ドイツを拠点にしながらスイスの最高峰ブランドと肩を並べる唯一無二の存在。それが1845年に創業した「A.ランゲ&ゾーネ」だ。
今回は、A.ランゲ&ゾーネ愛好家の間でも人気の高いブラックダイアルのコレクションを取り上げながら、繊細な高級機械式腕時計を作り出す職人の手仕事の過程に密着。同ブランドの魅力を余すことなく紹介していく。
いま注目のスタイル 洗練を極めたブラック・ランゲ
知的でモダンな雰囲気を作り出す“ブラックダイアル“は、A.ランゲ&ゾーネ愛好家の間でも人気の高い仕様。
それは、そのデザイン性と共に希少であることも理由のひとつだ。いまでこそ、いくつかのコレクションで用いられているがそれでも希少性は高く、一目置かれる存在であることは変わらない。“ブラック・ランゲ”には格上のオーラが宿っているのである。
・ツァイトヴェルク(左)
デジタル表示の機械式時計は数あれど、大きくて重たい表示ディスクを“瞬間的に回転させる機構”は世界初。
適切なエネルギーマネージメントを行うことで、寸分の誤差もなく時を刻んでいく。
左右に時刻表示を収め、上下にパワーリザーブ表示とスモールセコンドを配置するという大胆なデザインでも高く評価される。搭載ムーブメントはCal.L043.1。ケース径41.9㎜、手巻き、18KWGケース
・ダトグラフ・アップ/ダウン(中央)
歴史的名機と称される手巻き式クロノグラフ。ダイアルをブラック×シルバーで色分けすることで計器としての存在感を高めつつ、6時位置にはパワーリザーブ表示もセット。
シンメトリーで端正なバランスに仕上げる。搭載ムーブメントはCal.L951.6。
丁寧な手作業で仕上げた451個のパーツで構成されており、その姿を見ているだけでも、十分に楽しめる。
ケース径41㎜、手巻き、18KPGケース
・ランゲ1・ムーンフェイズ(右)
ランゲ1のデザインはそのまま維持しながら、スモールセコンドの下にムーンフェイズを組み込んだ。
さらに夜空の下で使うことを意識し、針やインデックスには夜光塗料を塗布している。アイコニックなデザインにロマンティックな魅力を加えており、時計の価値をさらに高めている。
搭載ムーブメントはCal.L121.3。ケース径38.5㎜、手巻き、18KWGケース
完璧を追求する4つの手仕事
精密なパーツの集合体である高級機械式時計は、多くの工程を職人の手仕事に依存する。
なかでもA.ランゲ&ゾーネは、創業者F.A.ランゲの時計作りの伝統を守り、徹底的に美しさと品質を高めるために手仕事の割合がとても大きい。
目にも見えない傷を取り、指先の感覚で面を磨き上げることで、理想的な品質を追求するのだ。
A.ランゲ&ゾーネのすべてのモデルに共通するのが、テンプ受けのエングレービング。
これは初代ランゲの時代からの伝統で、グラスヒュッテ近郊の伝統工芸を取り入れたものだという。全モデルを数名の熟練エングレーバーが手掛けているのだが、職人によって微妙にスタイルが異なるというのも特徴であり、工芸品的な魅力も楽しめる。
ちなみに事前に相談が必要だが、オーダーをすれば、追加料金を払ってテンプ受けにイニシャルを彫り込んでもらうことだって可能。なんとも贅沢な楽しみ方である。
時計のパーツはとても細かくて繊細だが、その面に45°斜面をつけて磨くのが「面取り」という手法。
何らかの機能があるわけではないが、ムーブメントを鑑賞している際に光を受けてキラッと輝くその美しさだけでも十分に価値がある。
パーツを磨く道具は、電動器具や小さなやすり、さらには自然木を加工した棒などを駆使して丁寧に磨いていく。
磨き幅を均等に揃えるにはかなりの経験が必要であり、一つのパーツを磨き上げるのに数時間を要する。この手仕事は是非ともルーペで鑑賞したい。
高性能な工作機械を使って作られたパーツは、見た目には十分に美しいのだが、A.ランゲ&ゾーネではここからさらに丁寧に仕上げていく。
表面仕上げは針やレバーなどの小さなパーツだけでなく、大きな地板やブリッジにも施されるのだが、その大半は目に見えない部分のパーツである。
なぜここまで綺麗に表面を仕上げるのかというと、表面を磨き上げることでサビの原因となる小さな傷が消え、さらに潤滑油が流れ出さないようにしているのだ。つまり美しいムーブメントは例外なく高性能なのである。
繊細なパーツを扱う時計の組み立て工程は、とても困難な仕事であるが、A.ランゲ&ゾーネではその工程を2回行う。
まずはすべてパーツが寸分の誤差もなく仕上がっているかを調べるために、時計を組み立てて動作テストを行い、必要であればパーツを交換。
その後、一度ばらしてプレートなどに最終仕上げを施してから、再び組み立てるのだ。
この「二度組み」という工程は、超ハイエンドウオッチではよくある手法だが、ランゲでは全モデルに適用する。それは極めて異例なことだ。
名古屋・大阪・広島・福岡の正規ディーラーPick Up
A.ランゲ&ゾーネはその限定的な生産本数により、日本での取り扱い店数はわずか20店以下だ。その希少な正規ディーラーから厳選のショップをお伝えする。
TANAKA WATCH GALLERY久屋大通店
商品在庫と知識量で愛好家をもてなす
A.ランゲ&ゾーネの時計たちは、熟練職人たちの手作業によって生まれてくる。驚くほど丁寧に時間をかけて作っているため、いくら人気が高まったとしても生産本数を増やすことは不可能だ。そのためA.ランゲ&ゾーネの入荷本数はかなりシビアであり、モデルによっては何か月も待たされることも少なくない。
そんな状況下にあっても可能な限り在庫を確保し、実際の時計を見て、そして触れてもらいたいと考えているのが「TANAKA WATCH GALLERY 久屋大通店」である。ゆっくりくつろぎながら時計を鑑賞できるように、A.ランゲ&ゾーネのコーナーは店内の一番奥に。さらにドイツ本社で研修を受け、最新の専門知識を備えたスタッフが対応してくれるのも心強い。
おススメのモデルは品質・芸術性・伝統性を感じることができる「ランゲ1・タイムゾーン」。時差調整機能が付いた、国際化時代に対応する高機能時計である。
松坂屋名古屋店
見比べて選ぶことで愛情はさらに深まる
北館の5階フロアの大部分を占める「松坂屋名古屋店」の時計と宝飾のサロンは、国内最大級の規模を誇る。スイスや日本の最高峰ブランドが揃う中、ドイツの最高峰であるA.ランゲ&ゾーネもそこに名を連ねている。綺羅星のごとき人気ブランドたちを、あらゆる目線から選び、同時に試着しながら自分に合った時計を探すことができるのが魅力だが、A.ランゲ&ゾーネは商品知識豊富なスタッフが揃っており、時計の魅力を伝えてくれるのも強みだ。
お客様には目の肥えた時計愛好家も多いが、A.ランゲ&ゾーネならではのダイヤルやケースの美しさ、あるいは二度組みに代表されるムーブメントの品質などを丁寧に説明してもらえるため、購入後の安心感も高まる。
注目モデルは、今年の新作である「サクソニア・アウトサイズデイト」。シンプルなデザインだがA.ランゲ&ゾーネの歴史と伝統を表すアウトサイズデイトを堪能できる良作である。
oomiya 大阪心斎橋店
ランゲの素晴らしさを伝えたいという熱がある
和歌山の人気時計店として有名だった「oomiya」が、大阪に初出店したのが2010年のこと。そして2016年の12月に現在の場所へと移転した。多くのセレクトショップや人気カフェが集まる南船場ということもあって、ファサードは入りやすいデザインになっており、若者人気の高いブランドも扱っている。さらにはお客様目線になったアットホームな接客を心掛けているそう。
そのなかでA.ランゲ&ゾーネは別格の存在であり、一番奥にコーナーを構えている。豊富な商品知識を持つスタッフたちは、ランゲのこだわり抜かれた品質に惚れ込んでおり、特にエングレービングをランゲの最大の特徴だと考えているそう。一つひとつ手作業にて彫られたエングレービングは唯一無二の存在であり、お客様にはその価値を知ってもらいたいという。
そのためランゲの原点でありアイコンである「ランゲ1」をお勧めしたいとのこと。「oomiya大阪心斎橋店」は、時計愛に満ち溢れているのだ。
大丸 心斎橋店
足を運びたくなる接客を心掛ける
多くの買い物客が行き交う心斎橋筋に位置する「大丸 心斎橋店」。数々の名門ブランドを取り揃えた時計フロアは、同階にはジュエリーや和装の売り場もあるために、カップルや夫婦連れで立ち寄られるお客様も多いそう。
伝統を継続しながら、新しい技術や表現にも挑戦しているA.ランゲ&ゾーネは、特別コーナーを設けており落ち着いた雰囲気で時計を鑑賞することができる。なかでも注目なのは「1815アニュアルカレンダー」。月の大小を把握して動くアニュアルカレンダーはとても便利な機能だが、左右対称に表示をレイアウトして視認性を高め、万が一時計が止まってしまった場合も、2時位置プッシュボタンを押せば全ての表示が一日ずつ前進するので調整は容易だ。
こういったランゲならではの使い勝手の良さや利便性を語ることで、本当の価値を伝えることに力を注いでいる。それが大丸心斎橋店の強みであり、多くの愛好家が足を運ぶ理由になっている。
タカシマヤ ウオッチメゾン 大阪
ランゲの物語を丁寧に伝える
日本屈指の繁華街である大阪ミナミの中心部に位置する時計の名店「タカシマヤウオッチメゾン 大阪」。スイスホテル内という広々とした立地を生かし、ブランドごとのショップ・イン・ショップを作ることで世界観を表現している。
A.ランゲ&ゾーネもそのひとつ。技術面でも世界のトップクラスの実力を持つが、それ以上に独自の価値観を大切にしているので、商品やブランドに対して深い知識を持った専任スタッフが接客することで、ブランドの物語をしっかり伝えることを意識している。
おススメしたいコレクションは「ダトグラフ」で、なかでもプラチナケースのフライバッククロノグラフに注目しているとのこと。ムーブメントを見るだけで、手仕事の素晴らしさを目の当たりにできる傑作は、ランゲの歴史や伝統を聞きながら鑑賞することで、より深くその魅力を理解できるだろう。こういったユーザー目線の接客や時計のセレクトも同店の特徴。お客様満足度が高いのは当然だ。
カミネ 旧居留地店
ヨーロッパの時計文化を日本で発信し続ける
1906年に創業した「カミネ」は、日本を代表するトップリテーラーであると同時に、ヨーロッパの時計文化を日本で発信し続けた名店でもある。時計メーカーからの信頼も厚く、来日した本社CEOが視察に訪れ、時計に対する意見を求めることも多いそう。
現在、カミネは神戸で5店舗展開しているが、A.ランゲ&ゾーネを取り扱うのは〝メゾン・ド・カミネ〞の異名を持つ「カミネ 旧居留地店」。店内に広々としたメインコーナーを構え、品揃えも豊富。さらにドイツ本国で研修過程を修了したエキスパートが3名も在籍しており、あらゆる疑問にも答えてくれるというのが心強い。もちろん長い時間をかけて培ってきた
アフターサービスも万全である。
お客様には高級時計を知り尽くした愛好家も多いが、だからこそ『最高の完成度と工芸品を目指す別格のブランド』であることを伝えるという。こういった特別な時計を手にするのは、カミネこそが最もふさわしいのである。
※10月13日~21日の期間にて、A.ランゲ&ゾーネフェアを開催
下村時計店 金座街店
積み重ねてきた歴史が安心と納得を作り出す
明治6年の創業以来、いつの時代も世界中から高品質な時計を選び抜き、〝本物の価値〞を届けてきた「下村時計店」。A.ランゲ&ゾーネを取り扱うのは、広島を代表するショッピングエリアに位置する「下村時計店 金座街店」。
二階フロアをA.ランゲ&ゾーネ専用のサロンにしているが、これは時計作りの精神と哲学に惚れ込み、ドイツ本社と協議を重ねて作り上げたという特別な空間。常時20本近くの時計を揃えており、フロア全体でドレスデンの宮廷文化が息づく美しい時計を堪能できる。
A.ランゲ&ゾーネの魅力は、ドレスデンやグラスヒュッテという街から生まれてきたという歴史や精緻なる時計の作り込みにあると考える下村時計店が、注目しているのは、端正なバーインデックスを使った「サクソニア」。シンプルさのなかに〝本物の価値〞を感じることができる傑作だ。特別に作られたサロン空間で特別な時計を愛でる。これほど贅沢な楽しみ方はないだろう。
福岡三越 6階 時計サロン
九州エリアで唯一のA.ランゲ&ゾーネ取扱店
丁寧な手作業から生まれるA.ランゲ&ゾーネの時計は、生産本数が限られている上に、欲しいと熱望する愛好家も多いため、常に品薄状態である。取扱店舗も限定されており、長い歴史を持ち、優れたスタッフが在籍している正規時計販売店だけが、A.ランゲ&ゾーネを取り扱うことを許される。
「福岡三越」は九州で唯一、A.ランゲ&ゾーネを取り扱っている。しかも時計フロアではスイスを代表する老舗ブランドの時計も扱っているため、競合ブランドと見比べながら時計を選ぶことができるというのも魅力となっている。
九州各地から時計愛好家が集まるが、ムーブメント細部への磨きや仕上げ、あるいはブランドヒストリーに惚れ込む人が多いということもあって、いま注目しているのはクロノグラフモデル。特に今年は「トリプルスプリット」が誕生したこともあって、お客さまからの反応も大きいとのこと。至高の時計を手に入れるためには、ここに足を運ぶしかない。
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