傑作「スピードマスター」にも搭載されたオメガ伝説の名ムーブメント「キャリバー321」が2019年に堂々復活!

腕時計が実用品として世に広く使われるようになって約100年。この長い歴史の中で生まれた名作は数あれど、いまも多くの人の記憶に残る機械式ムーブメントというのはそう多くはありません。そんなわずかな傑作ムーブメントのひとつに挙げられるオメガ キャリバー321(以下Cal.321)が、2019年に復活するそうです。このCal.321がどのようなムーブメントなのか、新作発表の前に予習しておきましょう。

 

NASAも認めた正確性と堅牢性を誇る名機

いまも時計コレクターから愛され続けるオリジナルのCal.321

オメガがCal.321を使い始めたのは、1940年代にまで遡ります。シーマスター コレクションのクロノグラフにも搭載されていたそれは、一体成型のコラムホイールをはじめとする高難度の設計にあえて挑むことで、優れた堅牢性と正確性を確保したのです。

そうした設計の優秀性に加え、1957年に誕生したスピードマスターにも搭載されたことで、このムーブメントは大きな転機を迎えます。

初めてNASAの認定資格を受け、アメリカ初の宇宙遊泳の際に宇宙飛行士 エドワード・ホワイトが着用していたスピードマスター ST 105.003や、人類初の月面着陸の際に着けられていたスピードマスター ST 105.012にも搭載されたCal.321は、伝説的な手巻きクロノグラフの名とともに宇宙空間でもその優秀性を証明。こうした類まれなるエピソードが人気に拍車をかけ、Cal.321はいまなお世界中の時計愛好家に愛され続ける名ムーブメントとなっていったのです。

Cal.321は1968年に製造が終了していますが、そこから50年の時を経てオメガが完璧に復活させた、というのですから時計好きにとってはビッグニュースといえるでしょう。

徹底的に忠実な構造を持つ新生Cal.321の完成に向けて

2019年に披露される新生Cal.321

Cal.321の復活プロジェクトに際し、オメガは専属チームを結成。研究者、開発者、歴史家、職人、ウオッチメーカーなどの少数精鋭からなるチームは、1960年代と70年代にNASAのために極秘で行なわれたスピードマスターの開発に用いられたコードネームと同じ“アラスカ11”というプロジェクト名で、2年以上の歳月をかけて極秘に作業を進めてきたとのこと。

その作業内容も徹底されており、第2世代のCal.321を参考にして広範囲に及ぶ歴史的調査と当時の計画の情報を収集。月面歩行をした最後の人ユージン・“ジーン”・サーナンが着用していた実物のスピードマスターST 105.003にデジタルスキャンテクノロジーを用いて内部解析を行うなど、多角的なアプローチが試みられたそうです。

スイス時計界の巨星オメガを持ってしても一筋縄ではいかなかったCal.321の完全再現。このトピックスは、コレクターにとって歓迎すべきことであると同時に、私たちに失われた技術を取り戻すのがいかに大変なものかを教えてくれます。

完璧に当時のデザインに忠実な構造を持った新生Cal.321は、特別なワークショップにてすべての製造工程が行なわれるとのこと。果たしてどのような腕時計に搭載されて披露されるのか、続報に期待しましょう!

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