ひと昔前、50万円以下の腕時計は社会人になって初めて購入する“一生モノ”の定番でした。それが、ここ数年のうちに人気モデルの価格が軒並み上昇。なかなか以前のようにたくさんの選択肢から本格ウオッチを購入することが難しくなっていました。ただ、そうした業界の流れに乗らずに価格を維持するブランドもありますし、最近では戦略的に50万円以内に価格を抑えたモデルも増えてきています。そして極めつけが、2018年秋からのチューダーの日本正式上陸。再び注目が集まる50万円以下の本格ウオッチを手がけるブランドのなかから、今回はオリスを取り上げます。
パイロットウオッチ製造の歴史を体現するアイコン
ビッグクラウン ポインターデイト
1938年に開発された日付表示の専用針を持つパイロットウオッチ。グローブ着用時でも操作しやすいよう大型に設計されたリューズ(=クラウン)や、コインエッジ装飾が施されたベゼルなど、往時の意匠は現代まで受け継がれるアイコンデザインとなっています。最新バージョンでは、絶妙な色合いのブラックダイアルを採用。持続可能な供給と生産が行えるブラックレザーストラップを使っている点にも、こだわりを感じます。
30気圧防水性能を誇る王道ダイバーズウオッチ
アクイス デイト
広範囲に及ぶ研究やダイバーの意見を取り入れて完成したダイバーズウオッチは、深海環境からタウンユースまで幅広く活用できる一本。視認性に優れた大型の夜光針&インデックスにダイビングスケール付きの逆回転防止ベゼルを備えた本格仕様でありながら、ポリッシュ仕上げのベゼルのセラミック部と文字盤で上質な光沢を放ちます。定番のブラックのほか、グリーンとブラウンがラインナップしている点も特徴といえるでしょう。
現代技術を取り入れて甦った1960年代の名作ダイバーズ
ダイバーズ 65
1965年にオリスが発表したダイバーズウオッチを、シリーズとして現代に復刻。風防は、当時と同じドーム型の形状を高硬度のサファイアクリスタルで実現しています。その内側には無反射コーティングを施し、高い視認性を確保。上記写真のモデルはコインエッジベゼル部分に、使うほど味が出るブロンズを使用。ルックスこそレトロですが、高級時計に相応しい仕様を揃えた一本となっています。
オリスは本格的なスイスの高級時計を極めて良心的な価格で展開しており、50万円の予算があれば多くの選択肢が候補になってきます。このブランドが面白いのは、近年になって50万円オーバーのハイエンドシリーズとして、自社製ムーブメント搭載モデルにも注力していること。由緒正しき1世紀以上の歴史に加え、確かな技術力を改めてアピールしたことで、多くのモデルで魅力的な価格を維持しながらブランドの信頼性をワンランクアップさせたのです。