いよいよ明日5月1日から新元号「令和(れいわ)」がスタートします。平成最後の日に、バブルの崩壊、2度の大震災とオウム事件、インターネットやスマホの普及など、激動の「平成」を名機とともに振り返りましょう!
平成時計の覚書「平成元年〜10年」編――G-SHOCK、A.ランゲ&ゾーネ
わずか7日で終わった昭和64年に替わり、「平成」が始まりました。 時計界では1969年日本発の凄まじい"クオーツショック" から、スイス時計界が立ち直りかけた時期にあたります。機械式時計は"時間を知る"という実用性だけではない、工芸的な価値を獲得することで、クオーツ危機は乗り越えられると考え、休眠状態にあった老舗ブランドも息を吹き返しました。
また、東西に分裂していたドイツが統合したことで古豪「A.ランゲ&ゾーネ」が 復活し、フランク・ミュラーの天才ぶりに世界の機械式時計ファンが舌を巻きました。
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平成を駆け抜けたG-SHOCKは生誕35周年を記念して名機を復刻。G-SHOCKをファッションとして最初に認めた米国西海岸スケーターたちの影響を受け、1990年代に日本で人気を博すきっかけとなった、通称“3つ目”。本機は新たにELバックライトで実用性を高めている
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各表示をオフセンターに配して 視認性を追求したダイアルはそのまま、2015年、高精度を長期的に継続する偏心錘付きテンプの新キャリバーに改めた現行モデル。特許取得のアウトサイズデイトは瞬時に切り替わる仕様に
平成時計の覚書「平成11年〜20年」編――ウブロ、パネライ
2002年、スウォッチグループ以外へのエボーシュ(ムーブメントの半完成品)の供給をストップするとETA社が発表。世界の時計ブランドが慌てました。2000年以降、自社製ムーブメントが増えた理由のひとつが、この「ETA問題」にあります。
ロレックスが初めて自社開発したクロノグラフ・ムーブメントをはじめ、パネライ、モーリス・ラクロア、モンブラン、さらには2009年以降のブライトリング、タグ・ホイヤー、ウブロ、カルティエ、ブルガリもそこに参戦。 自社ムーブメントは、ブランドのオリジナリティをアピールする強力な武器になりました。
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クロノグラフ機構をスケルトン文字盤側に配し、装着したままメカニズムが楽しめる自社キャリバーUNICO搭載モデルを2013年に発表。2018年の新色マットブルーはチタンの色味とも相性が良く、ラバーストラップを合わせたクールな仕上がりが評判
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1998年にデビューした中2針+スモールセコンド仕様の大定番。文字盤にOPロゴを配した人気ラインが、2018年初出の自社製Cal.P.6000を搭載して新世代に移行した。エッジの立ったルミノールらしいケース形状と白文字盤が腕元を格上げする
平成時計の覚書「平成21年〜31年(2009年〜2019年)」編――ブライトリング、タグ・ホイヤー
ラグジュアリー化を推し進めた時計界でしたが、リーマン・ショックを機に方向転換。歴史あるブランドは自社アーカイブを掘り起こし、自社の歴史を新規ユーザーにアピールできる"復刻"に各社が注力しました。
パネライから始まった"デカ厚"トレンドは、2010年代には落ち着き、基本サイズは40㎜~44㎜径に。日本では38 ㎜径前後がパートナーと共用できる シェアウオッチとして注目を集めました。
また、2012年にセイコーが発売した世界初のGPSソーラーに、シチズン、カシオも追随し、日の丸ブランドが このジャンルを牽引しました。そして平成最後の10年の間には、ブランド格差も広がりました。中価格帯が苦戦する一方で、パテック フィリップ やオーデマ ピゲの人気モデルやロレックスのスポーツモデルは、高価格帯にもかかわらず正規店で慢性的な在庫不足が続くほどの人気を獲得しています。
明日から始まる令和では、どんな驚きや感動が私たちを待っているのでしょうか。その期待感を胸に、ぜひ新時代の豊かな時間を、お気に入りの腕時計とともに刻みましょう!
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1984年の初代クロノマット開発時に考案されたライダータブ付きのサテン仕上げベゼルを採用。バーインデックスは両側に夜光を配した独自仕様で、自社製キャリバー01を搭載。フラッグシップのルーツを継ぐ日本向け特別エディション
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約80時間パワーリザーブを誇る自社キャリバーO2を搭載した限定モデル。ラッカー仕上げのサブダイアル&クロノグラフの秒針、インデックス、6時のスモールセコンド目盛りにブルーを配した。ベゼルとラグはカーボン製。世界限定750本