腕時計の選び方では、デザインやブランドだけでなく、時刻表示以外にどんな機能を備えているかも重要な判断軸になる。自分のライフスタイルに合った機能を選べば、腕時計は日常をより快適に演出する道具になるのだ。
ビジネスで役立つカレンダー、スポーツで活躍する計測機能、マリンレジャーに適した防水性能、海外とのやり取りに便利な多国時刻表示機能、そして機械式時計の醍醐味を体現するハイコンプリケーションまで、それぞれの個性を捉えることが必要となる。
時計シーンを豊かにする付加機能は、用途で選ぶのが基本
腕時計の機能は、単に多ければよいわけではない。用途に対して実用性があるか、視認性を損なわないか、サイズや厚みに無理がないかまで含めて選ぶのが失敗しないコツだろう。
- ビジネス中心ならカレンダー機能
- レースや計測用途ならクロノグラフ
- 水辺やアウトドアなら潜水機能付きモデル
- 海外出張や旅行が多いならGMTやワールドタイム
- 機構美や希少性を重視するなら複雑機構
1. カレンダー機能|実用性とクラシカルな魅力を兼ね備える定番
カレンダー機能は、腕元をひと目見るだけで日付などの暦情報を確認できる定番機能だ。ダイアル構成が比較的整いやすく、ビジネスシーンとの相性もよい。
種類としては、日付を示すデイト、曜日も表示するデイデイト、複数の暦情報を示すタイプなどがある。なかでも月齢を表示するムーンフェイズは、実用性に加えて機械式時計ならではの情緒と機構美を楽しめる。天体観測やマリンスポーツに関心がある人にも魅力的な機能だ。
【フルカレンダー】

曜日・月・月齢・日付をすべて表示。すべてを小窓方式にするとダイアルが混雑するため、日付はダイアル外周目盛りと指針で示す「ポインター式」が採用されることが多い。
【ムーンフェイズ】

その日の夜空に現れる月の形を、そのままダイアル小窓で表示。描かれる月には「ただの円形」「笑顔が描かれたアーティスティックな形」など、製造メーカーの個性が現れる。
【デイト付き】

31日間で1周する日付けディスクを内蔵し、ダイアル上の小窓で日付を表示。7日で1回転する曜日ディスクと小窓を併設したモデルは「デイデイト」と呼ばれている。
2. 計測機能|クロノグラフは日常でも活躍する実用派
計測機能は、ケース側面のプッシャー操作によって秒単位の時間を測定できる機能で、一般にはクロノグラフとして知られる。もともとはパイロットやレーサーのために発展したが、現在ではスポーツだけでなく日常でも活用の幅が広い。
タキメーター付きモデルでは、一定距離を移動した際の平均時速や、生産効率の目安を読み取れる。インダイアルが増えるため情報量は多くなるが、そのぶんメカニカルな存在感と機能美を強く感じられる。
【スプリットセコンド・クロノグラフ】

クロノグラフの計測用秒針を2本備えることで、途中計測が可能。ボタンを押すと重なって動く2本のうち1本のみが停止。もう一度押すと、停止した針が動き続けている針に追いつく。
【フライバック・クロノグラフ】

クロノグラフ機構に加え、専用ボタンを押すだけで瞬時に計測用針がゼロ位置にリセットされ、特にスタートボタンを押し直さなくても再び計測を開始する機構を搭載する。
【クロノグラフ】

ストップウオッチ機構を内蔵。専用ボタンの操作で秒単位の正確な計測を開始し、30分や12時間積算計のインダイアルを装備すれば最大11時間59分59秒まで測定&記録が可能。
3. 潜水機能|ダイバーズウォッチは防水性と安心感が魅力
潜水機能は、ダイビングや水泳、サーフィンといったマリンスポーツを想定し、防水性を強化した機能だ。いわゆるダイバーズウォッチは、アウトドアシーンでの実用性と安心感に優れる。
高深度での使用を前提にしたプロ仕様では、ヘリウムガス排出バルブや屈強なケース構造を備えたものもある。こうした仕様は一般用途を超えるが、無骨で卓越した機能美は大きな魅力だ。
なお、防水機能付きの時計と本格的な潜水機能付き時計は同じではない。日常生活防水は雨や手洗い程度を想定したものが中心で、水中での本格使用を前提とするなら潜水対応モデルを選びたい。
【高深度ダイバーズ】

ケースの素材硬性を徹底追求、潜水艦に使用される鋼鉄や屈強なチタンなどを採用し、1000m以上の水圧に対応可能。特殊モデルでは3000mや5000m対応の機種も展開されている。
【飽和潜水ダイバーズ】

潜水服を着用した飽和潜水の浮上時には、減圧処理が必要。その際、時計内部に溜まったヘリウムガスが膨張して時計を破損させないよう、開閉式のヘリウムガス排出用バルブを備える。
【通常ダイバーズ】

ケースや防水パッキンなどを強化し、100m以上の水圧に耐えるよう設計されたモデル。潜水開始時から何分経過したかを測定するための、逆回転防止式ベゼルを装備する。
4. 多国時刻表示機能|GMT・ワールドタイムは国際派に好相性
多国時刻表示機能は、あらかじめ設定しておけば、目的の国や都市の現在時刻を継続して表示できる便利な機能だ。時差を毎回換算する必要がなく、海外出張や旅行、海外との連絡が多い人に向く。
この系統には、第二時間帯を示すGMTやデュアルタイム、複数都市に対応するワールドタイムなどがある。いずれも最初に設定は必要だが、一度整えれば実用性は高い。他国で行われているスポーツをリアルタイムで追いたい場合にも役立つ。
【ワールドタイマー】

各種方式が存在するが、一般的なのがルイ・コティエ式。24時間で1回転(リューズで操作可)するリングと、文字盤外周の世界の主要都市名で、その都市の現在時を知る。
【GMTウオッチ】

24時間で1周する先端が三角の針を用いて、ダイアル外周部の24時間目盛りで他国の現在時を表示。回転ベゼル付きのモデルは、さらに第3国の現在時を示すこともできる。
5. ハイコンプリケーション|複雑機構が体現する機械式時計の頂点
ハイコンプリケーションは、機械式時計のなかでも特に複雑な機構を搭載した領域を指す。一般的には複雑機構、あるいはハイコンプリケーションと呼ばれ、時計愛好家にとっては究極のステイタスシンボルでもある。
製造には高度なノウハウが求められ、希少性の高さも大きな価値になる。緻密な組み立て、意匠、そして機構そのものの存在感は、まさに機械式時計の世界観を凝縮したものだ。機能を使う喜びだけでなく、所有する歓びまで満たしてくれる。
【ミニッツ・リピーター】

ボタンやレバーで操作すると、現在の時刻を鐘の音色で分単位まで知らせてくれる。鐘は高音と低音を鳴り分けられるよう、それぞれ専用のリングやゴングが設置されている。
【永久カレンダー】

通常のカレンダー機構は大小の月の月末は手動で調整が必要だが、このモデルでは大小の月や2月末日、さらに閏年も時計が自動判別。日付けや曜日などを正しく表示してくれる。
【トゥールビヨン】

テンプなどの調速・脱進機構をケージに収め、常時回転させることで部品が受ける重力の影響を均一化。時計がどんな姿勢でも精度を正確に保つことができる。
腕時計の選び方で忘れたくない維持費とトレードオフ
腕時計の機能が複雑になるほど、一般にオーバーホールの基本料金は上がりやすい。3針のデイト付きモデルに比べて、数割から数倍の差が出ることもある。購入時は本体価格だけでなく、将来の維持コストまで見ておくべきだ。
特にハイコンプリケーションは、国内での対応が難しく、本国送りで数か月単位の作業になるケースもある。加えて、多機能化するとケースサイズ、厚み、重さ、価格も増しやすい。腕時計の選び方では、機能の多さと使いやすさのバランスを見極めることが大切だ。
時刻以外に何を求めるかを明確にすれば、自分に合った一本は見つけやすくなる。腕時計の機能を理解したうえで、用途に寄り添うモデルを選びたい。
※本記事は2019年5月に公開した記事に、最新情報を追記・再編集したものです。
Text/WATCHNAVI編集部
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