1960年に発表された世界初の電子式音叉時計「アキュトロン」が現代のテクノロジーで蘇る【ブローバ】

1875年にアメリカ・ニューヨークで創業した時計ブランド【ブローバ(BULOVA)】がニューモデルを発表した。1960年代の電子式音叉時計「アキュトロン」を現代の技術で蘇らせた「チューニングフォーク スペースビュー314」の3型をリリース。価格は99万円~。

アメリカ大統領も愛した「アキュトロン」が蘇る

 

1960年、”Accuracy(正確性)”と”Electron(電子)”を起源とする世界初の電子式音叉時計「アキュトロン」がブローバによって誕生した。金属音叉と電子制御の融合によって高精度を実現するこの画期的なモデルは、時計史における最も重要な革新のひとつとして瞬く間に評価を確立。“スペースビュー”と名付けられた前衛的でアバンギャルドなスタイルも特徴となり、基板を守る鮮烈なグリーンのコーティングと、エネルギー源であるチューニングフォークのコイルが放つコッパー(銅)の輝きを剥き出しにするフルスケルトンダイアルは圧倒的な存在感を放った。多くの時計愛好家を魅了するだけに留まらず、音叉時計の持つ絶対的な信頼性はアメリカ政府の公的な承認も得ており、リンドン・ジョンソン大統領が各国要人への公式ギフトとして「アキュトロン」を選んだエピソードは、同モデルを語る上で欠かせないものとなっている。さらに、NASAのアポロ計画において計時装置として採用された輝かしい実績は、「アキュトロン」の技術的優位性を雄弁に物語るものだ。

10年の時間をかけて新ムーブメントを開発

 

今回、ブランドの技術陣は、一度は歴史の中に埋もれた音叉機構の価値を改めて見出し、「チューニングフォーク スペースビュー 314」として現代に蘇らせた。10年にも及ぶ研究期間をかけて、新型の音叉式ムーブメントを開発し、360Hzの#Fのブーンというハム音と、流れるようなスイープ運針の秒針というオリジナルモデルの核となっていた要素を完全に再現。現代の先端技術を惜しみなく注ぎ込んでおり、その代表例がインデックス車といえよう。連続的なスイープ運針を司る中枢部品、すなわち音叉の振動を動力へと変換するこのパーツにはLIGA工法という微細構造物形成技術を応用。わずか3.6mmという極小サイズに400歯という驚異的な精密さを実現している。さらに特筆すべきは、オリジナルでは分解なしには見ることのできなかったインデックス車をあえてダイアル側に配置した点だ。これにより、約1.1秒で1周する高速歯車の躍動を、オーナーは間近で視覚的に享受することが可能となった。時計の精度も、オリジナルモデルに敬意を表し、月差±1分という驚異的な数値を達成している。

デザイン面では、グリーンのプレート、12時位置のコイル、外周のミニッツマーカーといった往年のディテールを忠実に踏襲。オリジナルモデルではリューズが裏ブタに設けられる仕様であったが、本機では現代的な操作性を考慮し、ケースの4時位置に設置している。また、内部の先進的なムーブメントを存分に鑑賞してほしいという開発陣の強い想いから、オリジナルモデルと異なり、裏ブタはスケルトン仕様が採用された。さらに「チューニングフォーク スペースビュー 314」は、ケース素材として世界最高水準の耐食性を誇る904Lステンレススチールと、軽量で強靭なグレード5チタンの2種類を展開。904Lステンレススチール仕様にはブラックとブラウンの牛革ストラップが、グレード5チタン仕様にはブラックの牛革ストラップが用意される。

この「チューニングフォーク スペースビュー 314」の復活は、初代「アキュトロン」を生み出した革新的な精神への賛辞であり、精密時計の未来に向けたブローバの一歩ともいえる。ブローバがこれから切り開く新たな展開に、大いに注目していきたい。

ブローバ「チューニングフォーク スペースビュー314」 Ref.26A211 99万円/音叉式。ステンレススチールケース(シースルーバック)、牛革ストラップ。直径39mm、厚さ13.4mm。3気圧防水。2026年1月発売予定

ブローバ「チューニングフォーク スペースビュー314」 Ref.26A212 99万円/音叉式。ステンレススチールケース(シースルーバック)、牛革ストラップ。直径39mm、厚さ13.4mm。3気圧防水。2026年1月発売予定

ブローバ「チューニングフォーク スペースビュー314」 Ref.26A213 102万3000円/音叉式。チタンケース(シースルーバック)、牛革ストラップ。直径39mm、厚さ13.2mm。3気圧防水。2026年1月発売予定

 

問い合わせ先:ブローバ相談室 TEL.0570-03-1390 https://bulova.jp/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。

Text/三宅裕丈

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