世界に比肩する最高峰の腕時計を追い求めて1960年に誕生したグランドセイコーは、その起源に相応しい世界最高レベルの高精度を実現し続けてきました。今回、旗艦ムーブメントのひとつであるグランドセイコー専用「キャリバー9S」の誕生20周年の節目に発表された2018年の新作限定モデルは、最高峰ブランドに相応しい技巧が満載。この時計を見たら、日本の機械式時計製造の技術力の高さにきっと驚くことでしょう。
1960年代に世界水準に到達したグランドセイコーの現在
グランドセイコーは、1960年誕生の初代モデルからすでに、当時の最も高精度なスイス公認歩度検定局によるクロノメーター規格(優秀級)と同等の精度を誇っていました。
その後、1966年にはクロノメーター規格(優秀級)を上回る独自の精度規格「グランドセイコー規格」を制定。誕生からわずか9年で、世界最高レベルの高精度を実現したのです。
そうした歴史的なメカニカルムーブメントの流れを受けて1998年に開発されたムーブメントが「キャリバー9S」でした。
以来、キャリバー9S系は、グランドセイコーの旗艦メカニカルムーブメントとして絶えず進化を継続。現在の9S系のムーブメントはいずれも先進のナノテクノロジーであるMEMS技術を用いた脱進機の加工精度の向上と軽量化をはじめ、精度と持続時間を司る独自開発のゼンマイ素材「Spron(スプロン)」の改良や巻き上げ方式の見直しなどにより、基本性能を大幅に向上させています。
キャリバー9Sの20周年限定コレクションは特別精度の9S85を搭載

(共通SPEC)自動巻き。直径39.5mm(リューズ含まず)、厚さ13.0mm。JIS耐磁時計1種。10気圧防水。3月24日発売予定
キャリバー9Sの誕生20周年を祝うべく作られた特別限定モデルは、毎時3万6000振動というハイビートが特徴のキャリバー9S85を搭載。ケース素材と精度の異なる3型で発表されました。
ステンレススチールモデルは、通常のGS規格(10振動)の規定である17日間の検定期間で平均日差-3〜+5秒という高精度。世界限定1500本が用意され、国内ではグランドセイコーマスターショップ限定。
その上位となる18Kイエローゴールドモデルは、グランドセイコー スペシャル検定規格に合格した特別精度のムーブメントを搭載。17日間の検定期間で平均日差を-2〜+4秒にまで追い込まれています。ここまで精度を追求すると、世界限定も150本となります。こちらもマスターショップのみでの取り扱い。
さらに上位となるプラチナ950ケースは、検定期間が通常の倍となる34日間となるだけでなく、精度も-1〜+3秒にまで追い込まれています。10振動ムーブメント9S85のポテンシャルを限界まで引き出した究極精度のモデルは、世界限定20本と超希少。国内ではセイコーフラッグシップサロンと、銀座と大阪にあるセイコープレミアムブティックの3店舗のみで販売されます。
精度追求だけではない職人技の数々を駆使

新作のプラチナ950ケースに見られる徹底した精度追求は、1969年当時、日差±2秒以内という機械式時計の常識を超えた高精度モデル「V.F.A.」へのオマージュでもあります。V.F.A.とはVery Fine Adjustedの頭文字をとったセイコー独自の略称で、昔も今もごくわずかな時計師にしか調整できない最高精度の証なのです。
こうした卓越職人の仕事ぶりは外装面にも見ることができます。ケースデザインは、ウオッチデザイナー初の現代の名工にして黄綬褒章も受章している小杉修弘氏が担当。ケースサイドからラグに至るまでなだらかな弧を描く鏡面仕上げは、絶妙に残された筋目仕上げとの組み合わせによって優雅な光沢の中にも緊張感が漂う高難度な造形となっています。
ケースの下地処理にも、熟練の技によって歪みのない平面を生み出す「ザラツ研磨」を採用するなど、デザインから仕上げまでのあらゆる点に緻密な手作業が感られます。
文字盤には、20周年にちなんだメモリアル型打模様を採用。1968年にグランドセイコー初の10振動ハイビートモデルを開発した第二精工舎(現:セイコーインスツル株式会社)を象徴するユニークな「S」マークとGSの2文字を組み合わせた3種が、幾何学的な模様の中に見ることができます。
もはや日本だけのものではなくなったグランドセイコーは、限定モデルの争奪戦も世界規模。うかうかしていると買いそびれてしまうかもしれませんよ。
グランドセイコー https://www.grand-seiko.com
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