍色 ジャパン リミテッド エディション】

<取材・撮影協力>
ジラール・ペルゴ(GIRARD-PERREGAUX)

創業1791年のジラール・ペルゴは、名だたるスイス時計界の中でも最古参のひとつに数えられる老舗。2世紀を超える自社一貫生産の歴史に育まれた超一流の手仕事は、世界の時計愛好家に高く評され、日本との深く長い縁でも知られている。日本とスイスの国交樹立160周年にあたる2024年、そのアニバーサリーモデルを製作する栄誉に値する名門ブランドでもある。アイコンモデルのロレアートに、日本をオマージュする藍色ダイアルを採用したジャパンリミテッドの魅力を、ヒストリカルに深掘りする。

日本とスイスの国交樹立160周年を祝う限定ロレアートの誕生ストーリー

日本とジラール・ペルゴの関係は、スイス時計ブランドの中で最も深く長い。というのも、公式的に日本へ持ち込まれた最初のスイス時計は、ジラール・ペルゴの時計だったからだ。その4年後、1864年に日本とスイスは修好通商条約を締結し、正式な国交が始まった。この160年に及ぶ特別な絆を讃えて、ジラール・ペルゴが作り上げた渾身の日本限定モデルが「ロレアート 藍色 ジャパン リミテッド エディション」である。3針モデルとクロノグラフのダイアルはいずれも、日本文化に敬意を表した“藍色”。ロレアートの洗練された意匠と、ジャンパンブルーと呼ばれる色彩が、美しい奇跡のようなタイムピースに結実した。


↑ジラール・ペルゴ「ロレアート 藍色 ジャパン リミテッド エディション」Ref.81010-11-3310-1GM 258万5000円


↑ジラール・ペルゴ「ロレアート クロノグラフ 藍色 ジャパン リミテッド エディション」Ref.81020-21-3311-1GM 280万5000円

 

幕末に“初上陸”。創業者一族フランソワ・ペルゴは日本の時計産業発展に寄与

ジラール・ペルゴの歴史は、時計職人ジャン=フランソワ・ボットがジュネーブに時計工房を設立した1791年に始まる。彼の精巧で優美な作品は、多くの名士の寵愛を受けた。一方、第二の創業者ともいえるコンスタン・ジラールは、まさしく天才的な時計師だった。1854年に結婚した妻のマリー・ペルゴの姓を合わせ、2年後にジラール・ペルゴの名が誕生した後、1889年のパリ万博でスリー・ゴールドブリッジ トゥールビヨンが金賞を受賞したことで、ジラール・ペルゴの名声は世界に轟く。彼らの没後1906年には、ジラール・ペルゴがボット社を買収。ふたりの偉大な創業者の情熱を携える名門マニュファクチュールとして、後世に受け継がれたのである。


↑ジラール・ペルゴの創始者のひとり、ジャン=フランソワ・ボット(1772年-1837年)。


↑社名は、コンスタン・ジラール(1825年-1903年/左)とマリー・ペルゴ(右)夫妻の名に由来。

 

そしてマリー・ペルゴの弟フランソワ・ペルゴが、日本の地を踏んだ最初のスイス人のひとりとして、12本のジラール・ペルゴ製懐中時計を携えて横浜に降り立ったのは1860年のこと。これが日本に正規輸入された初めてのスイス時計である。当時は幕末の混乱期で、黒船来航から7年しか経っていなかった。彼が言葉や文化の壁に直面したのはもちろん、そもそも独自の不定時法を用いていた日本では携帯する時計は時期尚早な工芸品だった。だが、1864年に日本とスイスの修好通商条約が調印され、1873年(明治6年)に1日24時間の定時法に改められると、ようやく彼のビジネスも軌道に乗っていく。


↑フランソワ・ペルゴ(1834年~1877年)と弟子の半蔵。

 

フランソワ・ペルゴが日本に持ち込んだジラール・ペルゴ製のレピン型(オープンフェイス)の懐中時計は、使い勝手の良いリューズ巻き機構や、ムーブメントが鑑賞できるシースルーバック、シンプルで視認性の高いダイアルデザインなど、当時の世界最高水準にあった。明治時代になって急速な産業発展と鉄道敷設が始まり、西洋式時計の需要が急拡大したのを機に、高品質なスイス時計は高い評価を受けて日本市場に普及していく。と同時に、日本の時計産業にとっても大きな刺激となったに違いない。以後、日本とスイスは互いにクラフツマンシップを尊重し合い、インスピレーションを与え合ってきた。そんな緊密な絆の礎は、まぎれもなくフランソワ・ペルゴの功績だ。1860年に来日して以来、一度もスイスに帰ることのなかった彼は、横浜の外国人墓地に埋葬され、いまでも命日には彼を偲ぶ人々が訪れている。


↑フランソワ・ペルゴが活躍した時代に、日本へと輸入された両面レピン型時計。「GIRARD-PERREGAUX La Chaux-de-Fonds」のサインが刻印されている。ジラール・ペルゴ・ミュージアム所蔵。

 

フランソワ・ペルゴも衝撃を受けただろう“藍=ジャパンブルー”に想いを寄せる

藍色は日本の伝統色のひとつで、植物から抽出される藍の色素を使用し、布や糸を染める技法だ。日本では16世紀に広まり、武士の鎧に用いられて“勝色”とされたこともある。木綿を藍染めすると抗菌性が得られることもあって江戸時代には庶民の間にも普及し、衣服や手ぬぐい、店先の暖簾などにも使用された。そんな日本人の暮らしの中に藍色があふれていることに驚き、“ジャパンブルー”と命名したのは、1874年に来日したイギリス人化学者ロバート・アトキンソン。同時期に横浜にいたフランソワ・ペルゴも、おそらく日本の色として強い印象を受けたことだろう。ジラール・ペルゴと日本の絆を象徴するカラーとして、これほどふさわしい色彩はほかにない。


↑真円の上に八角形ベゼルを合わせたアイコニックな形状に、グラン・フー エナメルによるジャパンブルーダイアルが好相性を見せる。

永遠の価値を持つ、色褪せないエナメルの光沢

「ロレアート 藍色 ジャパン リミテッド エディション」の3針モデルに強く心惹かれる第一の理由は、貴重なグラン・フー エナメルの藍色ダイアルにある。これは中心から放射状に広がるサンレイモチーフのギヨシェ装飾をシルバー製ダイアルに施したあと、半透明タイプのブルーとグリーンのエナメルで仕上げたものだ。ひび割れや気泡などに注意しながら、手作業で5~10回の焼却と冷却を重ねて美しい光沢と強い色調を得るのは、熟練のエナメル職人でも難しい。さらにポリッシュで磨き上げ、最後に針とデイト用の穴を開けるという難題に挑む。全てを完璧に仕上げたエナメルダイアルは光が戯れるように藍色に輝き、経年変化や色褪せもない、まさに永遠の美をまとうのだ。


↑シルバー製のダイアルプレートにギヨシェ装飾、その上にエナメル加工を施すと、サンレイモチーフが際立ってくる。ちなみに同じモチーフが、同社の「ラ・エスメラルダ “シークレット” エタニティ」のダイアルにも見られる。


↑エナメルとは、シリカ、ミニウム、カリ、ソーダの混合物を超高温でガラス化したもの。この混合物に金属酸化物を加えて着色し、粉末化したものを蒸留水と混ぜて小さな刷毛で塗り、何度も焼却する。とりわけグラン・フー エナメルは最高級品だ。


↑42mm径×10.68mm厚のスマートで洗練されたシルエット。サテン仕上げをベースに、ベゼルの側面やケースの稜線にポリッシュ仕上げを施すことで光を反射し、ごく自然な立体感が生まれる。


↑ケース一体型のH型ブレスレットは、鏡面に仕上げた中ゴマが上品な輝きを放つ。バックルはプッシュ式の両開き型で、閉じれば連結部にGPのロゴがすっきりと収まる。フィット感も良好で、優しく腕になじむ。


↑ジラール・ペルゴ「ロレアート 藍色 ジャパン リミテッド エディション」Ref.81010-11-3310-1GM 258万5000円

1975年に“ラグスポ”の先駆けとして誕生したアイコニックなデザインを受け継ぐ42mm径の3針モデルがベース。日本とスイスの国交樹立160周年を記念して、日本100本限定でリリース。日本文化をオマージュした藍色のグラン・フー エナメルダイアルは工芸的な価値が極めて高く、サファイアクリスタルバックからは信頼性の高い自社製キャリバーGP01800-1730の精緻な仕上げが鑑賞できる。

スペック:自動巻き(自社製Cal.GP01800-1730)、毎時2万8800振動、約54時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット、サファイアクリスタル風防(無反射加工)。直径42mm、厚さ10.68mm。100m防水。日本限定100本。

 


↑オリジナルの複雑な形状をグレード5チタンに置き換えて軽快な装着感を実現しつつ、ダイアルは伝統的なクル・ド・パリ装飾を華やかで濃い藍色に仕上げたクロノグラフ仕様。

グレード5チタンで得た、わずか106gのクロノグラフ

もうひとつのスペシャルピースである「ロレアート クロノグラフ 藍色 ジャパン リミテッド エディション」は、ロレアートコレクションに2024年に加わった軽量なチタン製クロノグラフがベース。純チタン90%にアルミやバナジウムなどを加えて硬度を上げ、加工しやすく合金化したグレード5チタンは、航空宇宙や医療分野などで使用されるほど硬質で、低アレルギー性や耐腐食性、低熱伝導性、耐摩耗性に優れ、しかもステンレススチールと見まがうほどに質感も高い。ダイアルはロレアートの伝統にならったクル・ド・パリ装飾が施され、鮮やかな藍色とインダイアルのブラックのコントラストがスタイリッシュだ。見た目の存在感とは対照的に軽快な装着感と繊細な仕上がりを、ぜひ店頭で体感していただきたい。


↑ロレアートのステンレススチールは最高グレードとされる904Lスチールだが、このグレート5チタンはその半分に近い軽さ! 中ゴマを鏡面とした一体型ブレスレットやバックルの仕上げも完璧。


↑時分針やインデックスには、3針モデルにはない強力な夜光を塗布。グリーンに光って暗所でも視認性をキープする。


↑ジラール・ペルゴ「ロレアート クロノグラフ 藍色 ジャパン リミテッド エディション」Ref.81020-21-3311-1GM 280万5000円

日本とスイスの国交樹立160周年記念モデルのスポーティ&エレガントなクロノグラフ仕様。軽量で耐久性に優れるグレード5チタンを外装に採用し、丁寧にポリッシュ&サテンを施した。42mmサイズに組み込まれているのは、419個もの部品で構成された自社製キャリバーGP03300-0141。3針モデルと同じ「Special Edition of pieces」の刻印がメタルバックに入る。

スペック:自動巻き(自社製Cal.GP03300-0141)、毎時2万8800振動、約46時間パワーリザーブ。グレード5チタンケース&ブレスレット、サファイアクリスタル風防(無反射加工)。直径42mm、厚さ12.01mm。100m防水。日本限定100本。

 

日本の藍染めは、布や糸を何度も染めては空気にさらす工程を繰り返して、色の濃淡を調整する。ジラール・ペルゴから日本のファンだけの特別な贈り物「ロレアート 藍色 ジャパン リミテッド エディション」「ロレアート クロノグラフ 藍色 ジャパン リミテッド エディション」も、藍色の濃淡やギヨシェの違い、素材による色味の差など、それぞれの色彩を楽しんでいただきたい。どちらの藍色も、日本文化の美しさと深みを表現したものであり、時計職人たちの情熱と技術の結晶であることに違いはない。

藍染めが時を経てより深く美しく染まるかのように、ジラール・ペルゴと日本の絆がより深化し、160年後に結実したのがこの希少なジャパンリミテッドである。その完成度を見れば、幕末のフランソワ・ペルゴも、きっと大満足してくれるはずだ。

 

問い合わせ先:ソーウインド ジャパン TEL.03-5211-1791

公式サイト https://www.girard-perregaux.com/jp_jp/

ジラール・ペルゴ正規取り扱い店 https://www.girard-perregaux.com/jp_jp/retailers

※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。

Text/大野高広 Photo/新垣隆太(CASK) Styling/仲唐英俊(TABLEROCK)

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