時計を購入する際、デザインや価格を重視して選ぶ方は多いことでしょう。
ですが、各モデル毎に実用性が異なる「ムーブメント」(※)の種類や仕組みについてはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。
「ムーブメント」は大きく分けて手巻き式、自動巻き式、クオーツ式、電波時計式クオーツの4種類。
手巻き式は構造がシンプルで薄型&軽量な利点がある反面、小マメにゼンマイを巻き上げる必要があり、やや利便性に劣るデメリットが。
自動巻き式は腕に着けていればゼンマイを巻き上げてくれるため利便性に長けていますが、部品が嵩むぶん大型で重くなることも。
クオーツ式や電波時計は超高精度なうえ、電池駆動で簡便性に優れますが、機械式のような緻密さや味わいという点ではやや劣ります。
今回は、そんな4種類のムーブメントについて、時計の中身や特長はどう異なっているのか、構造図や原理図を用いて徹底解説します!
※ムーブメント:腕時計の針を動かす動力部分のこと。
<手巻き式>
精度の高さよりも、ブランドの歴史や伝統を重視する・薄型時計が好きなあなたにオススメ!
手巻き式とは、その名の通り手でリューズを回すことでゼンマイを巻き上げる方式のことを指します。
まずリューズを回すと軸(巻き真)が回転。
同時に軸奥に設置されたキチ車が丸穴車を回し、その回転力が角穴車へ。
角穴車が回ることで香箱真が巻かれ、その下の香箱に収納されたゼンマイを巻き上げるようになっています。
利便性の面では自動巻きに劣りますが、そのぶん時計を薄く、軽量にできるメリットがあります。
<自動巻き式>
便利に機械式を使いたい、時計の厚さは問わないあなたにオススメ!
ローターと呼ばれる半円形の部品が腕の動きによって回転し、その回転力を利用して自動でゼンマイを巻き上げる方式のことを指します。
ローターの回転は下部のローターカナから、第1&第2切り替え車、一番&二番巻き上げ車へと順に伝わり、二番巻き上げ車下部に設置された角穴キチ車がそれと噛み合う構造の角穴車を回転。
角穴車が回転することで、香箱内のゼンマイが巻き上げられる構造になっています。
<クオーツ式>
リーズナブルで精度の高い時計を求めているあなたにオススメ!
ゼンマイの代わりに電池とステップモーターを動力源に、テンプやアンクルなど調整・脱進機構の替わりに水晶振動子とIC回路を採用した方式のムーブメントのことを指します。
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水晶に電圧をかけた際に生じる規則的な一定振動数(毎秒3万2768振動)をIC回路が正確に感知&カウント。
1秒分に達したところで信号を送り、ステップモーターが(アナログ式の場合)輪列機構の歯車を1秒分動かし、針を1秒ずつ進めていく構造になっています。
機械式時計に比べ、調速の基準となる数値が1秒間に5~10振動から3万2768振動へと飛躍的にアップしているので、その精度も驚くほど飛躍的に向上しているのが大きな特徴です。
機械式時計は平均して1日に数秒~十数秒程度の誤差があるのに対し、クオーツの場合は1か月の誤差(月差)でも±20秒前後が標準値となっています(※超高精度な年差クオーツの場合は、年差十秒程度)。
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1969年12月25日に発売開始された、世界初のクオーツウオッチ。ちなみに発売当初の価格は45万円と、当時の貨幣価値で国産セダン車に匹敵する超高額モデルでした。
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GS(グランドセイコー)など特別なモデルにのみ搭載される、現行クオーツムーブのハイエンド機。大きな針を無理なく動かすための「ツ
インパルス制御モーター」、潤滑油の劣化や埃の侵入を防ぐ「スーパーシールドキャビン構造」などを採用。
機能性や実用性だけでなく、地板には放射状の筋紋様を施すなど、審美性にも徹底した「こだわり感」が満載。
ムーブ径27㎜×厚み2.2㎜。年差±10秒(年差クオーツ)
<電波時計式クオーツ>
“時刻の正確さ”を重視するあなたにオススメ!
10万年に1秒しか誤差の生じない「セシウム原子時計」で作られる標準時刻を基に、独立行政法人「情報通信研究機構」の日本標準時プロジェクトが管理&運営、送信所から発信される標準電波(タイムコード)を内蔵アンテナで毎日自動受信します。
受信したコードを時計内で解析して、時刻データに変換。時刻やカレンダーに誤差があれば自動的に修正する機能を搭載するのが電波時計式クオーツです。
・電波受信の仕組み
・アンテナ
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・自動受信
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・データ解析
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・自動修正
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